Trinity Field (event)/Commus

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Preview 1[edit]

Trinity Field

『Trinity Field』の予告です。

'

Karen

どうも。Triad Primusの北条加蓮だよ。
今度、私たちで、LIVEをすることになったんだ。

Karen

お互いに信頼してるからこそ、譲れなくて。
尊敬しているからこそ、ぶつかり合う。
そうやってたどり着いたのは、私たちの新しいステージ。

Karen

新曲『Trinity Field』、楽しみにしてて !

Preview 2[edit]

Trinity Field

『Trinity Field』の予告です。

'

Nao

みんな、こんにちは ! 神谷奈緒だ !
今度、あたしたちで、LIVEを企画することになったんだ。
みんなに見てもらうのが今から楽しみだよ !

Nao

まぁ、3人とも我が強いし手を抜かないから、
大変なことにはなったんだけど……。
でも、3人がいっしょなら、大丈夫 !

Nao

あたしたちTriad Primusの、『絆』を形にした新曲。
『Trinity Field』 ! よろしくな !

Opening[edit]

Prologue Pulse

Triad Primus、再始動――individualsのLIVE
に触発され、また3人で歌いたいねと話す凛、奈緒、
加蓮。Pに相談を持ちかけると、ワンマンLIVEの企画
を任せてもらえることに。今回は自分がセンターに
立ちたいと主張した加蓮を中央に据え、
3人の日々が始まったのだった。

'

LIVE会場

Nao

いや~、よかった~ ! 楽しかったなぁ !
individualsのLIVE !

Rin

うん、そうだね。
お客さんも盛り上がってたし。
観にきて良かったな。

Karen

みんな、すごく堂々と歌ってたねー。
そういえば、凛がお節介焼いたんだっけ?
渋谷パイセンとしては、後輩たちの成長を見れて嬉しい感じ?

Rin

別に、何かしたわけじゃないよ。
それに、ステージに一度立ったら、先輩後輩じゃない。
手強いライバルが増えるのは、純粋に嬉しいけどね。

Karen

さっすが凛。言うー。

Nao

けどさ、ああいういいLIVEを観ると、
あたしたちもまた3人で歌いたくなるよなっ。

Rin

そうだね。
最近、みんなソロの仕事で忙しくて、
なかなか3人揃って歌う機会もなかったし。

Karen

ソロでもやってけるぐらいには
売れてきたって意味じゃ、嬉しいことだけどね。

Nao

でも、他のユニットたちも売れてきたわけだしさ。
そろそろまた、あたしたちの番になったりしないかな。
いや、もちろん順番待ちなんかじゃなくて、実力でだけどさ。

Karen

やっちゃおうか?
Triad Primusこそが一番だって。
そろそろ世の中にアタシたちを思い出させないとね。

Rin

プロデューサーに、頼んでみようか。
認めさせることは……できると思う。

Nao

そうと決まれば、善は急げだっ。
明日、行ってみよ !

翌日

Karen

……と、いうわけで、結論から言うね。
Triad Primusで、またお仕事したい。
できれば、LIVEがいい。ていうか、絶対。3人だけのLIVE !

Nao

どうかな?
もちろん、すぐには難しいってのはわかってるんだけど……。

いいよ

Rin

……え、いいの?
ずいぶんあっさりだけど……。

ちょうど考えていた
企画がある

LIVEの企画を任せたいと説明した……

Karen

へぇ……ワンマンLIVEを、企画段階からアタシたち3人で、か。
けっこう、大きなお仕事だね。

Rin

企画からって……それ、スケジュールは大丈夫?
ソロの仕事も並行してあるんだよね。

Nao

レッスンは、期間短縮のために合宿?
うーん、なかなかハードだな……大丈夫かぁ?

3人なら、できるよ

Karen

そうやって信頼されちゃったら、応えないとね。
まぁ、たしかにアタシたちならできるスケジュールかな。
ていうか、よゆーでしょ。

Nao

合宿かぁ……。
なんか楽しそうだな。修学旅行みたいでさ。

Rin

勉強になることも多そうだね。
うん、やってみたい。
この企画、私たちにやらせてよ、プロデューサー。

もちろんだ

Karen

凛、奈緒、まだ時間あるよね?
このまま、ここで打ち合わせしようよ。

Nao

おう !
あ、プロデューサーさんは、時間大丈夫か?

別件の打ち合わせが…

Nao

そっか、わかった。
ありがとな、プロデューサーさん !
3人で考えてもう少し形になったら、また相談にいくよ !

Rin

プロデューサー、ありがと。
いきなりだったのに聞いてくれて。
……いいLIVEにするよ。

Nao

よっしゃーっ !

Karen

ふふっ。
奈緒ってば。そんな嬉しかった?

Nao

そりゃあさぁ~ ! ほら、加蓮だって嬉しいだろ?

Karen

もちろん嬉しいけど……
ま、おおはしゃぎするキャラでもないし?

Rin

加蓮、顔ニヤけてるよ。

Karen

そういう凛だってそうじゃん?

Nao

……へへへへっ。
そうだよな、やっぱみんな嬉しいよな。
なんたって、久しぶりに3人そろってのLIVEができるんだもん…… !

Karen

いやぁー、それにしてもさ。
まさかこんなに簡単にいくなんて思わなかったよね。

Rin

プロデューサーも、ちょうど用意してたみたいだったし。
タイミングがよかったってことじゃない。

Nao

つまりラッキーだったのか……そっか !
よっし ! このチャンス、生かしてやろうな !
ってことで、もうちょっと詳しく相談しよう !

Rin

そうだね。ソロの仕事もあるから、
3人で集まれる機会ってあんまりないだろうし。

Karen

じゃあまずは役割分担からはじめよっか。
えーと……。

Rin

私が楽曲のセットリスト、奈緒が舞台演出、加蓮がMCや進行の台本。
私たちが企画する部分で必要なのは、ざっとこんな感じかな。

Nao

だな。抜けがあったりするかもしれないけど、
あとはプロデューサーさんと相談しながら、
必要なときに動けるやつがやってくってことで。

Karen

アタシもそれで賛成。
……あと、もうひとつ相談、っていうか、主張なんだけど。

Nao

ん? なんだよそんなあらたまって。

Karen

今回のLIVE、アタシがセンターに立ちたい。
ううん。アタシ、センターに立つよ。いい?

Rin

……うん、いいんじゃない?
誰がセンターなんて、決まってるわけじゃないし。

Nao

あたしもそう思う。
加蓮がやりたいんだったら、いいんじゃないか?
あたしはほら、センターってガラじゃないし。

Karen

……ずいぶんあっけなくOK出ちゃった。
もうちょっと、なにかあると思ったんだけど。

Karen

……ありがとう、ふたりとも。
それじゃ、プロデューサーに相談しとく。

Rin

じゃあ、今日はこのぐらいかな。
Triad Primus再始動……頑張ろうね。

Nao
Karen

おう !
うん !

Chapter 1[edit]

Diamond cut Diamond

ソロ活動をこなしながらも、LIVEに向け各々準備を
進めている凛、加蓮、奈緒。Pにどんな新曲がほしいか
と尋ねられた凛は、自分の限界を押し広げてくれる、
そんな曲がほしいと答える。
自分たちで曲を作ってみるかと問われた凛は、
面白そうだねと力強く頷くのだった。

'

番組収録後

Nao

今日のお仕事も無事おわりっと。
プロデューサーさんも、お疲れさま。

お疲れさま

P

バラエティ番組にも慣れてきたな。

Nao

この番組にはもう何回も呼んでもらってるしなぁ。
みんないい人ばっかりで、お世話になってるよ。
……っと、ウワサをすれば、司会者さんじゃん。

Nao

お疲れさまです !
今日もお世話になりました !

司会者

お、奈緒ちゃん。今日もお疲れさま~。
いやいや、司会のこっちこそお世話になってるよ~。
奈緒ちゃん、アイドルだけどイジリやすいし。

Nao

あー、あははは。ありがとうございます。
こちらこそ、毎回楽しくやらせてもらってます。

司会者

そう言ってもらえると嬉しいなぁ。
これからもいっぱい呼んじゃうから、よろしくね~。

Nao

はい ! お疲れさまでした~ !
よしっ、プロデューサーさん、いこっか。

Nao

うーん……。
当たり前だけどさ、演出って難しいな。
撮影の合間にも色々考えてたんだけど、まとまらなくって。

でも、楽しそうだな

Nao

そりゃ、なんたって、凛や加蓮との久しぶりのLIVEだからな !
バラエティとかのお仕事も楽しいけど、
やっぱ、仲間とレッスンして歌ってってのが、一番楽しいよ。

Nao

だから、今回あたしたちのお願いを聞いてもらえたのが、
ホントに嬉しかったんだ。
絶対、めちゃくちゃ楽しいLIVEにしてやるから、期待してて !

撮影スタジオ

Karen

撮影まで、まだ時間あるかな。
ま、ギリギリで慌てるよりはいいよね。

企画は順調?

Karen

うん。今のところ順調。
忙しいから3人でなかなか集まれないのはツラいけど、
電話とかでやりとりしながら、ちゃんと進んでるよ。

Karen

あ、そうだ。
そのことで、ひとつプロデューサーに相談があったんだよね。

どうした?

Karen

せっかくのLIVEだからさ、新曲がほしいんだ。
だって、絶対そのほうが盛り上がるでしょ。
今ならまだスケジュールもギリ間に合うよね?

Karen

わがままかもしれないけど、せっかくだから
この機会を最大限に活かしたくて。
とにかく、LIVEを最高に盛り上げたいの。

P

それで、新曲を?

Karen

うん。
撮影とか、インタビューのお仕事とか、大事だけど、
積み重ねであって一気に知名度上がったりはしないじゃん?

Karen

でも、新曲があって、それを使ってLIVEするのは、
また多くの人たちにアタシたちを知ってもらうチャンスでしょ。
そんなチャンス、アタシは逃したくないんだ。

Karen

アタシたち3人が本気になってやるんだもん。
新曲を出せば、絶対、また一段も二段も上に行ける。
それに……今回センターに立つし? あ、これは冗談だよ。

わかった。用意しよう

Karen

やった ! ありがと ! さっすがプロデューサー !
そう言ってくれるって思ってたよ !

Staff

北条さーん、そろそろ準備お願いしまーす。

Karen

あ、はーい ! もう行かないと。
プロデューサーはこの後、凛のレッスンを見にいくんだっけ。

いってくるよ

Karen

いってらっしゃい。
こっちは、ま、慣れた仕事だし。ちゃんとこなしておくよ。
じゃ、新曲、約束だからね !

レッスンルーム

Veteran Trainer

よし、今日はここまで !
さすがに、高いレベルを維持しているな。
しかし、気を抜くことのないように。

Rin

ありがとうございました。
気を抜くなんて……まだまだできてないことがたくさんあって、
悔しくて……でも、楽しいよ。

Rin

そういえば、プロデューサー。
新曲、OKしてくれたんだね。
加蓮から連絡があったよ。

Rin

私からも、ありがとう。
3人で歌うならいつものでも楽しいけど、
やっぱり、新曲の方がワクワクするからね。

凛は
どんな曲がいい?

Rin

難しいけど……。
私たち3人の、限界を出せる曲がいいな。
私たちが本気で向かい合って、ようやく歌いこなせる曲。

難しい曲がほしい?

Rin

うん。自分の限界を、押し広げてくれる――
私にとって、Triad Primusってそういう場所だから。
だから、それに相応しい歌がいい。

Rin

3人で歌ってると、気が抜けないんだ。
一瞬でも気を抜いたら、ちょっとでもレッスンが足りなかったら、
あのふたりに飲み込まれる、そんな緊張感がある。

Rin

たぶん、ふたりも同じことを感じながら歌ってる。
3人が全力で意地を張りあって、上を目指して、
その中では、自分の限界なんて忘れてるんだ。

Rin

そして、もっともっと、どこまでも自分は上っていける。
歌い手として、上を目指せる。
どんなレッスンより、ステージの上で成長できる。

Rin

あの瞬間の高揚感が、本当に気持ちいいんだ。
だから、私たちにそういう歌がほしい。

なら、曲も自分たちで作るか?

Rin

新曲を?
……それも面白そう。考えたことなかったけど。

Rin

うん。やってみる。やりたい。
でもそうなると、さっき言ったことで、ハードルを上げちゃったかな。
まぁ、上げたハードルを越えてこその、成長だよね。

Rin

曲も、LIVEも、全力でぶつかって、成長してみせる。
楽しみにしてて。

ファミレス

Rin

――っていう話の流れで、新曲も作ることになったよ。
コンセプトとか、歌詞とかね。
作曲家や作詞家先生と作るけど、でも、私たちが作るんだ。

Nao

やったじゃん ! けど、歌詞かぁー。
あたしはちょっとそっちは自信ないなぁ。
加蓮は?

Karen

凛、やってみたいんでしょ? なら、任せるよ。
凛なら、いいもの作るでしょ。
真っ青なヤツ。

Rin

うん。ふたりがいいなら、やってみたい。
ただ、それなら、曲作りに集中したいかな……。

Karen

なら、凛にもともと任せてたのはアタシが持とうかな。
セトリはMCとも関連するし、ちょうどいいよ。

Nao

おっけいっ !
よしよし、いいかんじに進み始めてるよな。
このまま、ガンガンいこう !

Chapter 2[edit]

Wish not Wise

考えたセットリストを奈緒と凛に見せる加蓮。
ありったけを詰め込んだセットリストだったが、
オーバーワークだと反対されてしまう。
自分の想いをわかってもらえないことにいら立つ
加蓮だったが、奏からそれは甘えだと指摘される。
しかし、そんな妥協はしたくないと呟くのだった。

'

カフェ

Karen

うーん……ここは、ファンも盛り上がれる曲がいいかな。
でも、それだと奈緒がかなり続いちゃうか……。
あとは、どうせならアンコールも楽しんでほしいし?

Karen

はぁ~。企画って、ムズい……でも、楽しいなぁ。
アタシたち3人のLIVEだもん。
ユニットの良さを、全部詰め込まなくちゃ…… !

事務所

Karen

凛、奈緒、はいこれ。
セットリスト、つくってみた。

Rin

ありがと。私たちのソロ曲と、新曲と、
既存の曲を織り交ぜて……それと『Trancing Pulse』ね。
まぁ、3人だし、こうなるよね。

Nao

これ、プロデューサーさんにはチェックしてもらってるんだよな。
なら……まぁ……うーん。

Karen

なに、奈緒。思うことがあるなら言ってよ。
ちょっとでもいいものにしたいし。

Nao

んー……なら、言うけど。これ、ちょっとキツくないか?
こんだけボリュームあって、さらに新曲だろ。
レッスンする時間だってそんなに取れないわけだし……。

Karen

そう?
アタシたちならいけるでしょ。

Nao

そりゃ、無理ってことはないだろうけどさ。
でも、けっこう、キツそうだなって……。
楽しくはやれなさそうっていうか、なんていうか……。

Karen

そりゃ、レッスンだし、しんどいことぐらいあるでしょ。
これぐらい、大したことないって。ね、凛?

Rin

うーん……。
オーバーワーク気味なのは、奈緒の言うとおりだと思う。

Karen

なんで?

Rin

やりたいのはわかるけど、スケジュールに見合ってないよね。
詰めこみすぎかな。

Karen

ちょっとのオーバーワークぐらい、別にいいじゃん。
アタシは、Triad Primusで、もっと上にいきたいの。
……凛なら、こういうの、わかってくれるって思ってたんだけど。

Karen

……ちょっと、外の空気吸ってくる。
ごめん。

Nao

あ、オイ !
ちょっと、加蓮、待てよ !

Rin

オーバーワークなのは事実として、
やめたほうがいいとは言ってないんだけど……。
話し合い、やり直しかな……。

なにかあった?

Rin

あ、プロデューサー。ううん、大丈夫。
まだプロデューサーの出番じゃないと思う。

Rin

ねぇ、プロデューサー。
私は、加蓮の言ってること、ピンと来てないんだ。

Rin

アイドルとして上にいく、有名になるんだーって、
加蓮はよく言うけどさ。それって、大事なことなのかな。

Rin

いいパフォーマンスをして、お客さんを楽しませて。
地位とか、名誉とかって、その後でついてくるものじゃない?
そういうのを目的にするのって、私にはわからない。

それが、
間違ってると思う?

Rin

間違ってるとまでは思わないよ。実際、加蓮はその想いがあるから
いいパフォーマンスをできるわけだし。
その結果は、否定できないと思う。

Rin

ただ、よくわからないというか……。
どういえばいいのかな。共感できなくて。

共感したいの?

Rin

それも、よくわからないんだよね。
ユニットとしてまとまらないといけない……。
そう考えると、共感しないといけない気もするし。

Rin

でも、この3人のことだからこそ、自分で考えて、
納得する答えを出したいんだ。
だから、もうちょっと考えさせて。

廊下

Karen

はぁ……やっちゃった……。
……奈緒も、凛も。
ふたりなら、わかってくれるって思ったんだけど。

Kanade

……あ、いた。

Karen

奏?

Kanade

奈緒が探してたよ、ワガママなお姫様。
仲がいいのはいいけど、甘えるのはほどほどにね。

Karen

甘えるって……そんなこと。
……まぁ、そうか。
相変わらず、奏ってそういうとこ容赦ないよね。

Kanade

優しい嘘がほしいなら、あげるけど?
なんだか、傷心中みたいだし。

Karen

けっこうでーす。
奏に優しくなんかされたら、余計に凹みそうだし。

Kanade

ま、そうでしょうね。
……ホント、あなたって、つくづく面倒な性格してる。

Karen

……自分でもそう思う。

Kanade

ふふっ。
もっと、器用に立ち回るタイプかと思ってたけど。

Karen

そりゃさ、他の人が相手なら、
もうちょっと考えて、譲ったり退いたりするけど。

Karen

あのふたり相手にそんなことするのって、なんていうか……
バカにしてるみたいな気がして嫌だから。
……ま、奏に言わせれば、甘えてるのかもしれないけど。

Kanade

あら。
甘えられる関係それ自体は、いいものだと思うわ?
ただ、どんなことも、過ぎれば毒になるっていうだけ。

Kanade

わかり合いたくて、だけど、わかり合えなくて。
わかり合えないと知った上で、それでも手を伸ばし合う。
人間関係なんて、いつもそういうものでしょ?

Kanade

わかってもらえるなんて理想を押し付けて、
それが遂げられないからって、感情をぶつけて。
わかる努力を相手に任せるなんて、甘えが過ぎるんじゃないかな。

Kanade

いまの加蓮は、そうやって駄々をこねてる、
ただの子どもに見えるけど。

Karen

……わかってる。わかってるけど。
凛と奈緒の前で、オトナになんかなりたくない。

Karen

わかり合うために妥協し合う、
アタシたちは、そんなところに収まりたくない。
収まらない関係になりたい。

Karen

その先があるって、信じるのは子どもなの……?

Chapter 3[edit]

Reasons for Regret

着々とLIVEの準備が進む中、だんだんとズレていく
凛、加蓮、奈緒それぞれの目的。LIVEを楽しみたい
奈緒、アイドルとして存在を刻み付けたい加蓮、
いいパフォーマンスをして成長したい凛。それぞれが
譲れない想いを抱く中、新曲レッスンのための合宿
が始まろうとしていた。

'

事務所

Nao

加蓮のやつなんだけどさ。
結局、あのセトリでいくことにしたんだって。
凛は、あれからなにか相談受けてた?

Rin

ううん、なんにも。
セットリストについては、気になってたけど……。
あれでやることにしたんだ。そっか。

Nao

そうらしい。
あたしもさっき、プロデューサーさんから聞いた。

Nao

そりゃ、今回のセンターは加蓮だし、
セトリとか台本も加蓮ってことになったけどさ。
さすがにちょっと、勝手すぎる気がするんだよな……。

Nao

だいたい、LIVEなんだからさ。
あたしたち自身が心から楽しめなかったら、ダメだろ?
じゃないと、楽しんでもらえるものにできないと思うし。

Rin

……奈緒の言ってることも、間違ってないと思う。
だけど、そういうの、加蓮に直接言ったら?

Rin

愚痴を聞くぐらいは、つきあうけどね。
でも、私に言ってもどうにもならないし。
……奈緒は、なにを怖がってるの?

Nao

なにをって……そりゃ、言い合いなんて誰だって嫌だろ。
あたしは凛や加蓮と、喧嘩なんかしたくないんだ。
ステージの上以外でも、楽しくアイドルをやりたい。それだけだよ。

Rin

でも、必要なときはちゃんと言わないといけないんじゃない?
それはたぶん、喧嘩じゃないと思うし。

Nao

でも……やっぱり、なんか嫌だ、そういうの。
せっかく、あたしたち3人が揃って歌えるんだから。
ずっと楽しくやりたいんだ。あたしは。

Rin

そっか。

Nao

……うん。……ゴメンな凛、忘れてくれ。
いまのは、ヘンな愚痴を言ったあたしが悪かったよ。
そろそろ仕事の時間だし、行ってくる。

Rin

あ、奈緒……。
行っちゃった……私の聞き方も、ちょっとまずかったかな……。

Rin

……奈緒は、LIVEを楽しみたいって言ってた。
楽しめないより楽しめる方がいいのは、当たり前だけど……。
でも、それが目的っていうのも、なんだか違う気がする。

Rin

私は、加蓮のことも、奈緒のことも、違うと思ってる。

Rin

――ああ、そっか。
私たち3人は、みんなLIVEの目的が違うんだ。
だから、なんだか、噛み合ってない。

Rin

でも……。
これって、どうすればいいんだろう……。

街中

Nao

――って。あたしたちはいま、そんな感じの状況でさ。
なんか、いつの間にか、ばらばらになっちゃったみたいで。
プロデューサーさんに言うのも変なんだけど。

Nao

あたしはただ、3人で楽しくユニット活動できれば、
それでよかったんだ。
でも、楽しみたいってあたしの考えは、間違ってたのかな……。

間違ってはいない

P

楽しむことがいけないわけじゃない。
でも、それ以外にも大事なことは、たくさんあるだろう。

Nao

そう……だよな。
うん、プロデューサーさんの、言う通りだ。
あたしも、自分勝手だったのかな……。

Nao

少し、さ。不安なんだ。あのふたりを見てると。
アイドルや歌に何もかも捧げるみたいに、全力で。
それ自体は、心から尊敬してる。けど……。

Nao

ときどき、考えるんだ。
ふたりは、アイドル、楽しいのかなって。
Triad Primusを、楽しめているのかなって。

Nao

怖いんだ……。
ある日突然、ふたりがあたしの前から
いなくなるんじゃないかって。

Nao

あたしの手の届かないところにいっちゃう気もするし、
どこかでふと立ち止まって、そのまま折れちゃう気もする。
ふたりは親友だから……本当に、怖いんだ。

3人とも
そんなに弱くないよ

Nao

うん……わかってる。
凛も、加蓮も、そんなに弱いやつじゃない。

Nao

わかってるけど……。
なかなか、割り切れないんだ……。

収録スタジオ

Karen

プロデューサー、お疲れさま。
わざわざお迎えありがと。いこっか。

様子はどう?

Karen

LIVEの準備? んー……。
細かい調整はプロデューサーにもお願いしたから
わかると思うけど、準備はだいたいできた……かな。

Karen

あとは、アタシたちがレッスンしっかりやって、
いいパフォーマンスをするだけ……なんだけど。

Karen

そこが、うまく噛み合ってないんだよね……。
まさか、アタシたち3人でこんな風になるなんて、
全然思わなかった。

3人とも、それぞれの
主張がある

Karen

うん……きっと、凛も奈緒も、譲る気なんてない。
もちろん、アタシも。

Karen

……今日収録だった番組でさ。
何年か前に流行した歌を流すってコーナーがあったんだ。

Karen

アタシも知ってるし、たいていの人が口ずさめる、有名なやつ。
でも、いまはもう、それを歌ってた人たちの名前を聞かない。
アタシも、歌を聴くまで忘れちゃってた。……怖いよね。

Karen

いまはそれなりにお仕事をもらえてるけど、
アタシだって、気が付いたら消えてるかもしれないんだよ。
誰の記憶にも残らないで、さ。

Karen

それが、嫌なんだ。
北条加蓮ってアイドルが居たって、どこかに残したい。
アイドルとして、アタシの存在を刻み付けたい。

Karen

ひとりじゃ難しくても、凛や奈緒とならきっとできる。
ひとりより、みんなと残せたら、嬉しい。
そう思ってたんだけど……アタシの、押しつけだったのかな……。

それを伝えるんだ

Karen

合宿、もうすぐだもんね。
ちゃんと、向き合うよ。
凛と、奈緒と――アタシ自身と。

Chapter 4[edit]

Face to Faith

ハードなレッスンが続き、奈緒と加蓮は
ある一言をきっかけに言い争いをしてしまう。
なだめようとした凛も巻き込み収拾がつかなくなり、
一度頭を冷やそうと解散。思い悩む3人だが、Pの
アドバイスを受け、それぞれの想いと自分たち3人の
あり方に気づくのだった。

'

レッスンルーム

Veteran Trainer

どうした ! もう限界か !
まだ動けるだろう ! まだ目指せるだろう !
お前たちの到達点は、こんなところか !

Rin

……ハァッ……まだ、いけるよね?

Karen

当たり前、じゃん…… !

Nao

……もう1回、お願いします…… !

Veteran Trainer

それでこそお前たちだ。
疲れているからといって気を抜くな !
どんな状況でもベストなパフォーマンスを見せろ ! はじめ !

Rin
Karen
Nao

はいっ !
はいっ !
はいっ !

休憩室

Rin

ふぅ……。覚悟してたけど、さすがに、キツイね。
アイドルになってから、一番ハードかも。

Karen

トレーナーさんもやけに気合入ってるしね。
アタシ、病院に逆戻りしそう……。

Nao

誰のせいでこのハードさになったと思ってんだ……。
……なぁ、いまさらってのはわかってるけどさ、
やっぱり、新曲、やめにしないか?

Karen

まーだそんなこと言ってるの、奈緒。
病院に~っていうのは、冗談だから。
そんなに心配しなくていいって。

Nao

それが冗談だってのはわかってる。
そうじゃなくて……やりすぎは毒だろ。
身体を痛めたら元も子もないし……心配なんだよ。

Karen

心配って……。
あのさぁ。自分の体調管理ぐらい、自分でしてるよ。
横から奈緒に言われるなんて、大きなお世話だって。

Nao

お、大きなお世話って…… !
そりゃそうかもしれないけど、もうちょっと言い方が…… !

Karen

っていうかさ、もしかして……奈緒はサボりたいの?
そりゃ自分はダンス得意だから余裕だろうけど?

Rin

ちょっと、加蓮。

Nao

サボりたいなんて、そんなわけないだろ !
あたしが、この3人でのLIVEに、手を抜くわけなんかない !

Karen

じゃあいいじゃん ! 何が不満なの?

Nao

あたしはただ、せっかくのLIVEを、楽しくやりたいだけだ !
苦しい思いをして、切羽詰った顔で、体調のギリギリを攻めて !
そんな思いでするLIVEが、ファンを楽しませられるのかよ !

Karen

楽しく楽しくってさぁ。
お遊びや部活じゃないんだよ? プロのアイドルなんだよ?
完成度の低いパフォーマンスの方が、ファンに申し訳ないよ !

Rin

加蓮 ! 奈緒 ! 待って !
いつまでも気にしてる奈緒も奈緒だけど、
加蓮も、言っていいことと悪いことがあるよ。

Karen

なに、凛。そんな、自分は無関係みたいな言い方して。
これは、ユニットの問題なんだよ。凛の問題でもあるんだよ?
凛だって、ステージのパフォーマンスが下がったら嫌でしょ?

Rin

それは嫌だけど。
でも、今のこの状態は……気分よくない。

Karen

凛ってさ、結局、自分が気分よく歌えれば満足なんでしょ。
アイドルになりたかったわけでもないし、
アイドルとしての夢があるわけでもないし。

Karen

ステージで満足したいから、アイドルをやってるんでしょ。
それって独りよがりで自己満足なんじゃないの。

Rin

それを言うなら、加蓮も同じだよ。
奈緒の忠告を無視して進めたから、
いまこうやって言い合いになってるんでしょ。

Rin

加蓮だって、アイドルとして売れたいとか、有名になりたいとか、
それこそ、LIVEに真摯に向き合ってないんじゃないの !

Karen

向き合ってるよ ! 全力で歌えれば満足とか、
LIVEが楽しければいいとか、アタシはそれだけじゃない。
アタシは結果を残したい。

Karen

アタシにとって、アイドルは小さい頃からの夢で、希望だから。

Rin

夢で希望だから……なに?
夢っていうのは、わがままを通す言い訳じゃない。
そんな風に、「夢」って言葉を使わないでよ。

Rin

私も、奈緒も、加蓮の夢を叶える道具じゃない。
私たちはみんな、自分の夢を叶えるために、
アイドルをやってるんだよ。

Nao

もう、いい !

Nao

もうやめてくれ……。
こんなの、違う……あたしがやりたかったのは、違う……。
悪い。今日は、もうムリだ。あたし、部屋に戻る。

Rin

……そうだね。
私も……少し、頭冷やしてくる。

Karen

……道具じゃない、か。
そんなこと、わかってる……。

Nao

プロデューサーさん……。
加蓮も、凛も、あたしも、もう、めちゃくちゃだ……。
どうすればいいのか、わからないよ……。

Nao

……プロデューサーさんなら、こんなことになる前に、
どうにかできたんじゃないのか?
なんで、もっと早く助けてくれなかったんだ……?

こうならない方が
よかった?

Nao

当たり前だろ !
こんな、喧嘩なんて、しない方がいいに決まってる……。

どうして?

Nao

どうしてって……喧嘩する必要なんてなかっただろ?
合宿に来てまで、ぶつかり合って……。
加蓮はワガママで、凛はあたしのこともわかってくれない。

大丈夫だよ

Nao

何が大丈夫なんだよ?
全然大丈夫じゃないだろ……。
あたし、わかんないよ……。

信じて

P

もっと、みんなを信じて。
3人の絆は、もっと強いはず。

Nao

ふたりを、もっと信じる……?
あたしは……ふたりを、信じてなかった……?
みんなってことは……あたし自身も?

Karen

ああ、プロデューサー。お説教しに来た?
頭に血が上っちゃって、酷いこと、言っちゃったもんね。
なんで、あんなこと、言っちゃったんだろ……。

ふたりを
信頼しているから?

Karen

そう、かもね。
3人ならもっとできる。ふたりとならなんだってできるって、
そう信じてたから……裏切られた気になっちゃったのかも。

Karen

だから、あんなに喚き散らして……。
ふたりには、アタシの想いをわかっててほしかった。
アタシの求めてる場所を、ふたりも目指してるって思ってた。

目指しているよ

P

ふたりも、目指しているよ。
それぞれの、目指す先へ。

Karen

……ふたりも?

Karen

アタシが信じてるふたりは――LIVEに手を抜いたりなんかしない。
どこまでも本気で、限界の先を追い求める人たち。
そんなふたりも……目指してる。

Karen

……ああ、凛が言ってたこと、だよね。
ふたりも、ふたりなりの何かを追い求めてる。
それは、アタシが求めるものと違ってて、それでいいんだ。

Karen

裏切られたって思ったのは、アタシがふたりの本気を疑ったから。
明日、ちゃんと謝らないと。……それから――。

Rin

プロデューサー。
ずっと考えてたこと、私なりに、答えが出そうなんだ。

Rin

でも……これってなんだか、勝手な答えみたいな気がして。
それに……バラバラになっちゃうんじゃないかって。

バラバラでもいい

P

バラバラでもいい。
3人が同じ場所を目指せるならね。

Rin

私たちならバラバラになんてならないと思ってた……。
ううん、違うんだ。
バラバラになっても、進んでいける。

Rin

進み続けて、違う道を経て、どこかの頂点にたどり着ける。
私たちならきっと――その先を、見られる。
……そういうこと、だよね。

翌日

Chapter 5[edit]

Trust and Pride

翌朝、凛、加蓮、奈緒は一晩かけて整理した
それぞれの想いを打ち明け合う。
譲れない想いはそのままに、みんなが同じだけ
進み続ければいいと気づいた3人。
ぶつかりあった分だけ、深く繋がりあえた。
その輝きをLIVEで見せつけようと固く誓うのだった。

'

翌朝

Karen

まずは、ごめん。
アタシ、奈緒にも、凛にも、酷いこと言ったよね。

Rin

私も、加蓮に色々言ったから。
お互いさまだよ。ごめん。

Nao

まぁ、そうだな。
みんな、頭に血が上ってたから。あたしも。ごめん。

Karen

ありがとう。
でも……でも、一晩考えたんだけど、アタシ、やっぱり譲れない。
アタシは、アタシが考えた一番いいステージをやりたいから。

Karen

奈緒も、凛も、信頼して、尊敬してる友達で、ライバルだよ。
だからこそ、アタシは、自分が一番だと思うものを、妥協できない。
それに、奈緒や凛にも、妥協してほしくない。

Karen

対等でいたいから、譲れないし、譲られたくない。
わけわかんないこと言ってるってわかってる。
でもこれが、アタシの素直な気持ち。アタシの目指すもの。

Karen

……プロデューサーにも言われたんだ。
ふたりが目指すものが、それぞれあるって。

Karen

だから今度は、聞かせて。
ふたりの目指すもの。それを、アタシも信じるから。

Rin

……私も、ずっと考えてたんだ。
奈緒や、加蓮が目指してるもののこと。

Rin

それは、私が目指してるものとは違うけど、
間違ってるとは思えなかった。

Rin

バラバラになると思ったけど……
プロデューサーは、それでいいって言った。
だから、それぞれが全部正解で、いいんじゃないかな。

Rin

3人揃って同じ目標に頑張るなんて、しなくてもいいんだよ。
私が私の目標に向かったぶんだけ、
奈緒や加蓮も、自分の目標に向かっていくでしょ。

Rin

ふたりが目標に進んだぶんだけ、
私は私の目標に向かって進む。
そうすれば、私たちはずっと、同じ距離を進み続けられる。

Rin

互いにわかり合って、信じ合ってるからこそ、
目指すものは、みんな違っててもいい。

Rin

そうやって、張り合いながら進んだ先で――
背中合わせでも、それぞれの方向を向ける。
繋がり合った三角形は、切れることはないから。

Nao

……凛も加蓮も、強いな。やっぱ、すごいよ。
ふたりみたいなハングリーさ、あたしには、多分ない。
頑張ってる自信はあるけど、きっと、ふたりにはかなわない。

Nao

だから、ふたりとユニットを組んでるのは……
ふたりと友達でいられるのは……
ふたりが優しいからだって、思ってたんだ。

Nao

ふたりが優しさを置いてどんどん前に進んで行ったら、
あたしは置いていかれる――正直、そう思ってた。でも……
プロデューサーさんは、そんなあたしに、信じてって言った。

Nao

信じても、いいのかな。
ふたりが、あたしを、認めてくれてるって。
そんなあたし自身を、あたしは認めてもいいのかな。

Karen

……うん。

Rin

もちろん。

Nao

それなら、その尊敬を裏切れない。
ふたりの信頼に応えたい。
そんな意地なら、あたしにもあるんだ…… !

Nao

もう、止まれなんて言わない。
ふたりとも、好きに走っていけよ。
あたしも、喧嘩してでも、ずっとずっと、一緒にいく。

Rin

……喧嘩しないことが、友情じゃないよね。

Karen

……そんな歌もあったね。

Nao

尊敬してるふたりと、肩を並べてLIVEができる。
あたしはいままで、それが楽しかったんだ。
だから、あたしは、Triad Primusが好きなんだ !

Nao

あたしだって、譲らない。この3人のLIVEを一番楽しむのは、
ファンでもプロデューサーさんでもない。このあたしだ !
それが、ふたりが信じてくれる神谷奈緒、だろ?

Karen

ふふっ……やっぱり、みんな譲らないんだ。
まとまらないね。

Rin

うん、まとまらない。
けど、このまま、どこまでも行けるよ。

Nao

あぁ。行こう。どこまでも。
もっともっと進み続けて、大きな三角形になろう。

Veteran Trainer

……お前たち。

Karen

あ、トレーナーさん。プロデューサーも。

始めるよ

Nao

ああ。プロデューサーさんにはお見通し、か。
もう大丈夫だ。

Veteran Trainer

レッスンを始めるとしようか。
昨日より良いものを見せてくれると、期待しているぞ。

Rin

うん。望むところだよ。
私たちが目指す場所、見せてみせるから。

レッスン終了後

Nao

今日のレッスンも、きつかったなぁー。
もうくたくたで、眠くなってきた。

Rin

でも、手ごたえは感じたよ。
この調子なら、いい出来になると思う。

Nao

そりゃ、なんてったって、これだけやってるんだから。
……ん、加蓮。どした?

Karen

あ、凛、奈緒。
なんとなく、星が綺麗だなーって。

Nao

あぁ~。ほんと、綺麗だな……。

Rin

ふふふっ。素直な感想。

Nao

なんだよー。
綺麗なものを見て綺麗って言ってるだけじゃん。
いいだろー?

Karen

うん。いい。それがいい。

Karen

……結局さ、すごく簡単なことだったんだよね。
楽しみながら、歌もダンスも極めて、ステージを成功させて、
それで有名になればいい。全部やればいいっていうだけの話。

Karen

それに、奈緒も、凛も、目指すものが違うからって、
目の前のLIVEに手を抜いたりなんかしないって、
アタシ、最初からわかってたはずなのにね。

Rin

単純なことほど難しいし、見落とすよね。
私たちも、それだけ、加蓮が加蓮の夢に真面目だって
気づいてあげられなかった。

Karen

そうなのかな。
ふふ、なんか、恥ずかしいな。
夢に真面目なんてさ。

Nao

いまさら再確認できたけど、加蓮ってさ。
普段、「私どうでもいいし~」みたいな顔してるわりに、
激情家だし、夢追い人だし、めんどくさいよな。

Karen

なにそれ。褒めてるの? バカにしてるの?

Nao

う~ん、両方かな。

Karen

……ま、アタシは奈緒ほど単純素直じゃないからね。
ちょっとのめんどくささはご愛嬌~♪

Nao

誰が単純だよこのわがまま娘っ !
加蓮のめんどくささはちょっとじゃ済まないっての。
もうちょっと分かりやすく頼むよっ。

Rin

ほんと、振り回されたよね。
でも、そのおかげでもっと深く繋がり合えた。

Karen

感謝してよね、凛も。
……でも、ふたりとだからだよ。
アタシがこんなに好き放題言えるのって。

Rin

だろうね。
そうやって、ぶつけてくれるから、こっちもぶつかれる。

Nao

ぶつかることで、磨きあえる。
宝石よりも、輝きあえるんだ。

Karen

うん。
……絶対に、みんなに、見せつけてやろうね。

Nao

……そうだな。
あたしたちが、たどり着いたところを。

Rin

見せつけよう。
《Trinity Field》を。

Ending[edit]

Triangle

LIVEは無事に成功を収め、取材を受ける凛、加蓮、
奈緒は、ぶつかり合いながらも作り上げた新曲に
ついてそれぞれが抱える想いを語った。戦いと、
プライドと、信頼。3人がたどり着いた場所であり、
これからも進化しつづける、3人の到達点。
――《Trinity Field》にかける想いを。

'

事務所

Kanade

……あら、珍しい。
あなた達が事務所に揃ってるなんて。
……ああ、例の新曲の取材、今日だった?

Karen

んー? そうそう。
記者さんが来るまで、3人で時間つぶしてるとこ。

Rin

あ、奏。加蓮から聞いてるよ。
いろいろ相談に乗ってもらったって。
お礼に、今度なにか奢るよ。加蓮が。

Nao

うちのわがまま娘が迷惑かけて、申し訳ない。
お詫びなら何でも言ってくれ。加蓮に。

Karen

いや、奢らないし何もしないから。
ふたりは一体どういう立ち位置なのよ。

Rin

……子どもが迷惑かけたときの、母親?

Nao

……いやぁ、まだ母親になりたくはないなぁ。

Karen

誰が出来の悪い娘だってっ !

Kanade

ふふ、遠慮しておくわ。
ポテトばっかり食べさせられたら、困るもの。

Karen

食べさせないって !

Nao

食べさせるよ。

Rin

食べさせるね。

Karen

……食べさせるかな。

Kanade

ふふっ。本当に仲がいいわね、3人とも。
LIVEの評判もいいって聞くし、よかったじゃない。

Karen

まぁねー。アンコールまで盛り上がったし、
アタシが組んだセトリがよかったかなって。
さっすがアタシ、みたいな♪

Nao

よく言うぜ本当によぉ。
人前じゃ猫被るくせに。
このあとのインタビューじゃ、被りまくりの……。

そろそろ始めるよ

Nao

……お、プロデューサーさんが呼んでる。
記者さん、来たみたいだ。

記者

では、Triad Primusのお三方、よろしくお願いします。

Rin
Karen
Nao

よろしくお願いします !
よろしくお願いします !
よろしくお願いします !

記者

まずは、先日のLIVE、お疲れさまでした。
ワンマンLIVEを終えての感想は、いかがですか?

Nao

感想って言われたら……やっぱり、楽しかった、かな。
3人でのLIVE自体が久しぶりだったし。
お客さんも盛り上がってくれて、すっごく楽しかった。

Rin

私は、歌い切ったかな。
自分にできる全部を出しきって、歌いながら、成長できた。
そんな気がしてる。

Karen

私は……Triad Primusとして、
またひとつ前に進めたLIVEだったと思ってます。
企画から携わって大変でしたけど、やってよかったです。

記者

なるほど。北条さんからもいただいたように、
今回は企画から、レッスン、合宿など、いろいろあったそうですね。
その辺りを、お話しいただけますか。

Nao

いやぁ、ホント、いろいろあったんですよ……。
加蓮がいきなりセンターやるって言い出したり。
加蓮がいきなり新曲ほしいって言い出したり。

Rin

加蓮がいきなりわがまま言い始めたり。
加蓮を発端に言い争いが起こったりね……。

Karen

ちょ、ちょっと ! なにその言い方 !
なんでいきなりふたりで結託してるの !

Rin

やっぱり加蓮がいい子ちゃんモードに入ってたから。
化けの皮を剥がしておこうかと思って。

Nao

いつもは散々バラエティでイジられてるしな。
あたしだって、たまには仕返ししたくもなる。

記者

やはり、お三方とも非常に仲がよいんですね。

Rin

このLIVEを通じて、もっと仲良くなれたかな。
でも、いろいろあったのは本当だよ。
企画を進める中で、意見が対立したりもしたし。

Nao

合宿初日から、すげぇ言い合いしたもんな。
しかも、結局誰も譲らなかったしさ。

Karen

そこで誰も譲らないで、でもこうしてまとまるのが、
アタシたちらしいところなんだよね、きっと。
今回出した新曲の内容もそうだけどさ。

記者

新曲という話がでましたが――。
最後に、LIVEで披露された新曲について、お話しいただけますか。

Rin

あの曲は、なんていうか……。
戦いと、プライドと、信頼の歌、だよね。
私たちが、ぶつかり合った先の歌。

記者

ぶつかり合いとは?

Karen

アタシは、凛や奈緒の実力や努力を知ってるから、
尊敬してるからこそ、Triad Primusってユニットは
もっともっと上にいけるって思って。

Nao

あたしは、ふたりの熱意や根性を尊敬して、憧れていて。
でも、あたしはあたしで、このユニットを楽しむことなら
ふたりにだって負けないし。

Rin

私は自分でも、必要な努力をした自覚はあったよ。
だけど、ふたりを見てると、まだまだ自分が目指せる高みがあって、
そこへ向かっていいんだって思える。

Nao

あたしたち3人は、同じものを見てるわけじゃなくて。
むしろ、自分勝手な目標を見てるって気づけたんだ。

Rin

でも、そうやって背中合わせでも、
みんなが自分の道に全力だって、信頼し合ってる。

Karen

そう信頼してるから、いつか、どこかの高みで、
ひとつになれるんだって信じてる。

Rin

今回の新曲は、
張り合って、ぶつかり合って、そうやって進んでいく
私たちの誓いの歌だよ。

Nao

上辺の仲良しじゃなくて、
背中合わせにお互いを信じた、誇りの歌でもあるな。

Karen

アタシたちの在り方と、たどり着く場所の歌。
だから――もっともっと多くの人に、知ってほしいな。
アタシたちの、《Trinity Field》 !