Tachibana Arisu/Memorial Commus

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Chapter 1[edit]

橘ありす

街角

Arisu

えぇと……この大通りを真っ直ぐ……?
さっき右に曲がったから……左……?
うーん……。

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声をかける

Arisu

ひゃっ ! な、なんですか、いきなり…… !
わ、私に何か用ですか……?
こ、これ以上近づくと……大声で人を呼びますよ。

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名刺を渡す

Arisu

芸能事務所のプロデューサーさん?
……本当ですか? 名刺は、どうやら本物みたいですけど……。
プロデューサーさんは、アイドルのスカウトなんですか?

Arisu

いえ、アイドルに興味はありませんけど……。
……レッスンは、ちょっと興味があります。

Arisu

実は私、将来、歌や音楽をお仕事にしたいと思っているんです。
でも……どうやったらなれるのかわかりませんし、
家でも学校でも、練習できる場所はないですし……。

Arisu

だから、話を詳しく聞かせてください。
あっ、でも、こういうのって、親がダメって言ったらダメなんですよね。
……まぁ、いいって言うと思いますけど。

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名前を尋ねた

Arisu

私ですか?
私の……名前は……橘……橘ありすです。

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名前をほめる

Arisu

あの、やめてください。私、自分の名前、キライなんです。
『ありす』なんて……童話に出てくるような子供っぽい名前……。

Arisu

とにかく、詳しく教えてください。会社の規模なども。
親と相談して、返事しますから。
……あ……あと、本屋さんへの道も、教えてください。

Chapter 2[edit]

橘ありす

事務所・早朝

Arisu

プロデューサーさん。
おはようございます。橘です。

P

早朝にどうした?

Arisu

今日は、私が事務所に所属して、初めてのレッスンの日……。
そうスケジュールを立てたのはプロデューサーさんですよ。
忘れないでください。

P

楽しみだった?

Arisu

た、楽しみだったわけではありません。
ただ、昨日の睡眠時間がやや少なかっただけです。

Arisu

それで、今回のレッスンはなんですか?
なんであっても予習は完璧ですけどね。
勉強は得意ですから、なんでもできると思いますよ。

Arisu

じゃあ、何から始めますか?

P

まだ準備ができていない……。

Arisu

なっ、何を言っているんですか。
時間は有限なんです。私のような若い人間にとっては
一分一秒たりともムダにできないんですよ。

Arisu

じゃあ、トレーナーさんじゃなくてもいいですから。
プロデューサーさんがレッスンしてください。
私、やる気ですから。

Arisu

では、よろしくお願いします。
ボーカルレッスンでも、ダンスレッスンでも、
なんでもできますよ。……たぶん。

自主レッスンを行った……

Arisu

ふぅ……。ありがとうございました。
案外難しいですね。少しミスしてしまいました……。
プロデューサーさん、どうでしたか?

P

まだまだだ。

Arisu

そうですか……。意外と厳しいですね。
アイドル界というのはもっと優しいのかと思っていました。

Staff

おはようございます。
トレーナーさん、そろそろ来ますよ。

Arisu

じゃあ、トレーナーさんからもレッスンを受けてきます。
プロデューサーさん。ありがとうございました。

レッスン後

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感想を聞く

Arisu

感想? レッスンを受けての感想ですか?
……そうですね、可もなく不可もなく、といったところです。

Arisu

もちろん、トレーナーさんからは褒められましたよ。
どうやらこちらが子供だと思って、初回は甘かったんでしょう。
そういう扱いは不本意なんですけど。

Arisu

その点……プロデューサーさんは、厳しくしてくれましたよね。
私のことを、一人前のアイドルとして扱ってくれました。

Arisu

……今日は、それがわかったのが一番の収獲です。
それだけで、信用してもいいかもって、思えましたから。
……ただ、それだけです。ふふっ。

Chapter 3[edit]

橘ありす

事務所廊下

Arisu

プロデューサーさん、お疲れさまです。
ちょっと遅刻ですね……撮影開始に間に合ってよかったです。
……きっと来てくれると思ってました。

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今日は大丈夫?

Arisu

はい、準備は万全です。
でも……緊張しないと言ったら……嘘になります。
だって今日は宣材撮影ですよ。アイドルとしての初仕事です。

Arisu

でも、緊張しているの半分、楽しい気分も……半分です。
そう、私……おかしくって、これって、変ですよね。

Arisu

だって、私がアイドルになるなんて、誰が想像したでしょう?
親や学校の先生はおろか、私自身、夢にも思ってませんでした。
なんだか……不思議です。運命のイタズラを感じます。

Arisu

それに……宣材写真が公になったら、周りの人たちにも、
私がアイドルだってことが知られるんですよね。
きっと驚かれたり、面白がられたりするでしょう。

Arisu

でも、私は全然、嫌な気持ちになったりなんかしません。
だって、人に恥ずかしく思われるようなことはしてませんから。
歌や自己表現を仕事にしたいと思っていましたし。

Arisu

聞いてくれて……ありがとうございます。
さて、そろそろ無駄話もおしまいにして、撮影にいってきます。
もし上手くいかなかったら、応援してくれても、いいんですよ。

撮影中

Cameraman

もっと、自然にねー。

Arisu

自然にって、なんですか。
どのようにしたらいいか、具体的な指示をしてくれないと……。

Cameraman

きみ、子どもなんだから、子どもらしく……。

Arisu

私は橘ありすというアイドルです。
年齢はこの場合問題では……。

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ちょっと

Arisu

なんですか? プロデューサーさん。

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ありす、素直に

Arisu

あっ、ありすって、気安く呼ばないでくださいっ。
カメラマンさんにまた子どもっぽい名前って、バカにされます。
もう……。

橘、素直に

Arisu

た、橘ですけど ! たしかに、橘ですけど……
そういうときくらいは、もうちょっと自然に、下の名前を…… !
はぁ……。

Arisu

そうですね。私、自分で言ってました。
今の私は橘ありすっていう、12歳のアイドルの卵です。
緊張も、楽しさも、カメラの前では嘘つけませんよね。

Arisu

だから……もうすこしだけ、素直になってみます。
プロデューサーさんから、アドバイスももらいましたし。
あらためて、橘ありすという人間を、見せつけてきますよ。

Chapter 4[edit]

橘ありす

控室

Arisu

……あの、プロデューサーさん。
今日のお仕事、着ぐるみショーのゲスト、ですよね。
それで、その……えっと……着ぐるみさんは、どこに?

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興味が?

Arisu

あ、いえ。別に興味があるわけではないです。
その、ええと……あっ。プロとして、共演者にご挨拶をするのは
当然じゃないですか。早く行きましょう。

着ぐるみショーのリハーサル中……

Staff

……で、こうやって着ぐるみのあいさつが終わったら、
MCからありすちゃんにコメント振られます。
コメント、お願いします !

Arisu

はい。よくできた着ぐるみですね。手触りが良さそうです。
丸いフォルムに、ふかふかの毛皮。やる気のない目も好印象です。
ただ、サイズが大きく、子どもは怖がってしまう懸念があります。

Staff

え? あー……橘さん? 解説じゃなくて。
もっと場を盛り上げる感じのコメントでお願いできる?
「かわいー」とかそんな感じでいいから。

Arisu

はぁ……なんでしょうか、あのスタッフさん。
私、無邪気に喜ぶとか、そういうキャラじゃないんですけど。
プロデューサーさんからも言ってもらえませんか?

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本当は
喜んでるよね?

Arisu

……別に、喜んでなんかいません。
着ぐるみやぬいぐるみなんて……子どもっぽいごまかしです。

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素直に

Arisu

だ、だから……喜んでないですってば。
……だ、だいたいどうして、歌のお仕事をしたい私の初仕事が
こんな着ぐるみショーなんですか。まったく……。

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プロなら、素直に

Arisu

む……わかりました。私もプロですから。
求められているリアクションをしてみせますよ。
そのかわり、ちゃんと見ていてくださいね。

MC

はーい ! 着ぐるみさんが来てくれましたー !
ありすちゃん、着ぐるみさんはどうですかー?

Arisu

か……カワイイです。触ってもいいですか?

MC

もちろんー ! どうぞー !

Arisu

もふもふもふ……。

MC

ありすちゃんも、お気に入りみたいでーす。
もうちょっと感想聞いてみましょうか。どうですか?
……あ、あれ? ありすちゃん?

Arisu

もふもふもふ……ふふっ♪

ファン

カワイイよー !

ショー終了後

Arisu

ふぅ……。あ、プロデューサーさん、お疲れさまです。
……どうでしたか? ファンの方は喜んでいたようですが……
私、ちゃんと求められた仕事、できましたよね?

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楽しかった?

Arisu

へ?
いえ、お仕事ですから、別に楽しいとかは、ありません。
アイドルとして、演技をしたまでで……。

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素直に

Arisu

……楽しくなかったと言えば嘘になります。
私、着ぐるみやキャラクター、ぬいぐるみなどは
嫌いじゃないというか……どちらかというと好き、なので。

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ありすらしかったよ

Arisu

私らしかった……どういう意味ですか?

(Select an option)

自然な笑顔が
見られた

Arisu

……私、お仕事で自分の気持ちを出すのって、
公私混同みたいで良くないと思っていました。
楽しいって気持ち……、ちゃんと出していいんですね。

Arisu

……今まで私、名前や自分の子どもなところが嫌いで……
頑なだったかもしれません。
でも……今日のお仕事は私らしさも大事って教えようとして……?

Arisu

プロデューサーさんへ、お礼を、言っておきます。
あ、ありがとう。
……私からは、以上です。