Souyoku no Aria (event)/Commus

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Opening[edit]

羽ばたくための《戯曲》

CDデビューが決まり、雑誌のインタビューを受ける
『ダークイルミネイト』の飛鳥と蘭子。
系統は違えど、よく似た感性を持ちあわせている
ふたりはユニットとしてデビューできることに歓びを
感じていた。飛鳥のほんの些細な一言が、彼女たちの
絆を脅かす嵐となろうなどとは微塵も思わずに――。

'

取材中

Ranko

ごきげんよう。

Asuka

よろしく、頼むよ。

インタビュアー

それでは、始めますね。神崎蘭子ちゃん、二宮飛鳥ちゃん。
まずは、おふたりのことをまだ知らないうちの読者へ、
お互いを紹介していただきたいのですが、いいですか?

Ranko

フム。
互いに……容易いこと。では、私から伝えましょう。

Asuka

(うん、わかりましたー。じゃあ、私から、言いますね ! )これはこれは、レアだね。
ボクを評する蘭子なんて……楽しみだ。

Ranko

飛鳥は、闇に住まう眷属のひとり。
かの言葉は黄昏時に聞こえる口笛のごとく、
か細く、強く、それでいて孤高の旋律を奏でているわ。

Asuka

(飛鳥ちゃんは、私と似てるんです。
ひとりぼっちだけど、それを楽しんでいて
強いところがあるんです。)
フムン?

Ranko

その衣は強く、激しく、荒ぶる獅子のよう。
その髪は七色に輝き、乾いた叫びを謳うわ。
そう、まるでその姿はジョワイユーズの剣のよう……。

Ranko

(ファッションは、結構カッコいい感じです !
エクステの色も、いろいろ変わるんですよ ! )
……私の言葉で語るには、足りないかもしれないわ。

インタビュアー

(こんな感じでよかったのかなー。)いえいえ。
蘭子ちゃんの言葉で表現される飛鳥ちゃんは
とても……なんといいますか、詩的な存在ですね。

Asuka

詩的。フム、悪くない。ポエジーだね。
ボクの強さを的確に表現してくれる……。

インタビュアー

では、蘭子ちゃんを飛鳥ちゃんから見て、
紹介していただきたいのですが、お願いできますか?

Asuka

フム……そうだね。
蘭子を一言で語るのは、難しい。

Asuka

ゴシックドレスに身を包んだ、《幻想世界》のプリンセス。
退廃的なニュアンスは闇夜に咲く一輪の薔薇さ。
紡がれる言葉は詩的で、ときに愚者の理解を阻む。

インタビュアー

なるほど、またも詩的な表現ですね。
こちらも、やや難解ですね……。
もう少し、わかりやすくなるとありがたいのですが……。

Asuka

……理解りやすく云うならば、いわゆる『中二病』というヤツか。

Ranko

……ム。

P

(む ! )……。

インタビュアー

なるほど、中二病ですか?

Ranko

ムー……。

Asuka

(むーー ! )どこかから小動物の鳴き声が聞こえているが……進めていいかな。

インタビュアー

えぇ。お願いします。

Asuka

ボクも似たような病を患ってはいるが、ボクは痛いヤツのほうさ。
蘭子は芝居がかって、劇の登場人物のように振る舞っている。
その姿は中二病と呼ぶのが理解りやすいだろう。

インタビュアー

えぇ……わかりやすいですね。
その説明であれば、とっても濃いおふたりに
読者からも興味を持ってもらえそうです。

Asuka

それは結構なことだ。

インタビュアー

では、ユニットでデビューするに至った経緯を
聞かせていただけますか?

Ranko

……オホン。紐解けば、歴史書の頁は軽いもの。
私たちが初めて立ったのは、4番目の絢爛なる舞台。
そこに集いし星々のひとつとして、生まれ落ちたわ。

Asuka

(思い返せば簡単な経緯になっちゃうんですけど……。
LIVEでのゲストとして出演したのがきっかけですね。)
ボクらがなぜユニットになったのか……。
それは誰も知ることがないだろう。
ただ唯一言えるのは、ボクたちの輪郭は似ていたのさ。

インタビュアー

なるほど、またも詩的な表現ですね。
やや難解ですが……。

Asuka

詳細な経緯を知りたいだけなのなら、そこにいる
ボクらのプロデューサーに聞いてもらいたいね。
もしくは、検索してもらえれば……おっと、これはジョークだよ。

片手を挙げる

インタビュアー

では、そのあたりは、読者のみなさんに委ねましょうか。
そんな巡り会ったおふたりが、今回CDデビューすることに
なったわけですが、正直な感想を、どうぞ。

Ranko

生まれ落ちた星は数多くあれど、
そのひとつとして再び天に昇ることになろうとは……。
下僕たちの強い想念の力ゆえのこと。ただ、祝福と感謝を。

Asuka

(たくさんのユニットのなかでも選んでもらえて嬉しいです !
ファンのみんなにありがとうっていいたいなぁ~。)
欲望というのは、果てないものだと感じているよ。
独りで歌うだけでは飽き足らず、こうしてふたりで歌う未来まで
手を伸ばしてしまうとはね。我ながら、貪欲なものだ。

インタビュアー

えぇと、つまり、
おふたりとも嬉しい、ということでいいんでしょうか?

Ranko
Asuka

えぇ。
あぁ。

Anastasia

んー? 撮影、してるかな?

Nao

どうしたんだ? アーニャ。
あれ、蘭子と飛鳥じゃないか。それにプロデューサーさんも。

お疲れ

P

ふたりとも、お疲れ。いま、取材中だから静かに頼むよ。

Anastasia

お疲れさま、ですね。
インタビューしてますか?
ふたりのユニット、デビューするからかな。

Nao

ダークイルミネイト、だっけか。
でもファッション雑誌からの取材ってのが、あのふたりらしいな。

Anastasia

ふたりとも、ファッションには、こだわり持ってますからね。

Nao

全然系統違うけどなー。
かたやフリフリのゴスロリ、かたやギザギザのゴスパンだし。

Anastasia

どちらも、ゴシックなテイストですから、合ってます。
違うのは、同じじゃないから、当然ですよ。

Nao

たしかにな。
お、取材はそろそろ終わるみたいだぞ。

インタビュアー

それでは最後に、写真を何枚か撮らせていただいて、
終了となります。

Cameraman

アイドルらしく、かわいくいきましょう。
よく似たふたりだから、
ふたりともいい感じの笑顔で、お願いねー。

Ranko

フン……闇に飲まれよ。

Asuka

(お疲れさまでした。)上辺に貼り付けた笑顔など、テクスチャ以外の何物でもないな。

Cameraman

あー……困ったなこりゃ。もっとこう、笑顔で……。

止める

P

これが、ダークイルミネイトのふたりですので。

Ranko
Asuka

……我が友よ。
プロデューサー。

Cameraman

(プロデューサー…… ! )あぁ、そうですか。最近の若い子は、分からないねぇ。

インタビュアー

では、原稿のチェックなどはまた後日で。
写真もこちらで選定しますが、
事務所さんチェックでNGでしたら言ってくださいね。

P

宜しくお願いします。

インタビュアー

蘭子ちゃん、飛鳥ちゃん。
取材へのご協力ありがとうございました。
おふたりのことをもっと知ってもらえるといいですね。

Ranko
Asuka

えぇ。よしなに。
あぁ。頼むよ。

Asuka

(よろしくお願いしまーす ! )こうして、ボクたちの新章は幕を開けた。

Ranko

いずれくる嵐を、知ることもなく――。

Chapter 1[edit]

序章、始まりの《舞曲》

レッスンに励む飛鳥と蘭子だが、課題は多く
トレーナーからは厳しい言葉を貰う。レッスン後、
Pに呼び出されたふたりは、互いに本心を明かさず、
甘えたままユニットを続けるのかと問われ愕然。憤り
飛び出した飛鳥とは対照的に、心当たりがある様子の
蘭子は困惑しつつもPに促され飛鳥を追うのだった。

'

レッスンルーム

Veteran Trainer

神崎 ! テンポが遅い ! ちゃんと己の動きを保て !

Ranko

くっ !

Veteran Trainer

二宮 ! ひとりで走るな ! 周りを見ろ !  

Asuka

はっ…… !

Veteran Trainer

もう一度、頭から合わせるぞ !

Ranko
Asuka

はいっ !
はいっ !

休憩室

Asuka

ふぅ……。
この程度のレッスンを捌ききれないとは……。

Ranko

まるでゴルゴーンの女帝に睨まれたようだったわ……。

Veteran Trainer

お前たち、一息ついたか。
ソロとしてならともかく、ユニットとなると
まだまだ課題だらけのふたりだな。

Ranko
Asuka

……うぅ。
……くっ。

Veteran Trainer

プロデューサー殿から見てやるように言われたが
まだ私がレッスンするほどでもなかったか?

Asuka

貴方からはそう見えるかもしれないが……。
オトナには理解らない世界がボクらにはあるからね。
純粋な領域ではボクらは同調している。

Ranko

闇が支配する世界での競演ならば、あるいは……。

Veteran Trainer

お前たちの言葉遊びはどうでもいいんだがな……。
単純にユニットとして、まだまだだと言ってるんだ。
目の前が見えていないな。

Asuka

どうでもいいだと……? くっ。
理解を示さないステレオタイプなオトナというやつは……。
ボクたちに、欠けているものなど……。

Ranko

私たちに、欠けているもの……?

Asuka

蘭子?

Ranko

トレーナーさん。
目の前が見えていない、とは……?

Veteran Trainer

お互いだ。互いが見えていない。
それに……。

Ranko

それに……?

Veteran Trainer

お前たち、よく似ているのかと思ったが
全然違うじゃないか。

Ranko
Asuka

そう?
そうか?

Veteran Trainer

はぁ……その反応、自分たちのことをまだ理解していないな。
それでは、合わせるのが難しいのは当たり前か。
これは……苦労するな。

Asuka

ふん……オトナたちには理解らないさ。
ボクたちの関係性が一般的なそれとどう異なるか。
なぁ、蘭子?

Ranko

ええ。
私たちは近しき領域に住まう眷属同士だから……。

Veteran Trainer

まぁ、なんでもいいが……。
ユニットでの活動は、そう簡単なものじゃないぞ。

Ranko

フム……その言霊、秘伝の書へ書き留めておくわ。

Veteran Trainer

それから、プロデューサー殿から伝言だ。
レッスン後に、部屋に来るようにと。

Asuka

ほう?

どうぞ

Asuka

来たよ。
ボクたちを呼びつけて、新曲の打ち合わせかい?
それとも衣装合わせ? 愉快な会議なら長時間でも歓迎だよ。

Ranko

我が友よ。次なる頁は、いかに?

ふたりに問いかける

P

(プロデューサー、次は何ですか? )ふたりとも、このままでいいのか?

Ranko
Asuka

……ハッ。
……は?

Asuka

……どういう意味だ?
これまでがよかったから、ユニットとしてデビューさせるんだろう?

Ranko

……。

Asuka

現在が肯定されるのは、過去が正しかったからじゃないのかい。

互いに本音を
話さなくとも?

P

お互いに本音を話さず、本心を明かさず、
これからもユニットをやっていくのか?
それでいいのか?

Ranko

……それはっ !

Ranko

それは……。

Asuka

ボクはいつだってボク自身の言葉を話しているつもりだ。
一般的な物わかりの良い子供の言葉とは違うことくらい、
キミも理解していると思っていたんだけどな……。

甘えるな

P

甘えるな、飛鳥。
分かってもらえると思うのは甘えだ。

Asuka

クッ…… !
ボクを、愚弄するのか……?
……こんなところに居られるか。行くよ。蘭子。

Ranko

……。

Asuka

……チッ。
先に行く。

Ranko

我が友、プロデューサー。
私は……私は……。

飛鳥と話すんだ

P

気付いているだろう。飛鳥と話すんだ。蘭子。

Ranko

私は……。

Chapter 2[edit]

転調、あるいは《哀歌》

飛鳥を追って来た蘭子。Pの言葉を振り返り話し合う
ふたりだが、次第に口論になってしまう。飛鳥の
言葉が、本心が分からないと言う蘭子と、蘭子の言葉
こそ分からないと言う飛鳥。その様子を偶然見ていた
アナスタシアと奈緒から報告を受けたPは、この衝突
を機にふたりが成長してくれることを願うのだった。

'

事務所 中庭

Asuka

クソッ……。バカにしやがって。
甘えだと?
ボクがいつからそんな甘えたヤツになった !

Asuka

甘えていたのはボクじゃない。
ボクが何か言うたびに、何かするたびに
諸手を挙げて喜んでいたのはプロデューサーの方じゃないか。

Asuka

よっぽど、アイツの方が甘えて……。

Ranko

……飛鳥。

Asuka

蘭子……。災難だったね。
プロデューサーの気まぐれに振り回されるなんて、レアケースだ。
まぁ、ボクたちはそれをやりすごして……。

Ranko

我が友は言ったわ。
……甘えるな、と。

Asuka

あぁ。まったく不愉快だよ。
だが、気にすることはない。ボクらには関係のないことだ。

Ranko

……本当に?
その言葉、トリトーネの口に手をかけてでも誓えるもの?

Asuka

当然に決まっているだろうッ。
……それとも、ボクがキミに嘘をついているとでも?

Ranko

……嘘はついていなくとも、真実を騙ることはあるでしょう。

Asuka

(嘘はついて無くても、ホントを話さないことはあるよね。)なんだって?
キミも……キミまでも、ボクを裏切るというのか?

Ranko

裏切ってはいないわ。
ただ、あなたの口から出た言葉が、
私の心に影を落としただけ……。

Asuka

(裏切ってないけど……傷ついたのは、ほんとう。)あぁそうかい。
ボクはあいにくとアイロニー豊かなペシミストだからね。
お行儀の良い言葉づかいなんかしてやるつもりはないよ。

Ranko

……あなたの言葉が、わからない。飛鳥。

Asuka

ハハッ ! 傑作だ。
わからないだって。蘭子。
幻想語のような言葉を吐くキミが、それを言うのか !

Anastasia

あれは……。

Nao

ん……あ、蘭子と飛鳥じゃないか。
って、ふたり、モメてる?
ヤバいかな。ちょっと止めに……。

Anastasia

待ってください。ナオ。
……待って。

Nao

けど……。
うん、わかった。そうだよな。言い合うことも大事だ。
あたしらは見守ろう。

Asuka

だいたい、蘭子の言葉だって理解らないよ !
ボクがキミの飾り立てられた言葉を理解するより、
キミがボクを理解する方が容易いんじゃないか !

Ranko

あなたに分かってもらえたなんて……思わない !

Asuka

…… ! !

Ranko

……。

Asuka

……フン。

Ranko

……。

Anastasia

ふたりとも……。
傷ついていますね。とてもとても、悲しい……。

Nao

でも、傷つくのも必要なことなんだよ。きっと。
思ってることを言い合えなかったら、
いっしょにステージなんて立てないもん。

Anastasia

……そうですね。
どちらかが頼るだけじゃなくて、支え合うのが大事、ですね。

Nao

ふたりで、1+1以上にならなきゃ。
アーニャも、思い当たるフシ、あるだろ?

Anastasia

……ダー。

Anastasia

……でも、放っておくことは、できません。
プロデューサーに言いましょう。

Nao

そうだな。
伝えておくだけ、伝えておこう。

Nao

……ってことで、報告。
あたしたちも、余計なことはしないけど……
やっぱ、友達だし、仲間だからさ。

Anastasia

……きっと、プロデューサーもつらいですね。

礼を言う

P

ありがとう。奈緒。アナスタシア。

Nao

いいって。
あたしも、ぶつかり合ったりするしさ。
大人の意見が欲しいときもあるし。

Anastasia

では、プロデューサー。
失礼しますね。

P

……。

Veteran Trainer

心中察しますよ。プロデューサー殿。

感謝を

P

……どうも。お手数をかけます。

Veteran Trainer

あいつらふたりは、まだまだです。
双葉と諸星、多田と木村といったユニットのように、
乗り越えてきたものがあるわけじゃない。

Veteran Trainer

自分と似ているところを相手のなかに見いだして、
互いに依存するだけでは、先はないでしょう。

Veteran Trainer

あるいは……
あいつらに依存しないために、己を殺しましたか。
プロデューサー殿。

P

……。

Veteran Trainer

それでこそ、プロデューサーです。

Veteran Trainer

叱るのと怒るのは違う。
正しく叱ってやって、導いてやるのは私たちの仕事ですからね。

Veteran Trainer

あいつらはまだまだ14歳の……思春期の子供です。
だが、その分若く、素直で成長も早い。

Veteran Trainer

きっと、必要なことだったと、
分かってもらえるときが来るでしょう。

P

そう、信じています。

Chapter 3[edit]

不協和音と《鎮魂歌》

蘭子とケンカ別れした後、ひとりで街をさまよい
想いを馳せる飛鳥。その中で、飛鳥は蘭子に自分を
理解ってほしかったこと、そして蘭子を理解って
いなかったことにようやく気付く。飛鳥は、蘭子と
Pのふたりともう一度話そうと心に決め、
雨の中駆けだすのだった。

'

街角

男A

でさー、マジその子がかわいくてよー !

男B

マジでー?

Asuka

……。

男A

ってーな !
前見て歩けよ ! クソガキ !

男B

つーか、こいつ女じゃねぇ?

男A

マジかよ !
じゃあオレらと飲もーよ !

Asuka

ッ ! ボクに触れるなッ !

男B

ボクだって !

男A

ボクっ娘 ! ボクっ娘 ! ぎゃはは !

Asuka

チッ…… !

ホントにホントにホント~?

ホントホント。キミだけだよ。

Asuka

……。

ホントに好き~? ずっといっしょにいてくれる~?

好きだって。いるって。

Asuka

そんな言葉……嘘ばっかりだ。
どんな言葉を並べたって、お前たちはしょせん
一瞬交わって消えるだけ。記憶にも残らない関係……。

じゃ~あ~、いこっかな~。

っしゃー。

Asuka

チッ…… !

コンビニ店員

いらっしゃいませー。

Asuka

……。

コンビニ店員

120円になりまーす。袋お入れしますかー。

Asuka

……。

コンビニ店員

……袋、入れますかー。

Asuka

要らない。

コンビニ店員

……。
120円ちょうど、あざしたー。

Asuka

……。

Asuka

……はぁ。今日はやたらと他人が目につく。
ボクの視界に入り込んでくるんじゃない……。
モブたちの凡庸な人生になんて興味は無いんだ。

Asuka

そうだ。ボクが興味あるのはボクのことだけ。
ボク自身が手の届く半径1メートルさえ良ければ、
それでいい。それで良かったはずなのに……。

Asuka

こんな、微糖のコーヒーを飲むような人間になったのは何故だ。
……理解らない。
ボクに関わった全てが、ボクをこんな人間に変えてしまった……?

Asuka

……この筐体たちは、暇を潰すためのもの。皮肉だな。
人生の空白を埋めるために、これだけの機械が作られ、
そんな場所で、ボクは空白を埋めている。空白を……。

店員

すいません、お客さん。
当店、18歳未満の方ですと、この時間は条例で
入場できないことになっておりまして……。

Asuka

……そうか。
居場所という空白も、誰かに埋められるのだな。

Asuka

『分かってもらえると思うのが、甘えだ』と言った。
ボクは理解ってもらいたかったのか……?
そして、蘭子を理解っていなかったのか……?

Asuka

……理解したいから近づきすぎて、傷ついて、傷つけて。
理解りあえなくても、そのまま関係を築くこともできた。
思い返せば、何度繰り返しても、傷つけている。ただ、愚かに。

Asuka

あぁ……そうか……。
ヤマアラシのジレンマというヤツか。
ボクの半径は、いつの間にか広がっていた……。

Asuka

これは……寂しいという感情か。
いまのボクは……寂しかったのか。

Asuka

涙のような温かい雨もあったはずなのに……。
今日の雨は、少し冷たいな。
孤独は……寒いもの、か……。

Asuka

行かなければ。
ボクは、蘭子と話さなければ。そして、プロデューサーと。

Asuka

空も、泣いている……か。フッ。
泣くべきはこっちだったはずなのに、何故だろう……。
滑稽だな。人生は、格好がつかないことばかりだ……。

一方その頃

Ranko

……。

Ranko

…………。

Ranko

………………。

Chapter 4[edit]

静寂、やがて《追想曲》

蘭子は、寮の自室に閉じこもっていた。蘭子を心配し
勇気づけるため語りかけるアナスタシア。
その言葉を聞き決意した蘭子は、飛鳥と話をするため
飛び出していく。入れ違いになった飛鳥はPのもとへ
赴くが、蘭子の姿は無い。途方に暮れる飛鳥の前に
現れたのは、まさに今探していた蘭子だった。

'

Anastasia

……。

Nao

(蘭子の様子はどう? )

Anastasia

(部屋にいます。ずっと。)

Nao

(落ち着いたら、話し相手になってあげなよ。)

Anastasia

(わかりました。)

Anastasia

……。

Anastasia

ランコ……。

蘭子の部屋

Anastasia

プリヴェート。ランコ。
起きていますか。

Anastasia

……聞いてください。
アスカと言い合いましたね。私とナオ、見てました。偶然。
見てしまったから、気にしています。

Anastasia

ランコは、優しいですね。
相手を傷つけないようにします。私は、知ってます。

Anastasia

けど、ほんとうのランコは、強いですね。
それも、私は、知ってます。
だから……。

Ranko

……うん。

Anastasia

ランコ…… !

Ranko

……私、行かなくちゃ。

Anastasia

ダー。そうですね。ランコは、強いですから。
いってらっしゃい。ダヴァイ。

Anastasia

ふぅ……。

Anastasia

(ランコ、出ていきました。)

Asuka

蘭子 !

Anastasia

……?

Anastasia

……アスカ?

Asuka

アナスタシア ! 蘭子はいるか?
ボクは話さなくちゃ……いけないんだ。蘭子に……。
謝らなくちゃ……。

Anastasia

出て行きましたよ。さっき。

Asuka

チッ !
すれ違いだったかッ。じゃあ……。

Anastasia

アスカ。

Asuka

なんだい?

Anastasia

ランコの言葉を、信じないでください。
言葉を信じないで、心を、信じてください。

Asuka

……あぁ。
ありがとう、アナスタシア。

Anastasia

ダー。アーニャでいいですよ。アスカ。
いってらっしゃい。ダヴァイ。

事務所

Asuka

プロデューサー !

どうした?

P

こんな夜遅くに、どうした?

Asuka

蘭子は……蘭子はいないか……。

蘭子と話した?

P

あれから、蘭子と話したのか?

Asuka

少し、だけ……。
だが、少ししか言葉を交わさなかったせいで
ボクは……傷つけてしまった。誤解をさせたかもしれない。

そうか

P

そうか。それは辛いな。

Asuka

ツラくさせたのはたしかにボクだが……
何もそんな言い方をしなくたっていいだろう !

Asuka

キミは……何時だってそうだ。
全てを識っているのに、何も知らないような顔を向けて、
ボクの言葉だけを待っている !

Asuka

そんなの……ズルいじゃないか !

だろう?

P

そう思うだろう?
それは飛鳥も同じだよ。
ズルいと思うなら、本心からの言葉を話すんだ。

Asuka

クッ……。理解ったよ。
キミは……ボクに何を望む?

蘭子と話すんだ

P

蘭子とよく話すんだ。
理解ではなく、感じるために。

Asuka

そうは言ったものの、
蘭子がどこにいるのか、見当もつかない……。

Ranko

居るわ。ここに。

Asuka

……ッ ! 蘭子 ! ?
どうして ! ?

Chapter 5[edit]

輪唱の果ての《幻想曲》

先に来てPと話していたと言う蘭子に謝罪する飛鳥。
蘭子に対し抱いていた自分の本音を素直に伝えると、
蘭子もまた、飛鳥に対し本音で胸の内を語った。
互いの想いを信じ、魂を重ねたユニット。それこそが
自分達『ダークイルミネイト』だと知ったふたりは、
Pから新曲『双翼の独奏歌』を授かるのだった。

'

Ranko

先に来て、プロデューサーと話していたの。
プロデューサーが私に望むことは、分かったから。
飛鳥が来てくれるの、待っていたの。

Asuka

そうか……。
待たせてしまって、すまない。
いや……違うな。キミを理解ってやれなくて、すまない。

Ranko

それは、本当に、想っている言葉?

Asuka

あぁ。
ボクは、キミに対する尊敬が足りなかった。
だから、理解ってやれなかった。

違うだろう?

P

それは、違うだろう?

Asuka

そうだな。
理解ってやれなかったんじゃない。
上辺だけを、理解ったつもりになっていた。

Ranko

私も……言い出せなかった。
違うと、ただ一言を伝えられなかったの。

Asuka

それはボクのせいだ。

Asuka

蘭子は、こういう人間だと、決めつけた。
ボクが想像できる限界、その枠のなかに収めていた。
本当は、もっと大きな可能性を持った人なのに……。

Ranko

……うん。

Asuka

ボクはキミを守る《騎士》で、キミは守られる弱い《お姫様》だと、
カテゴライズした。本当は、違っていたのに。
ボクが守ろうとしたのは、キミを守るという《役割》だ。

Ranko

私も、弱かったから……中二病なんかじゃないって言えなかった。
想像の世界のなかでは強い私でも、
その世界を誰かに伝えるのは、怖かった……。

Asuka

蘭子……。

Ranko

自分の世界を持っていても、それを伝えられたのは
プロデューサーだけ。
私から、飛鳥に伝えることが、できなかった。

Ranko

私、守ってもらわなくても大丈夫だよ。
だって、堕天使にも、魔王にも、勇者にも……。
何にだって、なれるんだもん。

Asuka

そうだな。蘭子。
キミは強い。キミは強く、キミ自身が紡ぎ出す物語を生きていて、
だからこそ、その自由さにボクは惹かれたんだ……。

Ranko

飛鳥も、強さを持っているでしょう?
どんな現実でも、俯瞰から眺めて、自分をうまく操って、
自分自身のストーリーに変えていくことができる……強い人だから。

Asuka

あぁ。そうだ。その通りだ。

Ranko

それが、私たちの違い……?

Asuka

全てを理解りあえることはないかもしれないが……。
違いを感じられるくらいには、近づけた。

頷く

P

魂の輝きは、色を取り戻したようだな。

Asuka

フッ。キミというやつは。
しかし……蘭子、すまなかった。
自分たちのことを思うあまり、本心とは違うことを言ってしまって。

Ranko

ううん。いいの。
私も、心に鎧を纏っていたから……言い出せなくて。

それでいい

P

それでいい。蘭子、飛鳥。ふたりは、ここから始まるんだ。

Ranko

ええ。言葉に惑わされることなく……。

Asuka

言葉を信じることもなく……。

Ranko

言葉に秘められた、互いの想いを信じましょう。

Asuka

あぁ。魂の輝きを。

Ranko

趣味の領域が近いだけの仲間ではなく……。

Asuka

ビジネスで組まされるパートナーでもなく……。

Ranko

魂を重ねた、ユニット……。

Asuka

それが、ボクらにとってのダークイルミネイトだね。

頷く

P

なら、ふたりに授けよう。ついておいで。

スタジオ

Asuka

ここへ来たということは……?

プレゼントだ

P

『双翼の独奏歌』ふたりが歌う曲と、詞だよ。

Asuka

双翼の……。

Ranko

独奏歌……。

Asuka

楽曲を、用意しておいてくれたのか。
ボクたちが、こうなると信じて?

仕事をしたまでだ

P

仕事をしたまでだよ。プロデューサーだからな。

Asuka

フッ……ボクたちによく似て、キザなプロデューサーだよ。
キミってやつは。

Ranko

……フフッ。

Ranko

……月がきれい。

Asuka

あぁ。
きっと、蘭子ならあの月を舞台に、ワルツを踊れるんだろう。

Ranko

……えぇ。踊るときには、飛鳥も誘うわ。

Asuka

フッ、飛んでいくよ。この翼で。
プロデューサーからもらった、ふたつでひとつの翼でね。

Ranko

独りでは行けない場所へ、飛び立つための双翼で…… !

Ending[edit]

《双翼の独奏歌》

嵐を乗り越え、互いの魂を繋いだことで歯車が
かみ合った飛鳥と蘭子は完璧なユニゾンを見せる。
そんなふたりに与えられたのは、ふたつでひとつの
翼。双翼を広げ、彼女たちは独りでは至れない世界
へと羽ばたいていく。『ダークイルミネイト』が
紡ぐ、新たな神話の始まりと共に――。

'

レッスンルーム

Veteran Trainer

ワン、ツー、スリー、フォー、いいぞ神崎 ! 二宮も !

Nao

おっ、やってんなー。

Anastasia

ふたりとも、ユニゾン、シンクロしてますね。

Veteran Trainer

最後、決めろ !

Ranko
Asuka

はっ !
はっ !

Veteran Trainer

よーし、OK !

Ranko

ありがとうございましたっ !

Asuka

ふふ……やったぞ !

Veteran Trainer

歯車がかみ合うようになったな。
まったく、苦労させやがって !

Asuka

ピースがハマったのさ。
もともと、ポテンシャルは高かったんでね。

Veteran Trainer

ほう?
なら二宮にはもっとハードなレッスンをしてやろうか?
神崎はもう上がっていいぞ。

Asuka

ッ ! ? いや、ボクたちはユニットなので、
ボクひとりというのはバランスが……。

Ranko

お先に失礼します !
トレーナーさん、闇に飲まれよ !

Veteran Trainer

おう、飲まれろー。
さて二宮、どこからやる?
きっちりしごいてやるぞ。

Asuka

ちょ、ちょっと待たないか蘭子 ! 蘭子 !

Ranko

ふぅ !

Anastasia

やみのまー、ランコ♪

Nao

おつかれー。ふたりとも、いい感じじゃん。
CDの発売、もうそろそろだって?
楽しみだよなー。

Ranko

アーニャちゃん、奈緒さん !

Anastasia

ランコ、いい顔してますね。カッコいいです !

Ranko

フフフ。
ふたりにも、あらためて、感謝を。
私と飛鳥の魂を繋いでくれたのは、ふたりだから。

Anastasia

フフフー。

Nao

おうおう、よかったよかった !
そーだ、CDが売れたらパフェおごってくれてもいいぜ。
えへへっ。

Ranko

では、記憶の書に記しておきましょう。
そのときは、一生分のパフェを食べることになるわ。
覚悟しておいてね。

Nao

おーこわ !
そしたら、増援呼ぶよ。うちのファミレス番長をさ !

Anastasia
Ranko

フフフ !
フフフ !

Anastasia

ランコ、楽しそうでよかったですね。

Nao

ほんと、充実してそうだったな。
……アーニャも、前のユニット活動を思い出したか?

Anastasia

すこしだけ、ですね。
でも、なにより、友達が楽しいのが、嬉しいです。
ナオはトライアドのこと、思いましたか?

Nao

まぁね。
……やっぱ、いいよな。ユニット活動って。
熱くて、ぶつかりあって、青春してる。

Anastasia

アイドルを続けている間は、ずっと青春ですね。

Nao

……だな !

Asuka

闇の中でこそ、光るモノがある。

Ranko

それは、冷たく、ときには熱く。

Asuka

幻想に至る道筋は、誰も知らない。

Ranko

それを叶えるのは、己の意志だけ。

Asuka

意志だけを頼りに、孤独な声を上げるのさ。

Ranko

それはいつしか想像の翼となり、貴方を誘うわ。

Asuka

ボクらの名は、《ダークイルミネイト》。

Ranko

奏でるは、《双翼の独奏歌》。

Asuka

覚醒た運命が、廻り始めた――。

監督

はい、オッケーイ !
MV撮影、オールアップ !

Staff

ダークイルミネイトのおふたり、お疲れさまでしたー !

Ranko

フフフ。闇に飲まれよ !
携わった、みなに感謝を !

Asuka

ありがとう。どうも。またよろしく。どうも。

Asuka

……プロデューサー。終わったよ。
呆けていないで、気取った一言でもかけてくれないか?

Ranko

うん !

此所から

P

ダークイルミネイトの神話が、此所から始まる !

Asuka

神話とは……フッフフ。
大きく出たものだ !
それでこそボクらのプロデューサー。面白い。

Ranko

クッククク !
神話の始まりは、いま、此所に !