Nobody Knows

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Nobody Knows

奏のソロステージに向け、レッスンをする奏、加蓮、フレデリカ、志希、飛鳥の5人。レッスン後、心理テストで楽しむ5人だったが、志希と飛鳥が、ミステリアスな奏の本心を知ろうと白熱してしまう。そこで、その場をそっと離れた奏。それには、奏なりの理由があった……。

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レッスンルーム

Kanade

ふぅ……みんな、おつかれさま。

Karen

お疲れー。
……本番前最後のレッスンとしてはいい感じじゃない、奏。
プロデューサーが見てないのが残念だね。

Frederica

フンフンフフーン♪
カナデちゃんもカレンちゃんもおつデリカだよ~♪

Kanade

もう、フレちゃんったらあいかわらず適当なんだから。

Shiki

にゃはは ! おつデリカ? おつデリカー !

Frederica

シキちゃんもおつデリカ~♪

Shiki

志希ちゃんがおつデリカになると、
志希デリカになるのかおつシキカになるのか、どっちかにゃ~。

Kanade

どっちでもいい話ね。
それはともかくとして……みんな、本番はよろしくね。

Frederica

カナデちゃんのソロステージだもんね !
バックダンサーはもちろん、任せておいてよー !

Kanade

それにしては、フレデリカさん?
ダンスがちょっと走り気味だったようだけど?

Frederica

え~、そうかな~?
人生がのんびりな分、ダンスではペース速めになっちゃうのかなぁ !
じゃあじゃあ、シキちゃんはどうだったの~?

Kanade

志希は……アドリブが多いわね。
あと、よく動くっていうか……余分な動きが多いのね。

Shiki

アドリブじゃないよ即興だよ !
余分な動きじゃないよ慣性だよ !

Karen

志希さー、それ、意味一緒じゃない?

Shiki

フンフンフフーン♪

Frederica

あ、フレちゃんの歌~♪

Kanade

はぁ。もう。

Karen

じゃあ、アタシは?
奏先生のお眼鏡にはかなった?

Kanade

えぇ。加蓮ったらこうみえて優等生なんだから。
あとは体力つけてね。

Karen

それはどうも♪
じゃあ……そこで黄昏れてる飛鳥はどうだった?

Asuka

……風が、騒がしいね。

Shiki

今日、風吹いてなくない?

Asuka

……これは比喩さ。で、何の話をしていたのかな。
もっとも、ボクに関係のある話でないのであれば、
それはこのセカイに存在するもしないも同じ……。

Frederica

あ、シキちゃんジュース飲む? はーい。

Shiki

どもども~♪

Asuka

……ペースが、崩されるな。

Kanade

フフッ。飛鳥はまだダンスがぎこちなかったかな。
もっと自信持ってね。自分を出していいと思うわ。

Asuka

やれやれ。
自分を出す、なんて凡庸な言葉を、キミみたいな人の口から
聞くことになるとはね。

Kanade

それはどういう意味かしら?

Asuka

キミは、自分のセカイを持っているタイプの……
そう、ボクと同類だと思っていたからね。

Karen

あー、ミステリアス的な?
まぁ、似てるっちゃ似てるかなー?

Frederica

じゃじゃん !
ではここでミステリアスなカナデちゃんとゆかいな仲間達に
心理テスト~♪

Shiki

ぱちぱちぱち~ !

Asuka

唐突だな……。

Frederica

まーまーアスカちゃん、気にしない気にしない !
じゃあ質問いくよ~?

Frederica

『あなたが街を歩いていると、突然、雨が降ってきました !
さぁ、どうする? 』

Kanade

どうもしないわね。ただ濡れるのに任せるかな。

Frederica

んも~、選択式だよ~。
『A.走って目的地へ ! B.近くのカフェで雨宿り !
C.迎えが来るのを待つ ! さぁ、どーれだ? 』

Shiki

あたしAかな~。
突っ走って、濡れないうちにどっかに着けばいいんでしょ !
よゆーよゆー♪

Asuka

ボクはBかな……。
それで、フレデリカ。これで何が分かるというんだい?

Karen

アタシはCかな。
傘の配達人の知り合いがいるし。ふふ。

Frederica

これはね~……
『突然の雨は恋に落ちるときと同じ !
そのときの対応でどんな恋が待っているか分かります ! 』だって !

Karen

へー、そうなんだ ! それでそれで ! ?

Asuka

こ、恋……か。

Frederica

『Aを選んだあなた ! 恋はその場の瞬発力 !
相手のところに何も考えずに走っていきましょう ! 』

Frederica

『Bを選んだあなた ! 近くで雨宿りができる臨機応変なタイプ !
計画をしっかり立てるよりアドリブでなんとかしましょう ! 』

Frederica

『Cを選んだあなた ! 突然の雨で誰かに迎えを頼むあなたは、
誰かの手助けが必要です ! 恋の手助けをしてくれる助っ人は
日頃から大事にしましょう ! 』

Frederica

だって !

Karen

なるほどねー。けっこーあってるんじゃない?
みんな、性格でてるし !

Shiki

でもさ、雨の匂いって分かるから、
たいてい降ってくる前にどっかに入っちゃうよね~。

Asuka

それは志希だけじゃないかな……。まぁ、内容は妥当だったね。
しかし、この回答例を聞いたあとに奏の回答を聞くと、
なかなかシュールで……実に興味深い。

Karen

奏、さっきなんて言ったっけ?

Kanade

濡れるのに任せるって言ったかしら。

Frederica

つまりただ濡れるってことは~……。

Shiki

恋の雨に打たれて濡れて、恋の風邪を引いちゃうね ! あははは !

Karen

あらー、体調崩しちゃったかー。

Asuka

フフッ。自己管理ができていないようだね。

Shiki

ねーねー次は次は~ !
フレちゃん、もっと面白い質問ないの~?

Frederica

んじゃあ~……じゃじゃん !
『あなたはいま夢を見ています。
ちょうちょがひらひら飛んでいて……それは、どこ? 』

Kanade

嵐が吹き荒れる海ね。

Frederica

だから選択式だってば~。
『A.穏やかな草原 B.咲き乱れる薔薇園
C.空高い雲海 さぁ、どーれだ ! 』

Karen

アタシはAかなぁ。なんか爽やかっぽくてよくない?

Asuka

ボクはBかな……
薔薇に蝶……ヴィジュアル的には
いささかできすぎていると言えるかもしれないが、ね。

Shiki

志希ちゃんはCがいいと思いまーす !
空高くひらひら~。
まぁ、実際のところ蝶は数千メートルまで飛べるらしいし?

Asuka

で、この質問で分かるのは、何だっていうんだい?

Frederica

はいっ。『自由に飛ぶ蝶はあなたの理想の姿。
それが飛んでいる場所は、行きたい理想の地を表しています ! 』

Frederica

『Aの草原を選んだあなた ! 穏やかな草原は平和の象徴。
あなたは心の平穏を得られる場所を求めているでしょう ! 』

Frederica

『Bの薔薇園を選んだあなた ! 薔薇は華やかさの象徴 !
あなたは派手で華やかな場所を求めているでしょう ! 』

Frederica

『Cの雲海を選んだあなた ! 空はまさに自由の象徴 !
あなたは何にも縛られない、自由な場所を求めているでしょう ! 』

Karen

へー。当たってるんじゃない。またまた。

Asuka

たしかに、全員の性格をみごとに表しているみたいだ。
だが、となると奏が求めているのは……。

Shiki

嵐の海 ! ? サスペンスのにおい !

Kanade

どうかしらね。
心理テストなんて、くだらないものよ。構造が分かってしまえばね。
モチーフと心理状況を結びつけて、それらしく言っているだけ。

Asuka

そうか……心理状況を結びつけるメタファー次第で
相手の思考をトレースしているのか……。

Frederica

難しいこと考えないでピン ! ときたヤツを
選べばいいんだよ~♪

Shiki

アタシ……奏ちゃんの答えにキョーミでてきちゃったー !
ねぇねぇフレちゃん、もっとスゴい質問ないの?

Asuka

そうだな……もっとミステリアスなペルソナを剥がすような、
本質を捉えたテストがあるはずだ……。

Frederica

え~、そんなのあるかな~?
みんなで楽しめる問題だったら、このあたりに~……。

Shiki

ん~、もっと本音が見える質問がいい !
奏ちゃんの心のスキマも見えちゃうくらいの !

Asuka

あぁ、理解できないフリを繕えもしないくらいの、
そんなテストがあるはずだ……。
そうすれば、そのミステリアスさの理由も……。

Kanade

……はぁ。
私のことを、わかったつもりにならないでね♪

Karen

あれ、奏、どこ行くの?

Kanade

ここじゃない、どこかへね。

Karen

ちょ、ちょっとー?

Shiki

んー?
奏ちゃん、いっちゃった。つまんないのー。

Asuka

あぁ……だが、そのうち戻ってくるだろう。
そんなことより、もっと面白い質問を……。

Frederica

ん~、2人とも。
ちょっと反省会しよっか。

Karen

奏ー。

Kanade

なぁに、加蓮。

Karen

どうしたの、急に出て行って。
なんかあった?

Kanade

なにもないけど。強いていうなら……
ほら、加蓮ってときおり乱暴な言葉づかいで距離を取るじゃない?
たとえるならそれと同じかな。

Karen

えっ。

Kanade

あら、意外そうな顔してる。
フフッ。バレてないとでも思った?

Karen

カンが鋭いね。
っていうか、カンじゃないのかな。観察?

Kanade

だって、わかりやすいんだもの。
信頼してる人相手のとき、
よけい言葉が乱暴になったりして、ね。

Karen

うわー、そんなとこまで見てる?

Kanade

甘えられる相手って大事だものね。

Karen

もうやめてよー。
やめやめ。この話は終わり。ね?

Kanade

フフッ。じゃあ、気分転換にでも行きましょうか。

街中

Kanade

雑踏って、いいよね。自分しかいなくて。
他人はたくさんいるけど、自分のことなんか誰も知らないでしょ。
独りになれる気がするもの。

Karen

……わかる。
たしかに、アタシも誰かといるより、独りでいる方が得意だなぁ。
その時期が長かったから、距離感つかむの、下手なんだよね。

Kanade

あと、人から好かれるのも苦手でしょう。

Karen

なんか、困っちゃうんだよね。

男A

ねー、そこの2人、なにしてんのっ。

男B

つーかいまひまー?

Karen

これは困るっていうかうざい。
ちょっと古典的すぎじゃない?

Kanade

ナンパだなんて、わかりやすくていいじゃない。
好みではないけど。

男A

えー、ちょっとマジかわいいじゃーん。

男B

つーかなに話してんのー?

Karen

あー、アタシたちのこと、知らないのか。よかったー。

Kanade

男の子とはステージ以外じゃ遊ばないことにしてるの。
だから、会いに来てね。

男A

キミらのことは知らないけどー、これから知るってことでー。

男B

つーかなに、ステージって?

Kanade

知らないことを誰かから教えてもらえると思わないことね。
いきましょ、加蓮。

Karen

アンタたち、後でものすごく後悔するかもね。
つーか、奏ってけっこうキッツー……。

男A

なんっだあれ ! ? なんなんだよ !

男B

つーか……カナデと、カレンって……?

Kanade

……ふぅ。この辺りなら少しは落ち着くかしら。

Karen

いやー、話しかけてくる男を冷たくあしらうのも、
手慣れたもんだよねー。

Kanade

アイドルになる前から、よくあったことだし?

Karen

わかる。だいたい声かけてくるヤツって、誰でもいいんだよね。
誰でもいいって態度で話しかけてたら
こっちだってお断りだし。

Kanade

フフッ。加蓮、プロデューサーさんからのスカウトもあしらったでしょ。

Karen

あ、分かった?

Kanade

わかるよ。私もだから。

Kanade
Karen

ふふっ。
ふふっ。

Karen

なんか、奏の言ったこと、分かった気がする。
雑な心理テストで心に踏み込まれるのもイヤだし、
よく知らないのに、知ったような顔されるのも、イヤだよね。

Kanade

知らない人から言われるなら、聞き流せるけどね。
同じアイドルの仲間に言われちゃったら、ね?

Karen

でもほら、志希はあのキャラだし、ちょっと飛んでるから仕方ないし
飛鳥もまぁ、子どもなところあるから……。

Kanade

分かってるよ。
だから傷つけたくなくて、離れたの。

Karen

はー。物わかり、良すぎない?

Kanade

褒め言葉として、受け取っておくわ。ふふっ♪

LIVE当日

Kanade

さて……みんな、今日はよろしくね。

Frederica

カナデちゃん、胸張っていってみよう~ !

Karen

いってらっしゃい。奏。

Kanade

えぇ。ありがとう。

Shiki

んんー……。

Asuka

その……。

Kanade

2人が言いよどんでいるなんて、らしくないわね。
きっとフレちゃんに何か言われたんでしょう。
でも、ステージの上でも2人らしくなかったら、許さないわよ?

Asuka

えっ……も、もちろんだとも。
ボクたちはアイドルだぞ。

Shiki

いい反応、みせてあげるね☆

Kanade

えぇ。それでこそステージを託す仲間にふさわしいわ。
じゃあ、行きましょうか。

Kanade

……そうだ。

Kanade

ねぇ、プロデューサーさん。
あら。今日は何もなし? なんて顔しないで。

Kanade

一言で言い表せないくらい、今日のここまでにいろいろあったの。
だけど、それを知ってるのは、私と……神様だけ。

Kanade

でも……一緒にいたら、いつか共有できる日が来るかもしれない。
だから、プロデューサーとして見ていてね。
アイドルの私の、ステージを。

Kanade

じゃあ、行ってきますの……。

Kanade