Monochrome Memory
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Monochrome Memory |
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事務所で雑談をする加蓮、菜々、李衣菜。それぞれの過去の話に話題が及ぶと、加蓮は険しい表情になる。やってきた楓と奏の大人びた意見を受け加蓮はある場所へ向かう決意をした。そこで待ち受けていた、加蓮の過去とは……。 |
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事務所 |
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Karen |
でさー、レッスン中にお腹が空いたからー。 レッスンルームに宅配ピザって届けられるのかなー、 なんて話しててー。プロデューサーいないしー。 |
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Nana |
加蓮ちゃん、もうすぐソロのステージだっていうのに、 元気ですねぇ……。 |
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Riina |
いやいや菜々ちゃん。 加蓮ちゃんはさー、やっぱこうみえてっていうか 実は見た目通りっていうか、結構しっかりしてるからねー。 |
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Karen |
もー、李衣菜はすぐそういうこと言うー。 アンタ昔っからそーなんだからー。 |
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Riina |
えぇ~? 昔って……絡むようになったの最近じゃなかったっけ……。 |
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Nana |
む、昔はともかく、仲がいいのは良いことですよ~。 |
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Karen |
そういやさー、昔っていえば、菜々は昔どんな感じだったのー? |
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Nana |
っ…… ! ? ナ、ナンデスカ。昔デスカ。 昔ノナナチャンモ、カワイイデスヨ。 |
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Riina |
ポンコツアンドロイドになっちゃった。 |
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Karen |
あー、アイドルになる前、メイドカフェで働いてたんだっけ? |
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Nana |
そ、そうですね。 アルバイトをしながら、アイドルのお勉強したり。 |
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Riina |
それだったら私もあるよ ! レコードショップいって、ロックの勉強したりしたもん。 |
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Karen |
へー、レコードなんて聴くんだ? |
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Riina |
あー、いや、そういうわけじゃないけど。 お財布が軽くても、いつでも胸には憧れを握りしめてさ……。 ていうか、他に何もなかったし、憧れしかなかったんだけど。 |
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Karen |
……ダメじゃん。 |
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Nana |
こ、これはツッコミどころですよ ! ね ! |
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Riina |
そ、そうそう ! っていうかさ、そういう過去があって、 それがいまに活きてるわけで ! |
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Karen |
んー、どのあたりが? |
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Riina |
今の私の、このロックなアイドルに繋がってるってことだよ ! 加蓮ちゃんも、そういうの、あるんじゃないの? |
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Karen |
はいはい。 アタシは聞けないレコードを買いに行ったことはないかなー。 |
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Riina |
まぁ、それは私だけかもしれないけど。でも、何かあるでしょー? 昔があって、今があるなー、なんてことの一つや二つ ! ねぇ菜々ちゃん? |
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Nana |
そこでナナに振りますか ! ? ……ま、まぁ、 ナナは一度しかない人生、悔いないように生きてますから ! ダイエットはいつも明日からです ! |
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Karen |
ふーん。アタシはいつだって今が良ければいいし。 昔のことなんて……べつに。どうでもいい。 過去のことなんてどうでもいいじゃん。 |
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Riina |
どうでもはよくないよー。 |
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Kaede and Kanade enter | ||
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Kaede |
お疲れさまです……。 あら、みんなでお話ですか? |
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Kanade |
何その顔……穏やかじゃないわね。どんな話してたの? |
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Nana |
楓さんに奏ちゃん。お疲れさまです ! その、アイドルになる以前の話をしてたんですよ。 カコバナって言うんですか? 若い子的にいうと ! |
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Kaede |
過去話……つまり、昔のお話。 アイドルになる以前のお話ねぇ……。 でも、昔話をすると、老けるっていいますけど……。 |
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Nana |
うぐっ……。 |
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Riina |
楓さんは、昔のことも大事だと思いません? アイドルになる以前の経歴がある楓さんとしては ! |
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Kaede |
んー、どうなんでしょう。 やっててよかったといえばよかったですし、 関係ないとも言えるかしら……ねっ、奏ちゃん? |
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Kanade |
私に聞かれても……ねぇ。どうなんでしょうね。 楓さんは元モデルでしょう? |
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Kaede |
えぇ。モデルです。地味なモデル。とっても地味な。 |
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Riina |
モデルに地味も派手もないのでは……。 |
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Karen |
……楓さんは、モデルからアイドルになってどうだった? 後悔してる? |
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Kaede |
んー……どうもしてませんし……後悔もしてませんよ。 ……普通、するものなのかしら、後悔。 |
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Kanade |
さぁ……私に聞かれても少し難しいですね。 |
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Kaede |
奏ちゃんは……アイドルになる前は、学生ですよね。 |
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Kanade |
えぇ。学生です。地味な学生。とっても地味な。 それでみんな、過去の話がどうしたの? 私は、一概に過去が大事だとは思わないけど。 |
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Riina |
いやー、昔のことも大事じゃん? っていう、ただそれだけの話なんだけど……。 |
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Kanade |
美しくない過去もあるものよ。 誰にだって忘れたいことの一つや二つ、あるでしょう。 |
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Riina |
そうかなぁ。 ロックの歌詞なんかじゃ『過去から逃げるのはカッコ悪い』って よく言うから、なんかそういうモノなのかなーって。 |
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Nana |
うーん。逃げるのがいいか悪いかは人それぞれですけど、 過去はなかったことにできないですから、大事にしたいですね。 それが大人になるってことだと思いますから。 |
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Karen |
…………ふーん。 |
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Kaede |
ふふ。菜々さん、発言がしっかりしていますね。 大人っぽいですよ。 |
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Nana |
そ、そそ、そんなことは……。 |
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Kanade |
ん……ところで楓さん、こんな話に付き合っていて、 時間は大丈夫? |
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Kaede |
あら、ごめんなさい。打ち合わせでしたね。 さきに行きますね。奏ちゃん、お疲れさま。みんなも。 |
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Kanade |
お疲れさまです。 |
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Kaede |
……それと。 加蓮ちゃん。過去と向き合えるのは、若いうちだけですから。 後悔のないように、今できることをしてくださいね。 |
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Kaede leaves | ||
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Karen |
えっ……うん、わかった。 |
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Karen |
……。 |
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Karen |
向き合わなきゃ、かー。 |
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Riina |
加蓮ちゃん、どうしたの? |
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Karen |
向き合いに行こうかなって思って。 はーい、この中でシリアス展開大丈夫な人ー。 |
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Riina |
え? シリアス? 朝食でよく食べる? 牛乳かけるやつ? |
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Nana |
そうそうそう、サクサクしてて美味しいですよね ! ってそれ、シリアル ! |
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Kanade |
……こほん。行きましょうか。加蓮。 今日はお仕事も終わったし、付き合うよ。 |
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Karen |
ふふっ、ありがと。んじゃ、そーゆーことでー。おつかれー。 |
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Riina |
は、はぁ……? |
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Nana |
行ってらっしゃいませ~♪ |
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街中 |
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Kanade |
それで……どこへ行くかは知らないけど、 お付き合いするのが私でいいの? 凛や奈緒、プロデューサーさんじゃなくて? |
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Karen |
あの2人なら、大丈夫。もう、いろいろ話してるし、 それに今を一緒にすごす相手だから。 プロデューサーさんも……いいんだ。 |
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Kanade |
へぇ……。どうして? |
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Karen |
プロデューサーは、未来を作ってくれる人で、 過去を背負わせる人じゃないからね。 |
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Kanade |
あら、じゃあ私は? |
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Karen |
んー…… 口を挟まずに見てくれる、いい感じな距離の見届け人? |
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Kanade |
ふっ、それは……いいキャスティングね。 |
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公園 |
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Karen |
ふふ…………、なつかしー。 |
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Kanade |
ここは? |
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Karen |
昔、よく来てた公園。……正確に言えば、その一つ、かな。 公園くらいしか、外出できなかったしさー。 |
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Kanade |
なるほどね。 |
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Karen |
過去と向き合おうって、残酷だよね。 言葉で言うのは簡単だけどさ。 |
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Kanade |
そうね。 コーヒーを濃く淹れすぎるくらい簡単で、飲み込みづらいもの。 |
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Karen |
底の方でざらざらしてて、砂みたいに残ってるって感じ? |
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Kanade |
えぇ。 |
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Karen |
あいかわらず詩人だね。しかも苦いし。 |
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Kanade |
美味しいものじゃないわね。 |
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Karen |
……。 |
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Kanade |
……いくの、やめる? |
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Karen |
ううん。行く。 たまには苦いものが飲みたい気分だって、あるから。 |
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病院 |
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Karen |
……何年ぶりだろ。 |
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Kanade |
久しぶり? |
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Karen |
うん。卒業以来かな。 さすがに部外者だから、中にまで入らないけどね。 こういうところは卒業できない人も、いるから。 |
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Kanade |
……卒業、ね。 |
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Karen |
入院するとね、最初はみんな優しいんだ。 でも、だんだんみんな変わってく。疲れちゃうんだよね。 友達も、親も、アタシ自身も、みーんな疲れちゃって。 |
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Karen |
治らないと思って、アタシもどんどん適当になっていくし、 そんな適当な人間を大事にしてくれる人なんて、いないんだよね。 |
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Kanade |
でも、あなたは無事卒業できた。 |
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Karen |
そう。奇跡的だよー ! なーんていわれてね。 でも、治ったら治ったで、学校も友達も変わってて、 勉強も運動もできなくて、誰にもついていけなくて、絶望したよ。 |
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Karen |
絶望っていうか……ムカついてた、かな。 どうして自分だけ不幸にならなきゃいけないんだって思ってた。 あの部屋に居続けられたら、こんな不幸は知らなかったのにって。 |
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Kanade |
その反動で、ワルい子になった? |
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Karen |
まぁ、そんなとこ。外見だけは、やりたいようにやって…… あとは適当に生きてた。 ……でも。でもさ。その間ずっと思ってたんだよね。 |
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Kanade |
思ってた? |
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Karen |
アタシだけ元気になっちゃって、なんか申し訳ないなって。 |
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Kanade |
そう……。サバイバーズギルト、なんて言葉もあるわね。 大事故を経て『生きのこってしまって申し訳ない』 なんて思うらしいわ。そんなこと、感じなくていいのに。 |
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Karen |
アタシの感情も……そんなものだったのかな……。 |
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看護師 |
あら……加蓮ちゃん? |
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Karen |
あ、どうも……久しぶりです。 |
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看護師 |
元気だった? アイドルしてるって聞いたわよ。活躍してるのね。 本当によかった……。 |
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Karen |
うん。……なんか照れくさいな。 あぁ、このナースさん、昔お世話になって。 |
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看護師 |
今日は、どうして? |
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Karen |
……あー……その……なんとなく、ね。 |
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看護師 |
……そう。でも、もう来ちゃダメよ。 あなたは元気になったんだし、 病院っていうのは、用がないのが一番なんだから。 |
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Kanade |
そうね。 |
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看護師 |
今度は笑顔をテレビで見せてね。 昔、あなたがよく見ていたように。 |
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Karen |
……ありがと。 あ、そうだ。ネイル、上手くなったよ。 趣味の欄にかけるようになったくらい。 |
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看護師 |
これから、もっといろんな趣味を見つけてね。 |
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Karen |
……うん。 |
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Karen |
アイドルになってさ、インタビューとかされるじゃない? |
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Karen |
自分のことを話すとき……嘘はつかないよ。 でも、昔は弱かったこととか、なにかに引け目を感じているとか、 そういうのは言えないんだ。言って良いことなんてないし。 |
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Karen |
だからファンのみんなは知らないし、 知ってるのは親とか友達、 あとはプロデューサーと、少しのアイドル仲間だけ。 |
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Kanade |
そうね。 |
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Karen |
こっちもさ。暗い話を聞かせたいわけじゃないんだよね。 北条加蓮はいま、アイドルだから、キラキラした姿でいたい。 そういう所を見てほしいんだ。ホントはね。 |
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Karen |
でも、アタシ自身のことを語る上では避けて通れないし。 だから、どこかで折り合いを付けたかったんだ。 もう過去の話だって、ちゃんと言えるようになりたかったし。 |
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Karen |
それに、一生もやもやしながら生きていくのもいやだったしねー。 だから今日は、来られて、よかった。なーんか楽になったから。 もう、二度と来ないけどね。 |
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Kanade |
でも、そんなところにいる役目が私でよかったの? プロデューサーさんじゃなくて? |
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Karen |
だって、こんなの知ったら、お人好しなプロデューサーは 責任感じて、死ぬまでアタシの面倒見なきゃって思うでしょ。 そんなの、アタシは嫌だし。それに、奏だからいいんじゃない。 |
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Kanade |
なぜ? |
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Karen |
勝手に決めつけたりしないって、前に言ったでしょ。 |
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Kanade |
言ったわね。 |
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Karen |
それに……アタシと同じくらい、秘密を抱えてそうだから。 |
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Kanade |
……あらあら。そんなこと。 ふふふっ。 |
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Karen |
ふふっ。 |
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Karen |
はー。とある少女の過去の暗~いお話は、こんなところかな。 李衣菜の言葉も、振り返ったらバカにできなかったかも。 さて。ここからは、アイドル北条加蓮のお話にしよう。 |
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Kanade |
なら、ちょうどいいところに、 あなたが主役のステージが控えているわけだけど? |
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Karen |
うん。じゃあ、やりますか。 |
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LIVE当日 |
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Karen |
みんな、今日はよろしくね。 アタシに、力を貸してちょーだい。 |
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Riina |
まかせてよ ! 盛り上げていくから ! |
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Nana |
加蓮ちゃん……なんだか、いい顔してますね。 なにかあったんですか? |
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Kaede |
イイコトでもありました? スーパーで特売品ゲットしたとか。 |
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Karen |
ふふ。ちょっとね。思い出は、パワーになるんだ。 そうだ、待ち時間、まだ結構あるよね。 みんなにネイルしてあげる。手、貸して? |
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Kaede |
いいんですか? なら、お願いします。 |
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Nana |
菜々も、お願いします ! できれば、メルヘンな柄に ! あーでもでも、さりげない方が日常使いできるかな…… あ~、悩みますねぇ~。 |
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Riina |
私も、ロックな柄がいいなー ! |
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Kanade |
この盛況ぶりなら、ネイリストにもなれたかもしれないわね? |
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Karen |
アイドルクビになったら、考えとくよ。ふふっ。 ほら、奏もやってあげる。 |
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Karen |
……じゃあ、プロデューサーさん。 |
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(Select an option) | ||
| 大丈夫? |
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Karen |
またそれ~? ちょっとは信用してほしいな。 ……大丈夫。貴方が育てたアイドルだよ。 |
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(Select an option) | ||
| 行っておいで |
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Karen |
うん。見ててよ。 アイドルとして輝いてる、北条加蓮をね。 じゃあ、行ってきます。 |
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