LIVE Groove Vocal burst (February 2017)/Commus

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Opening[edit]

春霞

新曲『桜の頃』を歌うことになった紗枝、芳乃、
歌鈴、珠美、あやめの5人。はやる気持ちを
抑えきれず、早速スタジオへと飛び出していく
歌鈴、珠美、あやめ。紗枝と芳乃は、ユニット
『春霞』として、これから5人で咲かせる花を思う。
和の装いの少女達が、いま花ひらこうとしていた。

'

事務所

Karin

た、たたたた、大変です~っ !

Ayame
Tamami

おや?
はて?

Karin

あやめちゃん、たままちゃん !

Tamami

噛んだっ ! ?

Karin

あぶっ !

Ayame

転んだっ ! ?

Karin

あいたたたた……。

Tamami

だ、大丈夫ですか、歌鈴殿~。
そんなに勢いづいて走ってくるから……。

Ayame

さっすが歌鈴殿、ドジっ子の面目躍如ですな !

Karin

はぅぅ……。
なんにも、や、やく、やくじょしてません~っ。

Tamami

で、どうしたんです? 歌鈴殿。
そんなに急いで。たいそうな事件でも起きたのですか?
道場破りとか?

Karin

はっ ! ! そうでした ! ! いえ違いますっ !
大変なんですよ ! 珠美ちゃん ! あやめちゃん !
和です ! 歌が ! 桜の !

Ayame

桜……ですか? いったい、何のことだか……。
あっ、桜の紋が鮮やかな時代劇なら、
おじいちゃんと何度も見ましたから、お気に入りで……。

Karin

ち、違いますっ ! 歌うんですよっ ! 私たちで !
桜の曲 !

Tamami

……私たちで、と言いましたか?

Ayame

言いましたな、珠美殿。
これはつまり、念願の……。

Ayame
Tamami

ユニット曲 !
ユニット曲 !

Karin

ですっ ! !

Ayame
Tamami

やったー !
やったー !

Sae

あらあら、なんや賑わっとるわぁ。

Yoshino

団らんは、よいものですねー。

Tamami

紗枝殿 ! 芳乃殿 !

Ayame

それにプロデューサー殿も !
お疲れさまです !

Yoshino

おはようございますー。
今日から、ともに歌う仲間として、手に手を携えー、
そして、声と声とを重ねてまいりましょー。

Sae

せやなぁ。
うちら5人で、はんなりなうた、歌いまひょ~。

Tamami

いやぁ~ !
ついに来ましたな ! この珠美の美声を轟かせるときが !

Karin

た、珠美ちゃん ! ?
と、轟かせたらダメなのではっ ! ?

Ayame

いやぁ~ !
ついに来ましたな ! わたくしの忍術を魅せるときが !

Karin

あ、あやめちゃん ! ?
そ、それも違うのではっ ! ?

Sae

うふふ~。
ゆかいなお仕事になりそうで、今から楽しみやなぁ。

Yoshino

しかしー、まだ珠美さんとあやめさんの頭には、
はてながたくさん詰まっているようー。
そなたー、ご説明してあげてはー?

楽曲とユニットの説明をした……

Karin

聞きましたかっ ! ?
わかりましたかっ ! ?
つまり、和ですよ ! 桜ですっ ! 歌いますっ !

Tamami

なるほどっ !
歌鈴殿の説明は、だいぶ簡単になっていますが……。
つまり、私たち5人で、新曲を歌わせてもらえると !

Ayame

『桜の頃』……曲名から溢れる美しさ !
わたくしたちにふさわしい曲とお見受けしました !

Sae

ほんまやなぁ。ええ曲やし、はよ歌いたいわぁ。
それにしても歌鈴はん、もっとゆーったり、
構えてもええのにー。

Yoshino

まぁまぁ、紗枝さん。よいではありませんかー。
気がはやるのも、歌鈴さんにとっては当然のことー。

Karin

はい ! はい ! そうです !

Yoshino

ふふふー。
歌鈴さんは歌うのを楽しみにしていたのでしょうー?
その気持ち、わたくしはよくわかりますー。

Karin

そう、そう、そうなんですよ~。
芳乃ちゃん、分かってくれて嬉しいです~っ !
はやくスタジオへ行きましょう ! 私、楽しみで楽しみでっ !

Ayame

わたくしだって、待っていましたよ !
歌鈴殿 ! ともにゆきましょうっ !

Tamami

あっ、珠美も ! 珠美もです~ !
仲間と歌える日を、楽しみにしていました !
珠美も決戦のスタジオ入りですぞ~ !

Yoshino

あらあらあら……。
歌鈴さんも、あやめさんも、珠美さんも、
とーってもせっかちさんのようでしてー。

Sae

ほんまやなぁ。せやけどほら。
芳乃はんとうちは、ゆーっくりまーったりやろ。
歌鈴はんたちとのばらんすが、ええんとちゃいますー?

Yoshino

そのようでしてー。何事も、調和が大切でしょうー。
わたくしたち5人も、桜の花びらのようにー、
それぞれが連なって咲けたらー……。

Sae

きっと、雅な花になるやろなぁ。
プロデューサーはん。うちら、気張ります。
見守っていてくれはります?

Sae

プロデューサーはん。おおきに~。

Yoshino

しかしー、わたくしたち5人には、いまだ名前がありませぬー。
そなたより名をつけー、魂を宿らせてくださいませー。
さぁー、ゆにっとの名をー。

Sae

『春霞』……たなびく山の桜花、やねぇ。

Yoshino

心のこもった、とてもよい響きですねー。
ではー、その名を3人にも伝えてあげなければー。

Sae

えぇ。ほな、行きまひょか、芳乃はん。
手に手を……。

Yoshino

携えてー……。

Chapter 1[edit]

春の夜の夢

歌録りに苦戦する珠美は、すでに録り終えた紗枝や
芳乃に助言を求める。紗枝は、気取らない京の美を
あらわす『はんなりさ』を意識した、と助言する。
それを聞き、珠美は新たな気持ちで歌録りへ向かう。
紗枝は芳乃と共に見送りながら、みんなで歌う日を
楽しみに待つのだった。

'

収録スタジオ

Tamami

すー、はー、すー、はー……。

Sae

……あの、芳乃はん? 珠美はんは……なにしてはりますの?

Yoshino

……心を解きほぐしているのですー。

Tamami

すー、すー……、すー……。

Sae

……はぁ。
珠美はん、心を解きほぐしすぎたんとちゃいますやろか……?

Yoshino

あらー。そうかもしれませんー。
珠美さん、珠美さん、もう一度、ちゃれんじしてみましょー。

Tamami

んぐ……はっ !
た、珠美は寝てなどいませんよっ !
おはようございます ! 紗枝殿 !

Sae

はいはい。

Tamami

よーし、珠美、リフレッシュ完了っ !
もう一度、歌ってきますよー !

Sae

あら。行ってらっしゃーい……。
あのう、芳乃はん?
ちなみに、珠美はんはなんですやすやしてはったん?

Yoshino

それはー、落ち着いてー、しっとりしたうたを歌うために、
心を落ち着けていたのでしてー。
きっと、つぎはもっとよくなるかとー。

Sae

なるほどなぁ。
歌録りに苦戦してはるんやねぇ。難儀やなぁ。
ほな、すやすやの成果をみせてもらいまひょかー。

数時間後

Tamami

……うーむ。
さきほどより手応えはあったものの、どうもうまくいかず……。
無念なり、珠美……。

Sae

なかなか苦戦してはりますなぁ、珠美はん。
肩に力はいってたんと違います~?

Tamami

そうですなぁ。春霞の優雅さにはほど遠い歌で、面目ない……。
芳乃殿、紗枝殿。お2人はすでにレコーディングを終えたとか。
なにか、心構えなど教えていただけませんか !

Yoshino

心構え……ふむー?
わたくしは、語りかけるように歌っていたら、終わっていましてー。
助言をするようなことは、なにもー。紗枝さんはー?

Sae

たしかに、芳乃はんはだぁれもまねでけへんなぁ。
せやけど、うちの歌い方は、
うちのやりかたでしかあれへんけど……。

Tamami

そこをなんとか ! 珠美を助けると思って !

Sae

そない言われたら断れまへん。うちでよかったら、
お助けしまひょ。ほんなら……『はんなり』いう言葉が、
京都にはあります。意味は……知ってはります?

Tamami

ええと……なんとなく、やわらかい感じの……こう……。
いや、分かりません ! なんでしょうか?

Sae

一言で表すんはなかなか難しいんやけど……はんなりには
上品やとか、華やかとか、そういう意味合いがあるんどす。
でも、決して気取ってるわけではあらしまへん。そこが京の美どす。

Tamami

ほほう?

Yoshino

なかなか、深い意味合いがあるようですねー。

Sae

うちは、そのはんなりさを意識して、歌ってます。
この歌は、桜の咲く頃、それぞれが歩む道を選んだ、
そんなふたりの思いをうたった歌やから……それに合った心持ちで。

Tamami

なるほど……。
歌詞が切なくとも、それだけではない、と…… !
珠美は、まだまだそこまで考えられていませんでした。流石 !

Sae

そないに、たいしたことやありまへんえ。ふふ。

Tamami

そうか……わかった。わかりました !
珠美は、まだまだ真っ直ぐしか打ち込めない、
未熟な剣だったのですね。もっと、優雅な太刀筋を学ばねば…… !

Yoshino

ふふふー。
歌を剣にたとえるとは、珠美さんらしい表現でしてー。
そしてー、その素直さもまた、珠美さんらしくもありー。

Tamami

いやいや。仲間と歌う機会をいただいたのは、千載一遇の好機 !
紗枝殿のアドバイス、実に ! 為になりました !
これで、珠美はさらなるパワーアップを遂げるでしょう !

Sae

ふふふ。気に入ってもらえて、うれしおす~。

Tamami

よし…… !
では ! 今一度 ! 収録に再挑戦して参ります !
つぎは、きっとうまくいく気がしていますから ! !

Sae

肩の力を抜いて、はんなりと、やで~。

Tamami

そうでした ! !
肩の力を抜いて……はんなりと……はい !

Yoshino

そして、珠美さんらしく、素直なお声でー。

Tamami

……はいっ ! では、行ってきます !

Yoshino

……紗枝さんのあどばいす、
珠美さんにも、きっと伝わったことでしょうー。

Sae

……せやなぁ。うちにはうちなりの歌い方……芳乃はんにも、
きっと、珠美はんにも、みんなにそれぞれの歌があります。
それが混ざり合って、ひとつになるんが、ゆにっとやから。

Yoshino

その通りでしてー。
わたくしたちのゆにっと、みなで歌うのが、楽しみですねー。

Sae

そんときは……満開の桜が咲いたら……ええなぁ。
ふふふ♪

Chapter 2[edit]

いにしへの都

ロケ予定地が使用NGとなり、MVが撮影できない……
そう知らされ動揺する歌鈴、珠美、あやめの3人。
代わりの場所も見つからず途方に暮れるが、歌鈴が
知人の神社のことを思い出す。無事に許可も下りて
撮影できることになり、歌鈴は日頃の行いの
おかげかな、とはにかむのだった。

'

事務所

Ayame

わ、わたくしたちの歌のMVが……。

Tamami

さ、撮影できないですと~ ! ?

Karin

い、いったい、どうしたんですかっ ! ?
私たち、なにか至らないところでもありましたかっ ! ?
っていうか、至らないところばっかりで、活動停止ですかっ ! ?

Ayame

やはり、わたくしたちはバラエティ向きのアイドルだから、
真面目な曲はNGですかっ ! ?
壁登ったり、走ったりの方がいいですかっ ! ?

Tamami

そ、そんなぁ~っ ! そんなことはありませんよねっ ! ?
あっ、もしかして、もしかしてですが……。
珠美の身長は、関係ありませんよねっ ! ?

Ayame
Karin
Tamami

どうなんですかっ ! ?
どうなんですかっ ! ?
どうなんですかっ ! ?

ロケ予定地が使用NGになったと説明した……

Ayame

使用NGとは……そんなぁ……。

Tamami

せっかくみんなで歌も覚えて、
振り付けも覚えていたというのに……NGなんて……。

Karin

それじゃ、私たちの曲……MVなし、ですか……?

Ayame

検討中、ですか……。
ぱぱっと、忍術でも使えれば、枯れ木に
桜を咲かせたいところですが……さすがに、そうもいかず。

Tamami

珠美も、なにか力になれたらいいのですが……。
あいにくと、なんの一芸も持っておらず……。
非力なり、珠美…… !

Karin

私も、なにももってません……。
はぅぅ……。

Karin

……ちなみにっ、あのっ、プロデューサーさんっ。
MVのロケ地って、どんなところだったんですか?

桜の名勝地だと説明した……

Ayame

……ふむふむ。なるほど。
たしかに、桜を歌った曲ならば、
桜の木の下で歌い踊るのが道理ですね。

Tamami

しかし、撮影許可が出ないこともあるのですな。
芸能界、難しや……。
プロデューサー殿も、ご苦労なさっているのですね。

Karin

桜の木、ですかぁ……。
たしかに、どこでもいいわけじゃないんですよね……。
近くの公園で、ってわけには、いかなさそうですし。

Ayame

やはり、MVに使われる程度には、
華やかに咲き誇っている必要がありそうですね !
満開の桜が、しゅばばばっと !

Tamami

いいですな !
しかし、それだけの名勝地ですと、
珠美達が撮影している間、人を近寄らせないというのも大変なのでは?

Karin

桜がすごくて……人が来ないところ……。
そんなの、あるわけないですよね……。

Ayame
Tamami

そんなの、あるわけが……。
そんなの、あるわけが……。

Karin

あ……はっ ! ありますっ !

Ayame

なんですとぉ ! ?

Karin

あの、ウチの神社じゃないんですけど、
私の知り合いの神社が、桜の名所だったのでっ !

Tamami

本当ですか ! ?

Karin

山奥だからあんまり人も来ないと思いますし…… !

Ayame

よし ! ならばそこに行きましょう !
渡りに船 ! 歌鈴に神社 ! 珠美にメン !

Karin

そ、そんなっ !

Tamami

行きましょう ! !

Karin

え、え、えぇっ ! ? って、面 ! ? あっ、あの、じゃあ……。
プロデューサーさん、私のお父さんから、
その神社を紹介してもらいましょうかっ?

Karin

分かりましたっ !
この歌鈴、ユニットの仲間のためであればっ ! !

Karin

つきました~ !
ほら、あそこの方にちょこっと見えてます !
桜の木が、こんにちはしてますよっ !

Tamami

わぁ~ ! なかなかどうして !

Ayame

いいところじゃないですか~ !

Karin

へっへへ……撮影許可、もらえてよかったですっ !
これも日頃の行いのおかげかな? なんて……♪
これから、撮影頑張りましょうねっ !

Chapter 3[edit]

花よりほかに

撮影までの時間で、あやめは特訓がしたいと訴える。
アイドルとしてのこれまでと、歌にかける熱意を
語りだすあやめ。歌でも魅せられるアイドルであると
証明するため、時間の許す限り特訓したかったのだ。
その意気込みを聞いた紗枝と歌鈴は快く頷き、
一同は、ともに切磋琢磨するのだった。

'

社務所

Karin

なんだか、すみません~。
こんなことになっちゃって……。

Ayame

いえいえ !
タダより高いものはないとも言いますし !
一宿一飯の恩義とも言いますし !

Sae

うちも、実家ではもーっときびしーく躾けられてたさかい、
全然、気にしまへんえ。

Karin

だからって、みなさんで神社の掃除だなんて……。
すみません……。

神主

みんな、神社の掃除、頑張ってくれよ !

Sae
Ayame

はい~。
はい !

Karin

だから、なんでプロデューサーさんまで~ ! ?

神主

良い返事だ !

Sae

まったく、プロデューサーはんは面白いお人やわぁ。
しかし、神主はんと意気投合して、どこいってしもたんやろ……。

Karin

さぁ……大人のつきあい……ですかねっ?
私たちにこの場は任せたって言ってましたけど……
撮影はまだ先ですし、それまでどうしましょうかっ?

Ayame

ならば、ここはひとつ !
特訓をしましょう ! !

Sae

あら~、あやめはん、よう気合い入ってはりますなぁ……。
どないしたん~?

Ayame

それはですね……。

Ayame

くノ一あやめ、ここに在りっ ! ニンッ !

監督

はい、オッケー !

Cameraman

今日も、よかったよー !

Ayame

ありがとうございましたっ !
わたくしも、認めていただけて、本当に嬉しいです !

Karin

えっ? えっ? えっ? えっ? えっ? えっ? ここどこですか?
さっきの人たち、誰ですかっ?

Sae

歌鈴はん、これ、あやめはんの回想しーんやから。
まずは、続き聞きまひょ。な~。

Karin

あっ、あぁ、あっ、そういうことなんですねっ。
ごめんなさい、お話の腰折っちゃって !
続き、どうぞっ !

Ayame

そう、主役ではなくとも、くノ一役としてお仕事をもらえるのは、
アイドルとしての喜び……わたくしは、そう思っていました。
いや、今でもそう思っています !

Ayame

しかし、わたくしの才覚は……お芝居だけではありませんでした。

司会者

華麗なアクションに加えて、忍者キャラで最近ブレイク !
浜口あやめちゃんでーす !

Ayame

ニンッ ! 浜口あやめですっ !
今日も、キレッキレのアクション、頑張りますっ !
ニンニンッ ! !

司会者

今日魅せてくれるのは、手裏剣投げかっ !
それとも煙隠れか ! ? 忍法壁走りかっ ! ?

Ayame

け、煙隠れに、壁走り…… ! ?
さすがに、そこまでは…… !

Ayame

浜口あやめといえば、時代劇の忍者娘役。
そして、バラエティで大活躍、忍者キャラ。

Ayame

そう思われることに嬉しさはあれど、
それ以上を望んだことなどありませんでした……。

Ayame

ですがしかし ! ! !
アイドルの本業とは ! ! ! 舞台で歌い踊ること ! ! !
忍ドルといえど、そこは同じ ! !

Karin

おおっと ! ?
いきなり声のボリュームがあがりましたねっ !

Sae

回想しーん、終わったんやろね~……。

Ayame

そして ! あやめは、歌に本格挑戦するのは、今回が初 ! !
つまり、これがどういうことか分かりますか ! ?

Sae

分かりますえ~。人一倍、頑張りたい、いうことですやろ?

Karin

待ってくれてたファンのみなさんへ、
精一杯の歌を届けたいってことですよねっ !

Ayame

紗枝殿、歌鈴殿 ! ご名答です ! !
わたくしが、お芝居やバラエティだけではなく、
歌でも魅せられるアイドルであると、証明したいのです ! !

Ayame

ゆえに ! 少しでも、時間の許す限り、レッスンしたい……
特訓にあけくれたいのです ! !
もし、お手数でなければ、お2人も…… !

Sae

えぇ。わかってます~。
特訓、お付き合いしまひょ~。

Karin

わ、私も ! 歌や踊りは全然未熟なので !
でも、ちょっとずつなら進めるとも思うので !
一緒に、頑張らせてくださいっ !

Ayame

お2人とも~~~ ! ! ! ありがとうございますっ ! ! !
この浜口あやめ、お2人への恩に報いるためにも、
全力をかけると誓います ! !

Ayame

それでは……レッスン、もとい ! 特訓へ、参りましょう~ ! ! !
いざ ! 戦場はここに在り~ ! !

Chapter 4[edit]

ふりゆくものは

森で競いあうあやめと珠美。審判役の芳乃とともに、
数々の勝負を繰り広げる。全てあやめが勝利するが
珠美は一度も勝たずして帰れないと首を振る。
背は小さくとも志は高く、諦めないのが矜持だと。
最後にかけっこで勝負をする2人を見ながら、芳乃は
珠美の信念、心こそが最も強いと微笑むのだった。

'

Tamami

ついに……この日が来てしまいましたね。
あやめ殿。

Ayame

そうですね。珠美殿。
願わくば……来ないことを、祈っていましたが。

Tamami

いざ……尋常に !

Tamami
Ayame

勝負 ! !
勝負 ! !

Yoshino

では、短距離走ー。
よーい、どーん。

Tamami
Ayame

せいやぁぁぁぁー !
はぁぁぉぉぉー !

Ayame

ふ、ふふふ……。
短距離走はわたくしの勝利ということで……。
忍者走りを侮りましたなぁ ! 珠美殿 !

Tamami

やりますな、あやめ殿……。
しかし、なんのこれしき……まだ、ひとつしか !
さぁ、つぎの種目をお願いします ! 芳乃殿 !

Yoshino

はぁー。
種目と言われましてもー。ここの森でできることといえば、
なかなか絞られてきましてー。

Ayame

なんでもいいですよ ! どんな勝負でも、わたくしが勝ちます !

Yoshino

ふむー。ならば、木登り勝負と参りましょー。

Tamami

き、木登り…… ! ?

Yoshino

木登り勝負ではー、いけなかったでしょうかー?
周囲には、木々がたくさん生えていますがゆえにー。

Ayame

わたくしは……もちろん、問題ありませんよ !
木登りでも、勝ちます !

Tamami

この珠美、小さくても武士の誇りにかけて、引くことはしません ! !
芳乃殿 ! 勝負のかけ声を !

Yoshino

では、早登り対決、よーい……どーん。

Tamami
Ayame

せいやぁぁぁぁー !
はぁぁぉぉぉー !

河原

Tamami

くっ……不覚っ ! !
つ、つぎの勝負を !

Yoshino

それでは、水面水切り対決、よーい……どーん。

Ayame

忍者の本領発揮 ! !
手裏剣で鍛えた手首のスナップをみよ~ ! !
と~うっ !

Tamami

こちらこそ、毎日竹刀を振るってきた珠美の手首は
伊達ではありませんぞ~ ! ! !
てや~っ !

Yoshino

それでは、水中息止め対決、よーい……どーん。

Ayame

いざ、水遁の術っ !

Tamami

冷たっ ! !

数時間後

Tamami

まだ……まだ…… !

Ayame

はー、はー……、はー……。

Yoshino

珠美さん、すごい体力なのでしてー。
あやめさんが勝ち続けてはいますが、もはや体力切れの模様ー。
勝負はこの辺りで切り上げましょうかー?

Tamami

いえ ! ! この珠美、ひとりの剣士として、
一度も勝たずして帰れはしません !
同じユニットの仲間であっても、です ! !

Ayame

な、なんという鬼気迫る執念…… !
珠美殿のちいさな身体に、こんなに強い意志が宿っていたとは…… !

Yoshino

珠美さん、無理をせずともよいのでしてー。
勝負に勝てずとも、その努力は、みなが認めるものでしょうー。

Tamami

ダメです ! ! 珠美は、珠美は勝たねばなりません ! !

Ayame

珠美殿……。
なにゆえに、そのような強い想いを……?

Tamami

珠美は……珠美は小さくて、弱いのです。
背も小さければ、まだまだアイドルとしても未熟。
志は高くとも、それを示せなければ、一本を取っていないのと同じ !

Tamami

せっかくプロデューサー殿に選ばれ、
仲間達と切磋琢磨する機会をもらったのです !
仲間達に、珠美こそが一番であるところを見てもらいたい !

Tamami

ゆえに、珠美は負けられぬのです ! !
勝つまで、あきらめられないのです !
それが、アイドルとなった珠美の矜持…… !

Ayame

珠美殿…… !
わかります。わたくしも、思いは違えど、真意は同じ !
いくらでも、お付き合いしましょう ! !

Yoshino

しかしー、そろそろ戻らねば、日も落ちてしまいますねー。
では……最後の勝負は、神社へ戻るための駆けっことしましょー。
よーい……どーん。

Tamami

はっ ! ? 不意を突かれました !
負けるわけにはいかない ! うぉぉぉー ! ! !

Ayame

あっ、珠美殿、待ってくださーい !
いや、待ってくれるはずもありませんが、待てー !

Yoshino

ふふふー。
……勝負は、ようやく珠美さんの一勝、でしょうかー?
しかし、その勝利は、駆けっこの勝利ではありませぬねー。

Yoshino

珠美さんの最も強いところは……
その信念ー、心そのものなのですからー。

Ayame

ちょっとー~?
……芳乃どのー?
置いていってしまいますよー?

Yoshino

あー、お待ちくださーい。待ってー、待ってーーー。

Chapter 5[edit]

ひさかたの光

休憩中、桜並木を散歩していた歌鈴、紗枝、芳乃。
居眠りを始めたふたりをおいて、ひとり、Pの元へ
戻る歌鈴。だが、歌鈴もPと昼寝をすることに……。
春の陽気に包まれ、夢心地にまどろむ一同。
ようやく目覚めた紗枝と芳乃は、ふたりで茶を
嗜みながら、春の日に思いをはせるのだった。

'

桜並木

Karin

ふぁぁ~……桜並木が、まるで綿菓子みたい……。

Sae

なんや、美味しそうやなぁ……。

Karin

じゃあ……桜餅みたい……。

Yoshino

それもまた、舌鼓のご様子ー。

Karin

すみません。私いま、お腹空いているみたいです~。

Sae

まぁ、そういう日もありますやろ。
しかし、山を下りたらこないに桜並木が広がっとるとは……。

Yoshino

神社にお話をしていなかったら、
ここで撮影させていただいてもよかったくらいですねー。

Karin

たしかに、昼の陽光の雰囲気とか、柔らかな空気感とか、
曲の感じにもぴったりだったかも……。

Sae

ほんまやなぁ。でも、なんやぽかぽかで、眠なってきます……。

Yoshino

その通りでしてー。
ぽかぽかして……だんだんと……ねむく……。

Karin

あら、あららら、ふたりとも、こんなところで居眠りしちゃ~。
せめて、ほら、ここのベンチで ! ほら、座って ! ね !

Sae

はい~。
歌鈴はん、プロデューサーはんとこへいってきはったら~。

Yoshino

すー……すー……。

Karin

……あら、芳乃ちゃん、もう寝ちゃったんですかっ?

Sae

ほな……。すぅー……。

Karin

そ、そうですかぁ……。
じゃあ、仰せのままに、プロデューサーさんのところへ、
行ってきま~すっ……。

Karin

プロデューサーさ~ん。

Karin

あの~、さっきですね、
私と、芳乃ちゃんと紗枝ちゃんの3人で
神社の周りの桜並木をお散歩してたんですけど~……。

Karin

おふたりとも、春の陽気に誘われて、
夢の世界へいってしまいまして~っ。

Karin

あまりにも幸せそうに寝てるのでっ、
おじゃまするのも悪いかと思って……。
プロデューサーさんのもとへ帰ってきたんですっ。

Karin

あやめちゃんと珠美ちゃんは……また特訓ですよね。
なんだか私、宙ぶらりん……。

Karin

じゃあ……?

Karin

えぇっ?
そんな、お仕事とかあるんじゃないですか?
それに……そんなゆるくっても、いいんですか?

Karin

覚えず~。……わ、わかりました。
それじゃ、お言葉に甘えて、畳にごろーんって……。
はぁ……実家を思い出すなぁ……。

横になって目を閉じた……

Karin

すー……すー……。

Sae

ふぁぁ。あれから、だいぶ経った気ぃするけど……。
歌鈴はん、全然戻ってきいひんなぁ。
うちらふたりだけで、お散歩してまひょか~?

Yoshino

そういたしましょー。
ほら、お茶屋さんなどもありますしー、
そこでお茶をしながら待つという手もー。

Sae

あ~、なんやお腹の虫さんも鳴き出しそやし……。
あそこ寄りまひょか~。

Yoshino

春の薄紅色に、濃い緑がとってもきれいでしてー。
そしてその中に、幸運の知らせ……。

Sae

せやなぁ……けど、なんでやろ……。
散る桜は……どこか切なげにも見えるわ……。

Yoshino

そうー、一首たとえるなら……。
『ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心なく 花の散るらむ』
……と、いったところでしょうかー。

Ending[edit]

朧月

無事にMVの撮影を終えた5人は、美しい夜桜の姿に、
ただ見惚れていた。その景色に、紗枝は和歌を呟く。
それは、Pが自分たちに見せたかった景色。
春霞たなびく山桜のように、永く愛されるアイドルを
目指して…5人は決意を新たに、歩み出すのだった。

'

庭園

Karin

本当に、きれいな夜桜…… !

Sae

一番の景色は、自然の作り出す風景そのもの、
いうことですやろか……。

Yoshino

それを舞台として、歌い、踊る……。
まるで、神職、巫女さんでしてー。
歌鈴さんも、巫女さんとして踊るのでしょうー?

Karin

そうですねー。
巫女舞っていって、儀式のための舞を踊りますっ。

Yoshino

やはり、大いなる存在には、踊りを捧ぐものなのですねー。

Sae

こないに綺麗な景色をみせてもろたら、
お返しに舞のひとつでも捧げたくなるんも、分かるわぁ。

Yoshino

きっと、古来の民も、感謝の気持ちから、
舞を踊るようになったのかも知れませぬねー。

Karin

かもしれませんねっ。
そして、現代の巫女さんとして、
私たちはファンのみなさんに見てもらえますっ。

Sae

現代の巫女さんなぁ。
うち、自分が巫女さんになるなんて思わへんかったわぁ。
なんや、こそばいなぁ?

Yoshino

ふふふー。
巫女さんは、神に仕えー、人々の平和と幸せを祈るために
いるのですからねー。

Karin

それって、アイドルと同じですよねっ♪

Sae

うちらが歌って、踊って、撮影した映像も、
ふぁんのみんなを幸せにするためのもんやからなぁ。

Karin

……幸せに、なってくれますかね?

Yoshino

……それは、わかりませぬー。
見てくれたふぁんごとに、思いの数はあるでしょうー。

Karin

じゃあ……?

Yoshino

ですがー、歌鈴さん、そなたが過ごした今日までの日々が、
その答えではないでしょうかー?

Karin

今日までの……?
ここに来るまでは大変で……でも撮影は、
とっても忙しくって、でも嬉しくって、とにかく楽しかったですっ !

Sae

その笑顔が、映像にはおさまっとるからなぁ。
見たふぁんは、いちころやわぁ。

Karin

い、イチコロだなんて……えへへ……。

Tamami

みなさん、何がイチコロなんです?

Ayame

もう、撮影が終わったのに戻ってこないから、
呼びに来ちゃいましたよっ。

Yoshino

あらー。珠美さんとあやめさんを困らせては、いけませんねー。
長話をしていて、失礼しましたー。

Karin

遅くなってすみませんっ !

Tamami

ふふっ ! でも、わかりますよっ。
こんな景色を眺めていたら、ずーっとここにいたくなります !

Ayame

そうですね。朧月夜に桜の花びら……。
和の風を全身に浴びて、心が豊かになるようですっ。

Sae

それこそが、プロデューサーはんがうちらに見せたかった
景色なんかもしれまへんなぁ。

Yoshino

ほほー? といいますとー?

Sae

『春霞 たなびく山の 桜花』……これは、和歌の前半分どす。

Karin

えっ……このあとに、何か続くんですか?

Sae

そうどすー。だれか、続きが分かる人はおれへんかな~?

Ayame

わ、わたくしは守備範囲外ですっ !

Tamami

珠美もわからず……。
芳乃殿、正解を知っていましたら、どうぞっ。

Yoshino

『春霞 たなびく山の 桜花 見れども飽かぬ 君にもあるかな』。

Ayame

見れども飽かぬ……?

Tamami

君にもあるかな……どういう意味なんでしょう?

Karin

えっと……紗枝ちゃん、教えてもらえますかっ?

Sae

花霞のかかった山の桜は、いくら見ても飽きひん、
いうことどす~。そして、それとおんなしように、
いくら逢うても飽きひんなぁ、あんたは……いうことどす~。

Ayame

なんとも、美しい詞ですねぇ……。

Tamami

つまり、プロデューサー殿は、そういう意味を込めて、
私たちに、この和歌を……?

Yoshino

桜は、毎年咲くものー。ですが、何度見ても飽きないものー。

Sae

あいどるも、何度見ても、飽きひん存在になれたら……。

Ayame

そっか……。何度見ても、飽きないアイドル……。

Tamami

珠美たちは、それを目指せばいいんですね…… !

Karin

目指しましょう、これからも !
ずっとずっと、愛されるアイドルっ !

Sae
Yoshino

えぇ。
はいー。

Tamami
Ayame

はい !
えぇ !

Ayame

……というわけで、プロデューサー殿の元へ、戻りましょうか !
きっと、お待たせしていますから !

Tamami

そうですねっ !
呼びに来た私たちまで帰るのが遅くなっては、本末転倒 !
名残惜しいですが……桜よ、さらば !

Sae

はいな~。
いつかは、お仕事やのうて、みんなでまた来られたら……ええなぁ。

Yoshino

いつか、またそんな日が来ることを楽しみに……
明日からの日々もより良き日を過ごしましょうー。ともにー。

Karin

桜は散っても、いつかまた……
それぞれの歩むべき道が、交わるかもしれませんから !