LIVE Groove Visual burst (December 2016)/Commus

From DereSute Wiki
Jump to: navigation, search

Opening[edit]

28・26・26・25・(17)

12月某日。『お正月を彩る楽曲と、それにふさわしい
大人のアイドルユニット』をコンセプトとして、楓、
早苗、心、美優が集められた。そして、その場には
なぜか"17歳"の菜々の姿も。動揺を隠せない菜々だが
心や楓の後押しもあり、ユニットへの参加を告げる。
『命燃やして恋せよ乙女』を歌う
『宵乙女』が始動した。

'

12月 某日・旅館

Sanae

あら~、いいところじゃない !
こぢんまりとして、雰囲気があって !
この年の瀬に合宿をするには、ぴったり !

Shin

いやー、シ・ブ・い☆
ってか、ほんとにいいのかな~?
こんなところ借りちゃってさ。

Miyu

心さん、プロデューサーさんのお心遣いに感謝しましょうね。

Shin

んもう、分かってるってー☆
美優ちゃん、カタいカタい。もっとリラックスしてこ !
なんたってはぁとたち、一緒のユニットなんだから☆

Miyu

それは、そうですが……。

Sanae

まぁ、緊張するのも分かるわよ。
あたしだってプロデューサー君に呼び出された日には、
ついに肩たたきか、はたまた縁談の話でも来たかと思ったわ。

Shin

それ、どっちもリアルに遭遇したくないなー。
はぁとたち、歳が歳だし☆

Sanae

でも、新曲を歌うユニットメンバーとして
選んでもらえたってことは、期待されてんのよ。
あたしも頑張るけど、ふたりも頑張りましょ !

Miyu
Shin

はい。
あーい☆

Miyu

……それで、残りのメンバーは、まだ到着しないんでしょうか?
私たちだけでは、すこし心許ないですね。

Shin

楓ちゃんと、あともうひとり?
プロデューサーが迎えに行ってけっこう経つし、
そろそろ来るんじゃない? 

Sanae

そうね。
ま、お茶でも飲んで待ちましょ。

Shin

ん~早苗さーん、ルービーじゃなくていいの~?

Sanae

あらっ、いいわねー。
景気づけに、一本いっとく?

Sanae
Shin

あははは☆
あははは☆

Miyu

あっ、あの、まだお仕事中なわけですし、アルコールは……。

Shin

んもう、カタいなぁ☆
ってか美優ちゃん、ジョークだって☆

Miyu

あぁ……そうでしたか、そうですよね。
さすがに、まだお仕事中の時間なのに、乾杯するなんてこと……。

Sanae

あー、冷蔵庫に中ビンがあったわー。
生がよかったけど、こればっかりは仕方ないわねー。
えーと、栓抜きどこかしらー……。

Miyu
Shin

…………。
…………。

Sanae

……オトナって、どこからオトナなのかしらね。

Miyu

どこからなんでしょうか……。
私は、いつも自分が大人なのか分からなくて不安になります……。

Shin

……暇すぎてこういうオチのない話しちゃうの、あるある~。
少なくとも、部屋についてすぐビール開けようとするのは、
オトナじゃないかもね☆

???

お疲れさまです~。

Miyu

……あ、この声は。

Kaede

遅くなってすみません。
高垣楓、ただいま合流いたしました♪
みなさん、今回は宜しくお願いしますね。

Sanae

ぃよっ ! 待ってました ! 楓ちゃん !

Shin

こんな遠いところまでよく来たね☆

Miyu

楓さん、お疲れさまです。あ、お茶淹れますね。
プロデューサーさんは、ご一緒ではなかったんですか?

Kaede

えぇ、そうなの。
別現場が押したから、私だけ先に来ちゃって。
みんなは、何してたんですか? ガールズトーク?

Miyu

まぁ、そんなものを……。

Shin

ところで、楓ちゃんはきたけど、残りひとりのメンバーって誰?
はぁとの知ってる人?

Miyu

そういえば、今日教えてもらえるって聞いていますね。
川島さん……とかでしょうか?
楓さんはご存じなんですよね?

Kaede

えぇ、まぁ。
でも、こういうのは、本人とプロデューサーから教えてもらうのが
いいんじゃないかしら。

Sanae

そうね !
ほら、そんな話をしていたら……来たみたいよ。

Nana

ぶぁぁぁ~っ !
遅くなりました ! 安部菜々、入ります !
失礼しまーす ! 宜しくお願いします !

Kaede

菜々さん、プロデューサー、お疲れさまです。

Nana

いやもうほんとすみません ! 遅くなって !
前現場でちょっとお肌のノリが悪くて、
えー、撮影のリテイクがですね……まぁそんな話はいいとして !

Sanae

あいかわらず、飛ばすわねぇ……菜々ちゃん。

Miyu

菜々ちゃん……が、今回のメンバーなんですか?
あら、意外……。

Kaede

どうして?

Miyu

あの、今回のお仕事の企画書をいただいたときに、
『お正月を彩る楽曲と、それにふさわしい大人のアイドルユニット』
と書かれていましたから。

Nana

ギクぅっ !

Kaede

ふふ。年齢よりも、楽曲のイメージに合っているかが大事……
そういうことなんじゃないかしら。
いかがですか? プロデューサー。

Miyu

なるほど……。

Nana

そ、そういうわけなので !
安部菜々、気持ちと体力が続く限り、頑張りまーす ! !
ゲスト出演、歌番特番、全力で頑張りまーす ! !

Sanae

よっ ! 待ってました ! 菜々ちゃん !

Shin

……パイセン !

Miyu

心さん……?

Shin

菜々パイセンじゃないっすかー !
もー、やだなぁマジで? マジ?
いっしょにお仕事できるなんて、思わなかったー !

Nana

あ、はぁとちゃん ! このユニットでもよろしくね !

Shin

はぁい !
んじゃ、いつものヤツ、やっとくか !

Shin

しゅがしゅが~?

Nana

み~ん☆

Shin

あざーっす☆

Sanae

ふたりは、前にちょっと絡んでたんだっけ。いいわね。
楽しいユニットになりそうじゃない !
ぱーっと騒いで楽しくいきましょ !

Miyu
Shin

オトナの余裕……。
オトナの余裕……。

Nana
Sanae

オトナの余裕……。
オトナの余裕……。

Kaede

あら、みなさん自信なさそう……?
でも、大丈夫ですよ。そのために合宿があるんですから。
この旅館、なんだかいい予感、もしますし。ふふっ。ねっ?

Miyu

……そうですね。
欠けている部分をみなさんから学ばせていただく気持ちで、
精進したいと思います。頑張りますね。

Shin

よーっしっ !
はぁとも、やったるぞ☆
……じゃなくて、がんばりまーすっ。

Nana

あっ、その、ナナは、えーと、
永遠の17歳らしさを捨てて、オトナっぽく背伸びして、
すこしでもみなさんのお力になれるように、が、がんばりまーす !

Sanae

うん ! たまにはしっとり美人のお姉さん達として、
いいところ見せちゃいましょ !
んで、プロデューサー君、ユニット名は?

Kaede

……宵に咲く花のように、遅咲きであったとしても
乙女のようでありたいですものね。
では……宵乙女、お正月の顔となれるように、頑張りましょう~ !

Miyu
Shin

おーっ !
はいっ。

Nana
Sanae

おーっ !
はーい !

Chapter 1[edit]

いくつになっても

心は今回のお仕事に葛藤し、美優相手に嘆いていた。
いつまでも若々しいアイドルでいたいものの、25歳は
アイドルとしては境目の年齢。ただの年増ではなく、
大人らしい、素敵なアイドルになるためには……。
悩むふたりの前に、菜々がやってくる。若々しい菜々を
あえて先輩と慕う心は、助言をもらうことにして……。

'

合宿所

Shin

ふ~、今回はオトナっぽく、かぁ~。
しゅがーはぁとの活躍の場としては、ちょぉーっと難しそだなー。

Miyu

心さん、なんだかお困りの様子ですか?

Shin

まぁねぇー。
でも、それがプロデューサーのお願いなら、
やるっきゃないけどぉー。でも、うーん。

Miyu

もしよかったら、私にお話ししてくれませんか。
聞くことしかできないかもしれませんが、
なにかの力になれるかも……。

Shin

んもー、優しいなコイツ☆
ってか美優ちゃんってさ、悪い男に引っかかりそうだよね……。
お金貸してっていわれたら貸しそう……。

Miyu

えっ……。

Shin

あーごめんごめん。気にすんな☆
そもそもの話すると、はぁとはね。アイドルになりたかったの。
めちゃカワできゅんきゅんのキャピキャピに。

Miyu

……めちゃカワで、きゅんきゅんの、キャピキャピですか。
それは、できているのではないかと思いますよ……?

Shin

んふ☆ ありがと♪

Shin

でもさ、ユニットとして、オトナ組に呼ばれたってわけでしょ?
そんで、今回は正月らしくオトナっぽくなわけでしょ?
はぁとのキャピキャピは、封印なわけよ。わかる?

Miyu

わかります。私も、お正月はともかく、
オトナっぽく、というのがどのようなものか
掴みかねていて……難しく感じています。

Shin

んでしょー?
しかも、はぁとたちは、アイドル業界で言うとBBAなの !

Miyu

BBA……ですか。

Shin

オーバー25ってのはね、
アイドル的にはけっこう境目の年齢なんだって !
はぁと、わりと研究したからコレ間違いないぞ☆

Miyu

……弊社には、わりとたくさんいらっしゃる気がしますけど。

Shin

あはは。ま、まぁね。
それはうちのプロダクションが特殊なんだと思うけど……。
で、でもはぁとは、その年齢の壁を超えてきたわけ ! 気合いで☆

Miyu

はぁ……?

Shin

美優ちゃんだってそうでしょ?
自分の人生投げ捨てる覚悟でアイドル業界にきたんじゃない?

Miyu

私は……そうですね。
投げやりと言いますか、流されがちな性格ですから……。
でも、むしろ拾われたと言いますか……なんと言えばいいでしょう。

Shin

お。なんか含みがあって面白そ☆ そこはこんど飲みながら話そ☆
……じゃなくって。はぁとたちのユニットを見たファン達に、
BBAじゃなく、オトナっぽくて素敵だなーって思われたいわけ☆

Miyu

そうですね。
でも、そう言われると、どうしたらそう見てもらえるかは……。

Nana

あーふたりとも、いたいた。
そろそろ、打ち合わせ始めますよ。
歌に踊りに、レッスンは今日から盛りだくさんですからね !

Shin

あ、菜々パイセン ! ちょうどいいところに !

Nana

ん? どうかしたんですか?

Shin

ぶっちゃけ、ファン達に、
『BBAじゃなく、オトナっぽくて素敵だなー』
って思われるには、どうしたらいいかなって☆

Miyu

ふたりで、悩んでしまって……。
こんなことを、年下の菜々ちゃんに
聞くのもおかしいかと思うのですが……。

Nana

うぇっ、あっ、はい。
ソウデスネ、オカシイトオモイマス。

Shin

でもでもでも~。パイセンなら、わかるっしょ?

Miyu

そもそも、なぜ心さんは菜々ちゃんのことを
先輩と呼んでらっしゃるんですか……?

Nana

そ、それについては今度、ご飯でも食べながら話しましょう。
で、ええと……オトナっぽく素敵だと思われる方法ですか?
えーと、えーと……?

Shin

おちえて☆

Nana

そんな、せいいっぱい可愛く言われても……。
ええと、あの、そう ! たとえば、お芝居と一緒です !
演技です ! 自分が思う、素敵なオトナの女性役を演じるんです !

Shin

あー、ウサミン星人役みたいな?

Nana

そうそうウサミン星人役みたいな……って、ノウっ !
違いますっ ! ナナは本当にウサミン星から……。

Miyu

えぇと……?

Nana

ほら、美優さん困ってますから、この話はおいといて !
とにかく、ファンのみんなに憧れられるオトナな自分を、
演じてみるのはどうでしょう? 嘘から出たまことって言いますし。

Miyu

なるほど、いい例え……。
菜々ちゃん、若いのにしっかりしているんですね。
読書の習慣があったりするのかしら。

Nana

あぁ、あの、はい、そんな感じ……。

Shin

……やっぱ、ナナ先輩はすごいなー☆
よし。ちょっとやってみっか☆ ね、美優ちゃん !
ナナ先輩、ありがと☆

Nana

あ、はい……。
なにかの力になったなら……幸いです……。
さぁ、打ち合わせしてレッスン始めましょ ! 支度支度 !

Shin

はーい☆

Miyu

はい。

Chapter 2[edit]

語らいの場で

レッスンの疲れを身体に残しながらも、今回の仕事に
やる気を見せる楓と早苗。そこにやってきたのは
人柄を買われ、リーダーを任された菜々。
人の世話をするのは好きだが、思うところはある様子。
そこで、3人は大人の社交場で語り合うことにする。
お酒を頼む楓や早苗に対し、菜々が選んだのは……。

'

レッスン後

Sanae

はぁ~……さっきのレッスン、きつかったわねぇ。
年々身体にキてる気がするわ。それとも年々振り付けが
ハードになってんのかしら? 楓ちゃんはどうだった?

Kaede

えぇ、ハードですが、とっても充実しています。
それに、みんなといっしょにレッスンというのは、
やっぱりいいですね……。

Sanae

なぁによそれ。
何でもない日常が幸せとか、そういう感じ?

Kaede

……そうかもしれません。
私、いつも忙しいせいか、みなさんと一緒の時間って案外少なくて。

Sanae

たしかに、そうねぇ。お仕事現場では一緒でも、
途中から参加とか、ロケ途中で離脱だったりして、
最初から最後まで一緒って、少ないわよねぇ。

Kaede

えぇ。
だから、ユニットとして、最初の瞬間から立ち会えるのが、
嬉しいなって思うんです。

Sanae

可愛いこと言ってくれるじゃない、このこの~♪

Kaede

うふふっ♪
考えてみたら、私、今回このユニットで最年少かしら♪

Sanae

妹分よ妹分~♪

Nana

……はぁ~。

Sanae

あ、いたわ。妹分。

Kaede

ふふ、そうでしたね。

Nana

あ、楓さんに早苗さん~。
んも~、ここにいたんですか~?
探しましたよ~。

Sanae

おつかれおつかれー。
はぁとちゃんと美優ちゃんの面倒任せちゃってごめんね !
どう、順調そう?

Nana

それは、まぁ、なんとか……。
って、自然と任されちゃいましたけど、
なんでそんな流れになってるんですか?

Kaede

今回の5人の中で、最もリーダーに向いているから、
じゃないかしら。

Sanae

そのとーりっ !

Nana

そ、そんなぁ~。どうしてナナにそんなお役目が……。

Sanae

まぁまぁ ! 今回のメンバーをみてよ !
リーダーが必要なほどみんな子どもじゃないけど、
それでも、いろいろとりまとめる人は必要じゃない?

Nana

まぁ、それはそうですけど……。

Kaede

菜々さん、心さんや美優さんからの信頼も厚いですから、
最適ですよ。もちろん、私や早苗さんから見ても。

Nana

ほんとですかぁ~?
まぁ、みんなのために細々したお仕事を引き受けるのも
嫌いじゃないですから、イイですけど……。

Sanae

わかったわかった !
お姉さんが愚痴聞いてあげるから ! ねっ !

Kaede

でも、そんな話をするのに、こんなところではいけませんね。
もっと良い場所に行かなくちゃ。

Nana

どこに……?

居酒屋

店主

らっしゃい。何にする?

Sanae

あたし生ーっ !

Kaede

じゃあ、ハイボールを。

Nana

えっ、えっ。

店主

何にする?

Nana

あっ、ナナは、その、えーと……。

Kaede
Sanae


Nana

う、うーろん……。

店主

ハイ?

Nana

ウーロン茶を……。

店主

生、ハイボール、ウーロン茶ね。あいよ……。

Sanae

……ま、菜々ちゃんのそういうところが、みんな好きなのよね。

Kaede

えぇ。その通りです。

Nana

うぅ……ナナは永遠のじゅうななさいですから~。
ファンはおろかプロデューサーさんにだって……うぅ~。

Sanae

まぁまぁ。乾杯しましょ。
あたしたちの明日と、宵乙女の未来に、かんぱーい !

Kaede

かんぱい♪

Nana

かんぱい……。

Chapter 3[edit]

宵に咲く花

とあるオフの日。昨夜、早苗や楓が居酒屋に行った事を
話すと、美優は己の人生でそんな経験さえないと話す。
居酒屋へ入ることも演歌を歌うことも経験のない美優。
だが、一同は今回の仕事を通じてまだまだ成長できる、
その喜びをたしかに感じていた。遅咲きながら、
美優たち乙女にも、花開く季節が来ようとしていた。

'

海沿いの道

Miyu

今日はオフになって、よかったですね。
こうして少し気分転換もできますし、
自主レッスンにあてるのもよいですし……。

Sanae

そうね……。

Kaede

そうですね。

Miyu

おふたりとも、大丈夫ですか? 少し顔色が悪いみたい……。
昨晩、飲みすぎたとかでしょうか?

Sanae

まぁ、飲んではいたんだけど……こっちは大丈夫。
あんまり気を遣わないでいいから。

Kaede

えぇ……。
それより、美優さんはレッスンの調子はどうですか?

Miyu

人並みより、ゆっくりかもしれませんが……。
着実に、歌も踊りも覚えています。
みなさんと歌う経験が少ないぶん、全てを糧としているようで……。

Sanae

いいことじゃないの。
あたしたちとの経験がプラスになったらこっちも嬉しいわ。

Kaede

でも、私たちですら、貴重な経験をさせてもらっていますよね。
だって私、演歌なんて、聞いたことはあっても、
歌ったのは初めてですよ。

Sanae

そうね~。
あたしは、昔よく上司のおっちゃんが聞いてたから
耳馴染みはあるけど、みんなはそうでもなさそうだもんね。

Miyu

そうですね、人生で触れる機会もありませんでしたから……。
どこか、TVでの懐かし映像で流れているようなものとばかり。

Kaede

あ、でも飲み屋さんでたまに流れていたりしますよね。
酒と涙と演歌は切っても切れないものですよ。

Miyu

普段、そういうお店に入ることが、ありませんから……。

Sanae

普通そんな年頃の乙女が演歌の流れる居酒屋なんて入んないわよ。
そんなところに突撃していくの、楓ちゃんくらいなんだから。

Kaede

うふふ♪

Miyu

……でも……でも、それはすごいことですよね。

Sanae

すごいこと?

Miyu

私は、アイドルになる以前も、なってからも、
お仕事帰りにちょっと一杯、なんてことはありません。
そもそも、帰り道の選択肢の一つとして、認識していませんでした。

Miyu

お酒の出るお店は、誰かに誘われたらついていく程度で、
ましてや、そんなお店で流れている音楽のことなんて、
気にもとめていなかったんです。

Miyu

でも、今度からはきっと、気付くと思います。
そして、その曲を聴いて、
いろんな感想を持ったりすると思うんです。

Kaede

そうですね。
そうやって、少しずつ、いろんなものに興味を持てるように
なっていくのかもしれませんね。

Miyu

えぇ。そう思うと、小節のきいた歌い方なんかを、
いまあらためて学んでいる自分が、
まだまだ成長しているように思えて……嬉しく思うんです。

Sanae

うん。まだまだ成長してるわ !
美優ちゃんも、あたしたちも !
ま、楓ちゃんはそんなこと考えてお店に入ってないけどね !

Kaede

うふふ。
でも、プロデューサーが、私たちを一つのユニットにしたのも、
そういう意味があるのかも知れませんね。

Miyu

えぇ。
……心さんが言ってました。
アイドル業界では25歳を超えるとおばさんだって。

Sanae

でもー、そんな年増たちが集まって、
一花咲かせることがでーきーたーらー……。

Kaede

とっても、素敵なことですね。

Miyu

それをこのお正月にやろうというのが、
すごいですよね。
一年でもっともご家庭での番組鑑賞が多い季節ですよ。

Sanae

事故ったら大変よねぇ。

Kaede

早苗さん、ずいぶん他人事のように言うんですね。

Sanae

だって、このメンバーよ? 事故るわけないじゃない !
みんなアラサーのいい大人なんだから。

Miyu

そうですね。
あ、でも菜々ちゃんだけ17歳とお若いですが……
うん、年の割にしっかりしていますし、きっと大丈夫だと思います。

Kaede

……あ。

Miyu

あ……?

Sanae

そうね ! 菜々ちゃんなら大丈夫よね !
17歳だけど、17歳だから !

Kaede

えぇ。大丈夫です。ふふっ。

Miyu

……?

Sanae

んじゃ、そんな菜々ちゃん達の様子でも見に行きましょっか !
時間も余裕あるわけじゃないしね !

Kaede

そうですね。行きましょう。
年越しそばも食べないといけませんし。美優さんのそばで♪

Miyu

え、えぇ。

Miyu

……?
…………?

Chapter 4[edit]

新年こそ運試し

帰省するたび、結婚について問われていた美優と心。
そんなふたりの話を早苗は一刀両断する。
今の自分たちはアイドルで、夢を見せる側の存在。
年を越えても、仕事に翻弄されていた。それでも、
少しは正月らしいことをしようと、神社へお参りしに
行くことに。そこで引いたおみくじの結果は……。

'

TV局 廊下

Shin

美優ちゃん、毎年のお正月ってどうすごしてたー?

Miyu

ここ数年は、家でひっそりと……
こたつに入って特番を見るくらいでしょうか。
実家に帰ることも少なくなりましたね。

Shin

は~、わかる……。
実家に帰れば親戚とかから必ず言われるもんねー。

Miyu
Shin

『そろそろ結婚は? 』
『そろそろ結婚は? 』

Sanae

アイドルなんで、結婚できないんですわ~ !

Sanae

って返せるようになって、よかったわね !
全くふたりとも、年明けたってのに
辛気くさい話してんじゃないわよ !

Miyu

す、すみません……。

Shin

ま、お仕事で迎える正月っていうのもなんていうか……
芸能人って感じで悪くないな☆

Miyu

そういえば、そうですね。
合宿してバタバタしていたら、もうお正月の特番撮影ということで
なんだか実感がわいていませんけれど……。

Shin

ま、実感がわくのは打ち上げまでお預けってことで☆

Sanae

よく言ったわ !
それでこそアイドル !

Shin

えへ☆ あざーっす☆

Sanae

あたしたちアイドルはね。
夢を創ってる側なのよ。そんな人間なんだから、
人が休むときに働くし、正月こそ稼ぎどきってわけ !

Shin

年末にこそ警察の取り締まりが増えるみたいな?

Sanae

そうそう ! アレね ! 露骨なポイント稼ぎ、
なんて言われてるけどね、ちゃんと理由があんのよ !
ほんとに飲酒運転は事故のリスクが……ってちがーう !

Shin

さすがのノリツッコミ☆

Miyu

すごいですね……。

Sanae

美優ちゃん、自分もやらなきゃいけないのかしら……
みたいな顔しなくってもいいのよ……。

Miyu

あっ、そんな顔をしていましたか……すみません。

Sanae

とはいえ、あたしたちもお仕事だけしてそれでバイバイってのは
ちょっとつまらないわよね……。

Shin

そうだそうだ !
はぁとたちももっとお年玉とか欲しいぞ☆

Miyu

親戚の子どもなどに配るばかりですものね……。

Shin

あいつらマジ500円じゃ満足しないからな☆

Sanae

ほらそこ !
気を抜いたらすぐ辛気くさい話するっ !

Miyu

す、すみません。
どうしても自分の身近なところばかり考えてしまって。
アイドルらしい正月の過ごしかたなど、思いつかなくて……。

Shin

んー、やっぱワイハじゃない? ワ・イ・ハ☆

Sanae

いいわねー。ワイハーでアロハーな正月、芸能人って感じ !

Miyu

そういうものなのですか……。
せいぜい、神社に行っておみくじを引くくらいしか、
想像できず……。

Sanae

んー、現実はそれくらいよね。
収録終わったあと、いく? プロデューサー君に話してみようかしら。

Shin

おっ ! いいじゃんいいじゃん☆ 早苗さん、お願い☆

Sanae

よし ! どうせ行くなら本気でいきましょ !
アイドルは、正月も営業中ってね !

Sanae

じゃあ……せーのでいくわよ。せーのっ !

Miyu

えいっ。

Shin

どーお?

Sanae

よっしゃぁ ! 大……あぁ、じゃない、中吉ねっ !
でも、今年一年いい感じになりそうだわ !
美優ちゃんは?

Miyu

あぁ……末吉、です……。
地味な結果ですね……。

Shin

どんまいどんまい☆
チームで運勢分け合えばとりあえずみんな吉くらいになるって☆

Miyu

は、はぁ……。

Sanae

だーいじょうぶ !
最年長の早苗さんが中吉なんだから任せなさい !

Sanae

あ、でもこれお酒に注意的な……?
あは、あははは……。

Chapter 5[edit]

豊富な抱負

収録を終え、先に神社へ向かう心。菜々ははしゃぐ心を
温かく見送った。そんな菜々を見て楓は本音をこぼす。
菜々が『憧れ』に向かって努力する姿を眩しく感じて
いたのだ。それを聞いた菜々は、楓に精一杯生きて
ともに青春をしようと諭す。その言葉を受けとめた楓は
今年の抱負に『青春』の二文字を掲げるのだった。

'

TV局 控え室

Shin

ってわけで、はぁとたちは神社におみくじ引きにいこうかなって☆
ふたりもおっかけで来られる?

Kaede

私と菜々さんの収録時間が押しているから、
だいぶ遅くなるかもしれませんね。

Nana

でも、きっと合流しますから !
みなさんで、さきに行ってて下さい !

Shin

おっけー☆
絶対こいよ☆ こないと……さびしいぞ☆
それじゃのちほど~ !

Kaede

ふふっ。わかりました。またあとで。

Nana

大吉引くまでが参拝ですよ~ ! !

Shin

はーい☆

Kaede

……心さん、とってもエネルギッシュですね。

Nana

うれしいんですよ。きっと。
こうしてみんなでひとつのユニットとしてお仕事して、
お仕事以外の場でも繋がって……充実してるじゃないですか。

Kaede

そうですね。とっても、充実しています。
三が日からお仕事だなんて、
こんなに売れっ子になると思いませんでした。

Nana

売れっ子アイドル……。
く~イイ言葉ですねぇ……。
じんわり心があったかくなりますよぉ。

Kaede

鍋焼きうどん、くらい温かいかしら。

Nana

……その、ツッコミ待ちなのか、素なのか、
分かりづらいのはナシにしましょうっ。

Kaede

ふふふ。はぁい。
どうしても、菜々さんには甘えちゃうんですよね。

Nana

な、なんでですかっ。

Kaede

どうしてでしょう。ふふ。
自分に素直だから……でしょうか。
憧れなんです。

Nana

ナ、ナンデデスカ。
あ、むしろナナは、ナナは……自分に素直なんかじゃ……。

Kaede

菜々さん。分かっていますよ。
でも、それは菜々さんが憧れている、
アイドルという存在のためにしていることでしょう?

Nana

そうですけど……。

Kaede

それって、素敵なことだと思うんです。
私は、憧れるアイドル像がありません。
だから、それに近づくための努力なんてできないんです。

Kaede

できることは、ただの高垣楓を知ってもらうことだけ。
つい飲み過ぎちゃったり、寝癖がついてしまったり、
洗剤を買って帰ることを考えているような、普通の私を。

Nana

それは、わりとナナも同じですけど……。

Kaede

でも、努力しているでしょう。
いまもまさに青春している感じが、眩しいんです。

Nana

それなら……楓さんも青春しましょうよ !

Kaede

え?

Nana

努力してるかだけじゃないですよ !
大人になっても、合宿したり、みんなで参拝したり、
飲みに行って下らない話をしたり、お仕事に全力出したりして……。

Nana

そうやって、毎日を精一杯生きてたら、
それは青春って言えるんじゃないですか?

Kaede

……そうですね。

Nana

このユニットのメンバーみんなで、
これまでも、これからも、青春するんです。
何歳だっていいじゃないですか。

Kaede

……はい。

Kaede

青春、します。
これからも、25歳の私なりに。

Nana

ナナもしますよ。
永遠の17歳なりの青春 !

Kaede

……ふふっ。心強いです。
じゃあ、まずは目の前のお仕事に全力を出しましょうか。

Nana

はいっ !

Kaede

では、今年の抱負を書く、ということで……私は、これを。

Kaede

『青春』です。
恋の歌を歌い、未来に憧れ、仲間と友情を育み、
たくさんの応援を受けて、日々を充実させたいと思っています。

Kaede

これが、今年の高垣楓の抱負です。
……菜々ちゃんは?

Nana

ナナは……。
『夢』です !

Nana

いくつになっても、『夢』を持ち続けられる人でいられますように !
夢から逃げない ! 夢を追いかける !
なにより、みんなに夢をあげられる人でありたいです♪

Kaede

……いかがでしょうか。画面の向こうのみなさんも、
今年の抱負を書き出してみるのはいかがですか。

Kaede

きっと、その言葉は、文字以上の力を私たちにくれると思います。
なんて、ちょっとお正月から真面目すぎたかしら♪

Ending[edit]

酒宴の幕開け

新年のお仕事を終え、待ちに待った打ち上げ兼新年会 !
今回のお仕事の反省をし、Pへの新年の挨拶をすませ、
本格的に宴会が始まった ! 飲み、泣き、笑い……
宴会は賑やかに進んでいく。だが、楽しい会は
いつまでも続くものではない。数時間後、
そこには乙女たちの変わり果てた姿があった……。

'

宴会場

{0}P

えー、それではみなさま、お集まりでしょうか……。

Sanae

えーい、まどろっこしいわ !
みんな、かんぱーい ! ! !

Miyu
Kaede

乾杯。
乾杯♪

Shin
Nana

かんぱーい !
かんぱーい ! !

Sanae

ほらほら、プロデューサー君も乾杯♪
……話が長いのが悪いのよ。
ビールは泡が消えたらダメなんだから !

Kaede

プロデューサー、新年早々からお仕事お疲れさまでした。

Miyu

楽曲の制作やMVの制作も終わりましたし、
特番の収録も終わりましたよね?
ようやくお休みできるのかしら……。

Shin

いやー、プロデューサーのがんばりのおかげで、
はぁと達がお仕事できて、ファンも喜ぶ ! いいことだぞ☆
よろこべよろこべ☆

Nana

しかし、打ち上げが新年会を兼ねるなんて、便利ですねぇ。
旅館の宴会場を使わせてもらえるなんて、一石二鳥♪

Miyu

なにが一石二鳥なんですか……?

Nana

酔って潰れても、そのまま泊まれますから !

Miyu

……たしかに。それ、覚えがあります。

Kaede

ほらほら、美優さん。
せっかくの打ち上げ兼新年会なんですから。
堅苦しいお話はせず、どうぞ♪

Miyu

あっ……はい、いただきます……。

Sanae

ほらそこー !
飲ませるのはいいけど、自分でも飲みなさいよー !

Shin

てか、思ったんだけど……正月、もう終わった?

Nana

終わりましたね。
企業やお店は営業中、学生は学校が始まりますよ。
それがなにか?

Miyu

そういえば……結局、新年のご挨拶をしていないような……。

Kaede

あぁ、そうでしたね。
では、良い機会ですしあらためて……。

Kaede

新年明けまして、おめでとうございます♪
はい、早苗さん♪

Sanae

旧年中は、大変お世話になりました !
飲みすぎたときとか ! あと夜店でのこととか !
はい、美優ちゃん !

Miyu

おかげさまで、良き新年の始まりを迎えることができました。
これも、全てプロデューサーさんやみなさんの応援のおかげです。
では、心さん。

Shin

今年も、よろしくお願いします☆
つーか、世話するし、世話になるぞ☆
ラスト、菜々先輩♪

Nana

えっ……えーと、
みなさまの、ご健康とご多幸をお祈り申し上げます !
健康、大事 !

{0}P

宜しくお願いします。

Sanae

はーい !
じゃあ、ノルマも終わったところで……あらためて、飲むぞーっ !

Kaede

お酒は節度を守って、楽しく飲みましょうね♪

Shin

はーい☆
ほら美優ちゃん、飲むぞ☆ つきあえよ☆

Miyu

あ、その、私、お酒でいい思い出がないんですよね……。

Shin

じゃあはぁと達と良い思い出つくろ☆

Miyu

あ、はい……。

Nana

ナナは、ウーロン茶ですから……うーろんちゃですからー !

Kaede

すみませーん、熱燗もう一本♪

Sanae

やっぱビールよねー♪ 何十リットルでもいけるわ♪

Shin

ちょ、美優ちゃん、大丈夫?
そんな凹むなって~。

Miyu

私だって……私だってですね……ぐすっ。

Shin

泣き上戸めんどくさいぞおい☆

宴会は長時間に及んだ……

Nana

で……どうするんですかこれ……。

Kaede

すー……。

Miyu

もう……ううっ……。

Shin

あはははー……。

Sanae

疲れ……た……。

Nana

みんな潰れちゃった……。
んも~、世話するのはナナだけなんですから~ !

{0}P

これがほんとの……。

Nana

宵乙女ならぬ、酔い乙女……って、もー !
みんな、オトナなんだからちゃんとしてくださーい ! !