LIVE Groove Visual burst (April 2016)/Commus

From DereSute Wiki
Jump to: navigation, search

Preview 1[edit]

生存本能ヴァルキュリア

Minami

みなさん、こんにちは。新田美波です。
私たちのユニットが、ステージへ立つことになりました。

Minami

歌うのは、新曲「生存本能ヴァルキュリア」
『もっと強く もっと優しく なれたなら後悔は減るのかしら』

Minami

みんなのお目にかかれるのがいまから楽しみです。
イベント、LIVE Groove Visual burst。近日公開です。

Preview 2[edit]

生存本能ヴァルキュリア

Aiko

今日はファンのみなさんに、
すてきなニュースを持ってきました。

Aiko

なんと、私、高森藍子と4人のすてきな仲間で、
ステージに立たせてもらえることになりました。
歌うのは、新曲「生存本能ヴァルキュリア」です。

Aiko

イベント、LIVE Groove Visual burst。
開始まで、もう少し待っていてくださいね。

Opening[edit]

戦乙女になる日

事務所に集った美波、ありす、文香、藍子、夕美。一同はユニット『アインフェリア』を結成し、美波がリーダーとして率いることになる。そして、与えられた武器は、新曲『生存本能ヴァルキュリア』。5人の《戦乙女》としての日々が、始まった。

'

事務所

Minami

……だから、文香さんも今回は、キリッと。ね?

Fumika

……はぁ、キリッと、ですか。

Minami

そんなに難しく考えなくていいんですよ。
あぁ、でも難しかったら、ちょっとだけでもいいから……。

Yumi
Aiko

おはようございますっ。
おはようございます。

(Select an option)

おはよう

Minami

藍子ちゃんに夕美ちゃん !
おはようございます。いっしょにお仕事できて嬉しいな。
今日はよろしくね。

Aiko

はいっ。美波さんと文香さん !
いろいろお勉強させてください。
よろしくお願いしますねっ。

Fumika

……お教えできることがあるかは分かりませんが、
何にでも、学ぶことはできるものです。
人間関係からであっても。……ですから、よろしくお願いします。

Yumi

こちらこそ、いっしょにお仕事できてとってもうれしいなっ。
よろしくお願いしますっ。

Minami

うんっ、こちらこそ、あらためてよろしくねっ !

Arisu

あ、あの……。

Yumi

あれっ、いつの間に ! ?

Aiko

ごめんなさい、気がつかなくってっ。

Arisu

……橘ありすです。お2人が美波さんと文香さんに
挨拶をしているようだったので、待っていたのですが……
ご挨拶ばかりしていると話が進みませんよ。

Aiko

こういうときって、お互いに挨拶したあと、
なぜかまた挨拶しちゃうんですよね。

Yumi

ずっとお辞儀しあっていたりしてね。ふふっ。

Arisu

よく見ますけど、大人のひとって、挨拶しあいますよね。
何度も挨拶するのって無駄じゃないんですか?
1回言えば分かると思うんですけど。

Fumika

……私は、話を切り上げるタイミングがよく分からないだけです。

Aiko

それもあって、ついつい長話しちゃったりするんですよね。

Minami

人付き合いの大事さを知っているから、挨拶を大事にするし、
長話をしちゃったりするのかもしれないわ。
ありすちゃんも、挨拶は大事にしましょうね。

Arisu

そういうものなんでしょうか……。
それで、今日はどうして集まったんですか?

Yumi

そうですね、集合としか聞いていなかったけど、
何が始まるのかな?

Minami

それについては、私から説明しますね。
今回集まってもらったのは、みんなでステージに立つからなんです。

Aiko

みんなでって……この5人でですか?

Minami

えぇ。
この5人でユニットを組んで、新曲をステージで歌うの。
曲は『生存本能ヴァルキュリア』っていうんですよ。

Arisu

ユニットで……新曲…… !

Fumika

ありすちゃん、一緒のユニットですね。
よろしくお願いします。

Arisu

は、はい !

Yumi

新曲だなんて緊張するけど、楽しくできたらいいねっ。

Aiko

私たちからも、よろしくお願いしますねっ。

Arisu

よ、よろしくお願いします !
ユニットで……新曲……ヴァルキュリア……
あ、ヴァルキュリアって聞いたことあります。

Fumika

……書物で、読んだことがあります。
ヴァルキュリアは古ノルド語での表記ですね。
ドイツ語ではワルキューレ、英語ではヴァルキリーともいいます。

Fumika

古くは古代ノルド達の詩に描かれていて、北欧神話の中では
神々の使いでもある、戦乙女としても知られています。

Yumi

へぇ……そうなんだ !

Arisu

そ、そうですよね。ゲームなどで聞いたことがあります。
槍を持ってるんです。私も知ってますよ。
みなさんは知らないんですか?

Aiko

私はゲームとか戦うのとか、そういうのは詳しくないから、
名前くらいしか聞いたことなかったです。
でも、文香さんは詳しいんですね。

Fumika

ヴァルキュリアは、dis(ディース)、
disir(ディーシル)と呼ばれる女神たちで、
戦場の魂を天界の宮殿、ヴァルハラへ導くのがその仕事です。

Aiko

魂を……はぁ。
なんだか、すごい物語があるんですね。

Yumi

へぇ……文香さんって物知りなんだねっ。
それに、説明が上手っ !

Arisu

さすがです。すごいです。
文香さんのその知識は尊敬に値しますね。

Minami

ふふっ。すごいよね。

Fumika

……とんでもありません。
たまたまそのような書物を読んだことがあるというだけですから。

Yumi

なるほど~っ。
ところで、ユニットでステージに立つんだったら、
ユニット名を決めないといけないんじゃないのかな?

Arisu

奏さん達は、タイプが違うメンバーだったけど、
セクシーな名前になったって言っていました。
私たちも負けないくらいクールな名前にしましょう。

Minami

それなんだけど、事前に相談していたの。
『アインフェリア』って名前はどうかしら。

Aiko

なんだか、柔らかくっていい響きですね。
どういう意味なんですか?

Fumika

einherjar(エインヘリヤル)は先ほどの話にあった、
戦場の魂たちの名です。

Minami

自分たちに女神みたいな名前を付けるのは気後れしちゃうけど、
これなら間接的な意味だから、いいかなって。

Yumi

へぇ……すごいね、美波さんも文香さんも。
なんで2人とも、そんなことがさらさら出てくるんですか。

Minami

勉強したからかな?

Fumika

本を読みました。

Arisu

……そんな、簡単に言わないでください。でも、そうですね。
素晴らしい名前です。これで、名前にどうこう言われません。
むしろ、かっこよくてみんな驚きますよ。

Aiko

ふふっ。よかったね。
私も、ユニットの一員として気を引き締めないとっ。

Minami

あ、あと、歳上だから、私がリーダー役もやってるけど……
みんな、よかったかな?

Yumi

お任せしちゃって、いいんだったら、ぜひお願いしますっ。

Minami

……じゃあ、ユニットとしてステージへ立つために、
みんなで協力して頑張りましょう !

Yumi
Aiko

おーっ。
はいっ。

Fumika
Arisu

えぇ。
はいっ。

Chapter 1[edit]

少女は戦乙女の声を纏う

レコーディングを終えた美波、ありす、文香の3人。一同は、ユニット結成についての思いを話していた。今回のユニットには、戦乙女や女神のコンセプトにふさわしいメンバーが選出されている。文香とありすはその中でも最も美しいのは美波だと思っていた。その気高き姿勢を歌声に変えて、美波は舞台を目指す。

'

収録スタジオ

Minami

新曲を歌ってみて、どうだった? ありすちゃん。

Arisu

その……正直に言って、苦戦しました。
力強く歌うのは、難しいです。私なりに、頑張りましたけど……
文香さんはどうでしたか?

Fumika

……私も、得意とは言えません。
プロデューサーさんがいない場で言うのもなんですが……
私で、良いのだろうかと思ったほどに。

Arisu

そうですよね !
やっぱり文香さんも、そう思いますよね。

Fumika

……でも。

Arisu

でも?

Fumika

でも、こうしてみなさんとお仕事する機会をいただきましたから、
この機会を、無下にはできないと思いました。
せっかく、ありすちゃんや美波さんとも歌えるわけですし。

Minami

ユニットに選ばれたからには、頑張りたいですよね。

Arisu

そういう風に、前向きに考えれば良かったんだ……。
あ、ちなみに藍子さんと夕美さんは、
どうして選ばれたんですか?

Minami

今回の楽曲のコンセプトは戦乙女や女神だからね。
それにふさわしいメンバーが選ばれたんですって。

Arisu

へぇ……そうなんですか。
ふさわしいって……女神っぽいっていうことですか?
文香さんと美波さんなら、似合うと思いますけど。

Fumika

……女神とは、なかなかその自覚もありませんが。
選ばれたのなら、そう見えるのかもしれませんね。
自己の評価と、他者の評価は常に違うものです。

Minami

文香さんは、よくメイクさんに褒められてるじゃない。
肌が白くてキレイだし、髪もキレイって。

Fumika

はぁ……そうでしょうか。

Minami

それに夕美ちゃんや藍子ちゃんも、
花の女神か妖精さんみたいで、ファンに人気でしょう?
ぴったりじゃない。

Arisu

じゃあ、じゃあ……私も、ふさわしいんですか?
まだ、女神っていう年齢じゃないですけど……。

Fumika

……ありすちゃんはたしかに年齢は若いかもしれません。
ですが、真の評価というものは、自分ではわからないものですよ。

Minami

そうね。ありすちゃんは一人前のアイドルとして、
女神を演じられると思われたから、選ばれたんじゃないかな。

Arisu

本当ですか…… !
美波さんと文香さんにそう言ってもらえるなら、頑張ります。
きっと……誰よりも美しくなってみせます ! いつか !

Minami

えぇ。頑張りましょう。

Fumika

……でも、きっと一番美しいのは、美波さんです。

Minami

へっ ! ?

Fumika

……美しさというのは、外見だけではないのです。
気品や立ち居振る舞いふくめた、総合的な完成度であると、
世の書物には書かれています。

Minami

そ、そんなことは……。

Arisu

あります !
美波さんは、女神って、みんな言ってました。ヴィーナスだって。

Minami

ヴィ、ヴィーナスなんて……
そんなの、みんなが冗談みたいにはやし立てているだけで……。

Arisu

冗談じゃありません !
だから、私もヴィーナスになれるように、
その美しさのコツを教えてください。できるだけ、具体的に !

Minami

あ、あの、ありすちゃん?

Fumika

……後学のために、私にも教えていただけませんか。

Minami

え、えっと……文香さん?

Arisu

ちなみに、文香さんの肌の白さの理由も教えてもらいました !

Fumika

はい。

Minami

ちなみに……そちらは後学のために聞いておきたいけど……
なんて?

Arisu

外に出ないこと、だそうです !

Fumika

はい。

Minami

あ、そ、そう……。

Arisu

つぎは、美波さんの美しさのポイントを教えてください !
できるだけ具体的に、マネできるように、ノウハウ化して、
マニュアル化できるように、具体的に !

Minami

え、えぇ~……。

Arisu
Fumika

さぁ !
ぜひ。

Chapter 2[edit]

少女は女神に憧れる

メンバーの中で最年少のありすは、夕美や藍子のもつ女神のような雰囲気に憧れていた。レコーディングを経て、その思いを強くするありす。だが、藍子と夕美はそんなありすにも「女神らしさ」があると言う。その、ありすの「女神らしさ」とは……。

'

収録スタジオ

Aiko

……そういうのって、苦手なんです。
どうしても緩んじゃうっていうか……。

Yumi

それ、すっごく分かるなぁ。
私もほら、こんな感じだし……。

Aiko

……あっ、お疲れさまです。
コーラスのレコーディングはもう終わりかな?

Arisu

あ、はい。そうです。お待たせしました。
あと、お、お疲れさまです。
藍子さんと夕美さん。

Yumi

橘ありすちゃん。

Arisu

は、はい。

Yumi

ふふっ。可愛い子がいるなぁって、前から思ってたんだ。
あんまりいっしょにお仕事する機会はなかったけど、
これから、あらためてよろしくね。

Arisu

え、えぇ。
あっ、でも、子ども扱いはしないでくださいね。
私はりっぱなアイドルですから。

Aiko

もちろんですっ。ふふっ。
でも、張り切ってるところもかわいいって思うよ。

Arisu

や、やめてくださいっ。
ところで、お2人で何を話してたんですか?

Yumi

かっこいい歌をうたうときって、どんな顔をしたら良いのかなって
話してたの。

Aiko

私は明るい曲や元気な曲が多かったから、難しくって。

Arisu

そうですね……でも、お2人は女神にふさわしかったそうですから。

Yumi
Aiko

女神に……?
女神に……?

Arisu

そうです。女神には優しさも大事ですから。
気高いだけでも、かっこいいだけでも、ダメなんです。

Aiko

そうなんだ。
たしかに、曲を歌わせてもらって思うんです。今までにない、
かっこいい自分に会えそうで、ワクワクしてるって。

Yumi

うんっ。
ファンのみんなに、新しい私たちを見てもらえるかもって思えば、
楽しみだよね。

Aiko

でも夕美さん、かっこいい曲は似合わないって
ファンのみなさんに言われたら……どうしましょう?

Arisu

そ、そんなことあるんですか。

Yumi

過保護な人も、たまにはいるよ。
ファンレターで、『夕美ちゃんにはかわいいお仕事が似合います』
って送ってきたり……ねっ?

Aiko

そういう人も、大事なファンの1人ですけどね。ふふっ。

Arisu

アイドル界って、大変ですね……。

Yumi

でも、いつもおんなじ笑顔じゃ、私たちだってつまらないもんね。
カッコよく決めたり、セクシーな雰囲気だって……。

Aiko

えぇっ、セクシー、ですか? 私はちょっと……それは……。

Arisu

わ、私も、それはさすがに困ります……。

Yumi

あはは、ごめんね。
でも、女神らしくステージでも歌ってみたいよね。
今回はそれができるチャンスだから !

Arisu

そうですね……楽しみです。

Aiko

女神かぁ……
つまり、ありすちゃんも、女神らしいってことなんだね?

Arisu

はい……そうらしいです。

Yumi

きっと、数年したら、美波さんや文香さんみたいに
クールビューティーになれるのかもねっ。

Arisu

本当ですか?
ま、まぁ、私のクールさにはすでに定評がありますからね。

Yumi

クール・タチバナだもんね。

Arisu

どうしてそれを…… !
プロデューサーさんですか、そうなんですね ! ?

Aiko

ふふっ。クール・タチバナ、楽しみにしてます。

Arisu

あっ……
ありすでいいですっ !

Arisu

というか、ありすと呼んでくださいー !

Chapter 3[edit]

少女は風に包まれる

PVを撮影するため、一同はロケ地へ向かっていた。ロケバスの中で、文香は曲のテーマを物語調に語る。美波と夕美は、その美しい語り口に聞き入っていた。やがて、ロケ地の草原に到着し、降り立つ一同。文香も風に包まれて、つい空を見上げるのだった。

'

移動中

Fumika

……撮影の目的地は遠いのですか?

Minami

もうそろそろつくと思うよ。
広大な草原に、自然の花々が広がっているんですって。

Yumi

草原かぁ……この季節はきっといろんなお花が咲いてるね。
今回は、どうして草原へ撮影に行くんでしたっけ?

Minami

歌のテーマを表現するためにPVを撮影するんです。
もう台本は読んだ?

Yumi

読んだけど、よく分からなくって。
歌のテーマって、どういうことなんですっけ?

Minami

それについては、物語を説明するのに最適な文香さんから
語ってもらいましょうか?

Fumika

……はい。まず、無垢な少女達が平和に過ごしています。
これから向かう草原のシーンは、それを意図したものですね。

Yumi

無垢な少女、ね。

Minami

そう、私たちです。あは……自分たちで無垢だなんて、
やっぱりちょっとだけ気が引けるけどね。ふふっ。

Fumika

それで、平和な少女達を悲劇が襲います。
争いが起こり、戦うことを余儀なくされます。

Yumi

戦いって……どんなものかぜんぜん想像できないなぁ。

Minami

まぁ、ここでの戦いっていうのは比喩的なものだから、
本当に私たちが戦うわけじゃないけどね。

Fumika

その結果、生きのこるために少女達は立ち上がります。
結果、少女達はヴァルキュリアのように、戦士達の象徴となります。

Yumi

なるほど……。

Minami

夕美ちゃん、ストーリーはだいたい分かったかな?

Yumi

あんまり、ですね。ふふっ。
でも、この後の草原でのカットは何をしたらいいか分かりました。
少女らしく、無垢にですよね。

Fumika

……その、草原に着いたようですよ。

PV撮影ロケ地

Minami

んーっ……風がさわやかで気持ちいい……っ。

Fumika

……これは、何のお花ですか。

Yumi

これは、春咲きのコスモスだね。
それに、シロツメクサや、他にもたくさん !
うーん、みんな元気に咲いてるっ♪

Fumika

……美しい場所ですね。
このような気分の良い場所で読書をするのも、捗りそうです。

Yumi

文香さん、草原に来ても読書なんだ? !

Fumika

……寝るとき以外、どこででも読書をしますね。

Yumi

へぇ……本当に本が好きなんだね。
でも、私も同じくらいお花が大好きだから、
その気持ちは分かるかもっ。

Minami

ふふ。さて、着替えたらPV撮影が始まりますよっ。
ほら、文香さん。支度しに行きましょう?

Fumika

えぇ……花は詳しくありませんが、美しいですね。

Minami

気に入った?
こういうところに来るのが珍しいなら、余計にそう感じるのかも。

Fumika

……そうかもしれませんね。
せめて、この風景に似合っていたら、いいのですが。

Yumi

文香さん、お花が似合わない女の子はいないんだよっ。

Fumika

……そうなのですか。

Minami

気に入ったなら、撮影のとき、髪に挿してあげますよっ。

Fumika

……ありがとうございます。
では、せめて……。

Fumika

顔を上げて……花のように、空を見上げましょうか。

Chapter 4[edit]

少女は幸せを教える

草原で撮影の準備をする藍子、文香、ありすの3人。緊張していた藍子は、文香とありすから優しい言葉をもらう。緊張がほぐれた藍子は、礼として、ありすに二つのことを教えることにする。それは草花を使った花輪の編み方と、優しく在る方法だった。

'

PV撮影ロケ地

Arisu

私たちも、そろそろ撮影の時間ですね。
準備はできてますか? 藍子さん。

Aiko

ふぅ~……。

Fumika

……緊張、しているのですか。

Aiko

あっ、ごめんなさい。
この草原のシーンなら大丈夫です。この後のシーンの撮影が
ちょっと緊張するかなぁって思って……。

Fumika

この後のシーンですか。
……あぁ、草原のシーンの次ですね。

Arisu

荒れ地のセットで、かっこいい制服を着て、
カッコよく映るシーンですね。カッコよくですよ。

Aiko

草原で自然な顔ならともかく、
制服姿でカッコよくなんて、できるかなぁ……。

Fumika

藍子さん。ただ口を結んでいれば良いのだと聞きました。
……私はいつも無口ですから、ちょうどいいのかもしれませんが。

Arisu

文香さんは、私以上にクールですからね。
きっと次のシーンの撮影でも、上手くいくと思いますよ。
まちがいありません。

Aiko

文香さんは、無口って言いましたけど
普段はどんなことを考えているんですか?

Fumika

……読んだ本の内容を反芻していることが多いですね。
アイドルになってからは、書物のことだけではなくなりましたが……。

Fumika

それでも昨晩読んだ小説の続きであるとか……
あるいは、学術書の記述について考えていたり
といったことが多いように思います。

Aiko

そうなんですね。
きっと、文香さんの頭の中には
文字がたくさん詰まってるんでしょうね。

Fumika

文字が……ですか。面白い比喩をしますね。
藍子さんの情緒的な性格が表れているように感じます。
……たしかに、空想することは多いかもしれません。

Fumika

ただ、それは直前に読んだ本の内容の延長線上でしかありません。
北欧神話についての書物を読んでいたら神話の世界が広がり、
現代を舞台にしたものを読んでいたらまた同じ……です。

Aiko

へぇ……すごいんですねぇ……。

Arisu

すごいです……。
ついていくので精一杯です……。

Staff

文香さん、メイク直しお願いしまーす。

Fumika

……はい。では、お2人とも、お先に。

Aiko

……はぁ。
それにしても、本当にきれいなお花畑ですね。
ちいさな頃、花冠や花の指輪なんかを作ったのを思い出すなぁ。

Arisu

指輪、ですか?
お花で作れるんですか?

Aiko

そうだよ。夕美さんの方が詳しいかもしれないけど、
私でよかったら教えてあげましょうか?

Arisu

いいんですか?
……その、迷惑でなければ、お願いしたいです。

Aiko

そんなに気をつかわなくってもいいんだよ。
12歳のありすちゃんから19歳の文香さん達を見たら
すごく年上に見えるかもしれないけど、私は16歳だから。

Arisu

はぁ……?

Aiko

ありすちゃんから私と、私から文香さん達は同じくらいって
言ったら、なんとなく伝わるかな?

Arisu

藍子さんは……優しいんですね。
どうしたら、そんなに優しくなれるんですか。
なんで、よく知らない私にそんなに優しいんですか?

Aiko

やさしくしてもらったことを、毎日いっぱい覚えておくんです。
幸せは、気づければ幸せになるから。
そして、その数分、誰かにやさしくしてあげられたら、いいんだよ。

Arisu

……どういうことですか?

Aiko

お花を見つけたとき、『お花が咲いてるなぁ』って思うのと、
『きれいなお花を見つけられて、幸せだなぁ』
って思うことの違い、かなぁ……。

Arisu

そんな考え方、思いつきもしませんでした。

Aiko

ありすちゃんと過ごしているなぁ、じゃなくて、
ありすちゃんと過ごせて幸せだなぁって思っているんですよ。

Arisu

……本当ですか?

Aiko

うんっ。

Arisu

私も……藍子さんにこうして教えてもらえて、うれしいです。
幸せだと、思う。

Aiko

ふふっ。あっ、ほら、お花の編み方、教えてあげるね。

Arisu

は、はい……。えへへ……。

Chapter 5[edit]

少女は花に包まれる

ついに迎えた、本番当日。緊張が抜けない藍子と夕美へ美波は『いい場所』を教える。それはLIVE会場の花畑、楽屋花が置かれた部屋だった。花に包まれ、喜ぶ夕美。リラックスして本番を迎えるために、部屋で寛ぐ一同だったが、つい時間を忘れて寛いでしまい……?

'

本番当日

Minami

今日は本番ですね。
みんなでステージを頑張りましょう !
女神のように、気高く、美しくなれるように !

Aiko

はいっ。
なんだか、美波さんはステージに立つとまるで別人に見えますね。

Yumi

リハーサルでも、まるでホンモノの女神のようだったしね。
キレイだなぁって思っちゃった。

Minami

ふふっ。恥ずかしいです。
アイドルとしてスイッチがはいると、ついそうなっちゃって……。

Aiko

すごいですよね。
どうしたらそうなれるんですか?

Minami

うーん……あんまり考えたことなかったけど……
見られてるって思うと、かな?

Yumi

見られてると?

Minami

アイドルとしてみられてると、ちゃんとした、
『新田美波』って言うものが要求されてると思って、
そういう人格を演じようとしちゃうのかも……。

Aiko

そうなんですね。
いつもの自分と、アイドルの自分がちゃんと分かれてるんだ。

Yumi

私は演じるのって苦手だなぁ……。
だから演技のお仕事があんまり来ないのかも。
いつも同じ自分でいたいって思っちゃうんだ。

Aiko

別人になりきるのって大変ですもんね。
かっこいい私を見てもらえるように、頑張らなきゃ……。

Minami

ふふっ。2人とも、まだまだ緊張が抜けないかな?
じゃあ、良いところを教えてあげますっ。

Yumi
Aiko

いいところ……?
いいところ……?

Yumi

ん~っ、良い香り…… !

Aiko

ここは……?

Minami

楽屋花の置き場ですっ。
出演する人が多いから、贈られたお花もたくさんあるんです。
だから、こうして一箇所にまとめてあるの。

Yumi

まるでお花畑みたいだねっ !
いろとりどりのお花が、こんなにたくさん……すてきー……。

Aiko

ここなら、リラックスして本番を迎えられそうですねっ。
夕美さん♪

Yumi

うんっ !
藍子ちゃんも、本番までここで過ごさない?

Aiko

えぇ、もちろんです。
美波さんも、いかがですか? あ、私、お茶を淹れてきますよ。

Minami

そう? まぁ、まだ準備までは少し時間あるし……
ちょっとだけなら、いいかな?

Yumi

ふふっ、やったっ♪
あの、前から聞きたかったんですけど、美波さんって、
普段どんな生活してるんですか?

Minami

えぇっ、いきなりそんな話?

Yumi

だって、スケジュールがびっしり埋まってるっていうから……。

Minami

あぁ、それは……。

Aiko

お2人とも、お茶のおかわりはいかがですか?
もう少しだけありますけど……。

Minami

私はもう大丈夫。
だいぶいっぱいお喋りしちゃったから……
って、もうこんな時間 ! ? 大変 !

Yumi

まだ、ぜんぜん時間経って……あれ?
こんなに長い間おしゃべりしてたっけ?

Aiko

お茶をしてると、なんだか時間が過ぎるのって、早いんですよね~。

Minami

早く、控え室に戻って支度しなくちゃっ !
ほら、夕美ちゃんも藍子ちゃんも !

Yumi

もうちょっとだけ、ここのお花の香りを楽しみたいな~。

Aiko

お茶、まだ残ってますよ~?

Minami

ちょっと2人とも、本番前にそんなゆったりしてないで~ !
クールに演じるんじゃなかったの~ ! ?

Ending[edit]

乙女たちの園

ステージが終わり寂しさを感じる美波、ありす、文香、藍子、夕美の一同。だが、楽曲とユニット活動を通じて育んだ絆は消えないと確かめあう。数日後、一同は公園にいた。打ち上げのためと、集められたのだ。やがて、ありすが贈り物を携えてやってくる。公園での打ち上げは、いつまでも和やかな声が響くのだった。

'

LIVE後

Fumika

……はぁ。

Minami

終わっちゃいましたね。夢みたいなステージ。

Fumika

……私は、ヴァルキュリアになれたでしょうか。
自分では、ただ高揚の渦に巻き込まれていただけに思います。

Arisu

文香さんも、美波さんも、きれいでした。
ヴァルキュリアみたいに、ファンの人たちを導いていたと思います。

Fumika

ありすちゃん……。

Minami

ありがとう。ふふっ。
ありすちゃんも、素敵だったわ。

Arisu

ほんとう……ですか?

Aiko

ファンのみなさん、とても嬉しそうな顔をしていましたよ。
カッコいいありすちゃんに、見とれていたんじゃないかな?

Yumi

うんっ。
すっごく楽しいステージだったよね。
クールにカッコよく決めて、みんなに新しい一面を見てもらえて。

Arisu

クールな一面は、いつもの私ですけど……
でも、そうですね。ファンのみなさんにも、証明できたと思います。
できてたら、いいな……。

Minami

うんっ。みんな、今日は充実して眠りにつけますね。
さぁ、会場を出ましょうか。

会場外

Aiko

なんだか、もう終わりなんて、さびしいですね。
もっとみなさんとお話ししたかったなぁって思います。

Yumi

そうだよね。
レコーディングにレッスン、撮影に本番……
結構いっしょに過ごしてきたと思うけど、まだ足りないよね。

Fumika

……たしかに、藍子さんや夕美さんと、話す機会は稀でした。
これを機にお近づきになれたとは思いますが、
これで終わりというのは、寂しいような気もします。

Arisu

私も……です。

Minami

それは分かるけど、関係がこれで終わるわけじゃないわ。
私たちの曲は残るし、
また歌う機会が来るかもしれないでしょう。

Minami

だから、これが始まりだと思って、また明日からも頑張りましょう?

Aiko

はいっ ! わかりました。

Yumi

そうだよねっ !

Fumika

……やはり、美波さんは眩しすぎます。
私たちのユニットを先導するヴァルキュリアにふさわしいですね。

Minami

えぇっ、そんな、意識してるわけじゃないんだけど……。

Arisu

生まれついてのリーダー性があるって、すごいです。
私もほしいです。どうしたらそうなれるんですか。

Minami

し、自然とこうなったので……。

Aiko

ふふっ。ありすちゃん、自然が一番ですよ。

Yumi

そうそう。お花だって、野に咲いてる姿が一番キレイでしょ。

Arisu

そう……ですか。そうですね。
背伸びしても、みなさんにはかないませんから。
無理はしないことにします。

Fumika

……それでこそ、素直で高潔なありすちゃんそのものです。

Arisu

……えへへ。

Minami

みんなでバスに乗って、帰りますよっ。

Aiko
Yumi

はーい。
はいっ。

数日後

Fumika

打ち上げというのは……公園で行うもの、なのでしょうか。

Yumi

公園でなんて、珍しいよね。
でも、ここじゃなくちゃダメなんだって。

Fumika

……夕美さんの選択だったのでは、ないのですか?

Minami

ううん。違うの。ね、藍子ちゃん。

Aiko

そうなんです。
ありすちゃんと話していて、
ぜひシロツメクサの花があるところがいいってことで。

Yumi

そうなんだ。この間の草原はちょっと遠かったもんね。
でも、どうして公園に……?

Fumika

……お仕事でもなく日差しの下にいると、
なんだか落ち着かない気分です。

Aiko

ふふっ。もうすぐ来るから、待っててください。

Yumi

そういえば、ありすちゃんは……?

Minami

うん、そのありすちゃんがちょうど来ましたよ。
ありすちゃん、こっちだよ !

Arisu

………あの、お待たせしてしまってすみません。

Yumi

ぜんぜん待ってないから、大丈夫だよっ。
それで……ありすちゃん、ここを選んだ理由は
シロツメクサって聞いたけど……。

Fumika

……ありすちゃん、なにかを持っているようですが。

Arisu

えっと、その……。

Aiko

ありすちゃん、大丈夫っ。

Arisu

はい…… !
あの、今回のユニットでの活動、本当にお疲れさまでした。

Minami

お疲れさまでした。

Arisu

それで、私は一番年下で、みなさんにご迷惑をたくさんかけて、
申し訳なく思っていたんです。

Yumi

そんなことないのに !

Arisu

なので、みなさんにお詫びというわけではありませんが、
贈り物を、用意しました。
これです……。

ありすは花で編まれた花冠と指輪をとりだした……

Fumika

これは……。

Yumi

シロツメクサの指輪に冠だね ! すごいっ !
自分で作ったの?

Arisu

はい。あ、作り方は藍子さんに教わって……。
みなさんに、プレゼントします。
もらって、くれますか?

Aiko

きれいにできたねっ。ふふっ。

Minami

ありがとう、ありすちゃん。
私たちも、ありすちゃんに楽しい思い出が
プレゼントできてたら嬉しいな。

Yumi

すてき……ありすちゃん、ありがとう ! 大切にするね !

Arisu

文香さんも……その、もらってくれますか。

Fumika

……。

Arisu

文香さん?

Fumika

……人は、驚き、嬉しいときに、言葉を失うものだと、知りました。
どんな言葉で伝えれば、届くか分かりませんが……嬉しいです。
ありがとう、ございます。ありすちゃん。

Arisu

……みなさんに喜んでもらえて、よかったです。
えへへ。

Minami

ふふふ。さぁ、それじゃ、打ち上げにしましょうか。
藍子ちゃん、お茶淹れてもらえるかな?

Aiko

はいっ。

Yumi

私、お料理持ってきたから、広げるね。

Fumika

では、手伝いましょう。人数分で、よいですね。

Arisu

あっ、苺のデザートも、ありますからね。えへへっ。

5人の和やかな打ち上げは日が暮れるまで続いた……