LIVE Groove Dance burst (October 2016)/Commus

From DereSute Wiki
Jump to: navigation, search

Opening[edit]

The Way I am.

洋館に集った紗枝、まゆ、かな子、奏、そしてゆかり。5人はPから、それぞれが役を務めるドラマのお仕事を知らされる。ドラマの主題歌は『あいくるしい』。自分と似た役にそれぞれの想いを抱えつつも、5人は助け合い、お仕事に臨むことを誓うのだった。

'

洋館

Mayu

今日はどうしてここへ呼ばれたんでしょう?
紗枝ちゃん、知ってますか?

Sae

いいえ~、うちもなぁんにも知りまへんえ。
現地集合、いう話しか聞いてまへん。
かな子はんは、知ってます~?

Kanako

私も知らないですね~。智絵里ちゃんと幸子ちゃんもいたら、
『パステルピンクな恋』のときと同じでしたけど、
今回はいないみたいですし……。

Mayu

じゃあ、プロデューサーさんが来るまで、真相は謎ですね……。

Kanako

あ……なら、それまでおやつでも食べて待ってようか♪

Sae

かな子はんは、ほんまにいっつも準備がええなぁ~。
ほな、まゆはんも、お茶にしまひょ~。

Mayu

はぁ~い♪

Kanade

あら、優雅なティータイム?
さすが、仲良し女の子達って感じね。

Mayu

あっ、奏さん。お疲れさまです。
それと……あら?

Yukari

みなさん、おはようございます。
今日は、よろしくお願いしますね。

Kanako

あ、ゆかりちゃんも一緒なんだ。
おはよう~。

P

おはよう。

Sae

あらあら~、プロデューサーはんもいてはったんどすか~。
はて、3人が同時に来たー、いうことは、つまり~?

Mayu

もしかして、この5人で……?

P

お仕事だよ。

Kanade

よろしくね、みんな。

Yukari

みなさんとご一緒するのは初めてですね。
お世話になります。

Kanako

そっか~、いっしょに頑張ろうねっ !

P

詳細はこの企画書を。

Sae

はいな~。
ほうほう……まゆはん、うちらの歌、『あいくるしい』が
使われるんやて~。

Mayu

へぇ……ドラマの主題歌なんですね。
まゆたちが、メインキャスト……うれしい……。

Kanako

今回のドラマは『愛』がテーマなんですね。
洋館の少女達のお話って書いてありますよ。
それをこのスタジオで撮影するんだ~。

Kanade

だからここ集合だったのね。それに、配役も面白いわ。
みんなの性格と似ているけど、少し違うキャラクター。
演じがいがありそう。

Yukari

……あの、私、こういうお芝居に挑戦させていただく経験は、
あまりなかったのですが、大丈夫でしょうか?

Sae

ゆかりはん、大丈夫どす。
うちらみぃんな、いっしょに気張りまひょ~。

Yukari

紗枝さん……はい…… !

Kanako

みんな、どんな役なんだろう~?
私の役は、えーと……愛に包まれている少女?
包まれてって……どういうことなのかな。まゆちゃんは?

Mayu

まゆの役は……えぇと……愛を信じている少女、ですか……。
愛を、信じている……ふぅん?
紗枝ちゃんは?

Sae

うちは、愛を伝える少女、やて。
はー、ようわかりまへんなぁ……。

Kanade

みんな、まだいいじゃない。
私なんて、愛を失った少女よ?
ま、脇役としてはそれくらいがちょうどいいけど。

Kanako

ふふふっ。奏さんだけ、なんだか、重たいですね。
じゃあ、ゆかりちゃんはどんな役?

Yukari

私は、愛を知らない少女、だそうです……。
あの、私の名前が一番初めに、書いてあるんですけど……?

Sae

あら~、ゆかりはん、これは人一倍、気張らなあきまへんな~。

Kanade

今回は私たち5人がメインのキャストだけど、
そのなかでもあなたが中心になるってことね。頑張って。

Yukari

そんな、私にはそんな大役……いいんでしょうか?
楽曲だって、まゆさんと紗枝さんの曲ですし……。

Sae

ええんちゃいます~?
まゆはんとうち、ふたりでうたった歌やけど、
ゆにっとそんぐ、いうわけでもあれへんし。

Mayu

そうですね。
まゆたち以外の人が歌うことで、
楽曲も、もっといろんな面が見られると思いますよ。

Kanako

そうだね。私も、歌うのが楽しみだよ~。

Yukari

そういうもの、なんでしょうか……。
でも、みなさんを差し置いて、主役級とは……。

Kanade

気にしないの。
全員主役なんて、そんなこと、映画でもめったにないんだから。
配役表があったら、絶対に順番はつくでしょ。

Yukari

……そういうものでしょうか?

Kanako

うんっ。
あとほら、まゆちゃんも紗枝ちゃんも、優しいから大丈夫だよ。

Mayu

えぇ。それに……まゆたちのプロデューサーさんが選んだんですよ。
きっと、できると思ってるから選んでくれたんでしょうし……。
選ばれたからには、自分の役をちゃんとやらなくちゃ。まゆ自身も。

Sae

あ~ら~、まゆはん、前に比べて、成長しましたなぁ~。

Mayu

そ、そういうことをプロデューサーさんの前で
言わないでくださいっ。

Kanade

ふっふふっ。

Mayu

ですから。ゆかりちゃん。
まゆたちも応援しますから、気にせず、いいものを作りましょう。

Sae

困ったことがあったら、なぁんでもうちらに相談してや~。

Yukari

……はいっ。ありがとうございますっ。

P

では、今日から頑張って。

Mayu
Sae
Yukari

はいっ !
はい~。
はいっ。

Kanade
Kanako

ええ。
はい !

Chapter 1[edit]

言葉にせずとも

今回、5人の中でも中心的な役を任されたゆかり。だが、ゆかり自身にはまだその実感がなかった。まゆと紗枝は、新たな仲間と仲良くできることを嬉しく思っていた。3人で話すうちに、ゆかりと紗枝に共通点も見つかり、一同は打ち解け合う。こうして、お仕事が新たな繋がりを生んでいくのだった。

'

中庭

Yukari

素敵なお庭……こんな場所もあるんですね……。
撮影はまだまだ先とのことですが、今から楽しみです。

Sae

せやなぁ~。
まゆはんがこないだ歌ってはった曲のいめーじにも近いどすな~。

Mayu

そうですね。
あのときも、愛がテーマでしたけど……。
今回はまた違った愛のお話になりそうです。

Sae

ほんまやなぁ。
せやけど、今回は前に前にやあれへんなぁ。

Yukari

……といいますと、どういうことなのでしょうか?

Mayu

プロデューサーさんが選んでくれたのは、うれしいことですけど、
まゆと紗枝ちゃんだけではなくて、ゆかりちゃんやかな子ちゃん、
奏さんも一緒でしょう?

Yukari

……そうですね。

Mayu

他の人を押しのけるより、やるべき事をしっかりやって
プロデューサーさんに認めてもらう方がいいんです。
いつも主役とは限りませんから。それと……。

Yukari

それと?

Mayu

お友だちが増えるのは、うれしいことですから。
今回みたいに、お仕事で一緒になるたびに、
いろんな人と仲良くなれたら、いいなぁって。

Sae

せやなぁ。うちも、同じ気持ちどす。ゆかりはん。
これから、仲良うしたってや~。

Yukari

まゆさん、紗枝さん……。こちらこそ、
ふつつか者ですが、仲良くしていただければ嬉しいです。
よろしくお願いします。

Mayu

こちらこそ。うふふ。

Sae

なんや、ゆかりはんが嫁入りしてきはるみたいやなぁ~。

Yukari

嫁入りだなんて、そんな……。

Mayu

でも、まゆ、思うんですけど……。

Sae

なんどすやろ~?

Mayu

紗枝ちゃんとゆかりちゃん、なんだか……。

Yukari

なんだか……?

Mayu

似てますね。
黒髪の雰囲気とか、落ち着き具合とか……。

Sae

ほんまどすか~。
ゆかりはんの方が身長はありますけど~。

Yukari

……そうですね。
あとは……私、A型の右利きですけど、紗枝さんは?

Sae

あら~、うち、AB型やなぁ~。
個性的、いうてよう言われるんどす~。

Mayu

お誕生日はいつです?

Sae
Yukari

10月18日どす~。
10月18日です。

Sae
Yukari

あら~?
あら……。

Sae

ふふっ。天秤座どすか?

Yukari

そうですね。ふふふっ。

Sae

なんや、とたんに親近感湧いてきましたわ~。
ゆかりはん、紗枝さんなんて言わんと、
紗枝ちゃん、て呼んでくれはってええんどすえ~♪

Yukari

ふふっ。ありがとうございます。
紗枝ちゃん、よろしくお願いしますね。

Mayu

ふふ。
こうして、新しい繋がりが広がっていくのって、いいですよね。

Sae

せやなぁ。

Mayu

これからのレッスンやお仕事本番も、楽しみですね♪

Yukari

はい♪

Chapter 2[edit]

優しさはいつもここに

演技のレッスンを終えた奏、まゆ、かな子。そこで、まゆは芝居が苦手だとこぼす。『自分らしくない自分』を見せなければならないことに抵抗を覚えていたのだ。それに対してかな子は、演技をおやつにたとえて、飽きがこなくていいと返す。説得力のあるその言葉と優しさで、一同は柔らかな空気に包まれるのだった。

'

レッスンスタジオ

Kanade

ふぅ……レッスン、お疲れさま。
演技のレッスンなんて、なんだか久しぶりに感じるわ。
歌や踊りばかりだったから。

Kanako

お疲れさまでした~。そうですね。
PVを撮るときとかは、ポーズをとったり表情を作ったりしますけど
お芝居となると、また別ですもんね。

Mayu

はぁ……。
まゆ、お芝居って苦手なんですよね……。

Kanade

あら、そうなの?

Kanako

全然そんな感じ、しなかったけど……。

Mayu

だって、自分らしくない自分をいっぱい見られちゃうから……。

Kanako

それは、どういう……?

Kanade

あぁ、そういうこと?

Kanako

わかるんですか、奏さん?

Kanade

えぇ……。まぁね。
お芝居は、怒った顔や泣き顔、
ときには変な顔もしなきゃいけないでしょう?

Kanako

そうですね。

Kanade

それを、見られるのが嫌なのよ。ね。

Mayu

そうですね……。

Kanade

でも、そればっかりはあきらめるしかないわね。
アイドルなんだもの。自分で仕事も役柄も選べない。

Mayu

今回は演じるお仕事で、役柄も可愛らしい女の子だったから
よかったですけど、怖い役とか、嫌われ者の役が来たら……。
……ちょっと考えちゃいますね。

Kanako

確かにそういうのばっかりだったら困っちゃうけど……。
たまには、そういうのもいいんじゃないかなぁ?

Mayu

……どうして?

Kanako

ほら、たとえばなんだけど。
おやつを食べるときに、チョコレートばっかりずっと食べてると、
飽きちゃうじゃない?

Kanade

たとえば……ね。

Kanako

でも、チョコレートとポテトチップスがあったら、
交互に食べると味が変わって……。
飽きないじゃない?

Mayu

は、はぁ。

Kanako

プロデューサーさんも、きっとそうだと思うから♪

Mayu

はぁ……。そう、なの、かしら……?

Kanade

……謎の説得力があるわね。

Kanako

そんな感じで、いろんな味を出せるように、
明日からも頑張りましょう~♪

Mayu

はぁい。

Kanade

あぁ、ちなみに明日からは社内のスタジオじゃなくて、
外部スタジオでレッスンですって。
演出家さんとかと稽古するから、かしら。

Kanako

そうなんだ !

Mayu

へぇ……まゆ、新しいスタジオへ行くときって、
いっつも迷っちゃうんですよね。
無事行けるかしら……。

Kanako

わかる~。

Kanade

なら、明日は集合して行きましょうか。
時間と場所、あとで連絡するわね。

Kanako

……ありがとう~ !

翌日……

Kanade

よくよく考えたら、まゆの制服って見たことなかったわね。

Mayu

そうですねぇ……。
今日は学校からそのまま来ちゃいましたから。
普段はなるべく着替えるようにしてるんです。

Kanade

かわいい服装でいたいから?
フフッ、健気ねぇ……。

Mayu

うふふ。
あ、かな子ちゃんも来ましたね。かな子ちゃーん♪

Kanako

お待たせ~。
ふたりとも、けっこう待った~?

Mayu

ううん、そんなことないですよ。

Kanade

じゃあ、行きましょうか。

Kanako

今日もよろしくね、まゆちゃん、奏さん !

Mayu

はぁい♪

Kanade

えぇ。

Chapter 3[edit]

触れられそうな距離だから

レッスン後。帰り道を歩きながら、紗枝、ゆかり、かな子の3人は、今回の役について話していた。役を掴もうとしている紗枝とかな子に対し、ゆかりは役に必要な『愛』を知らないとこぼす。かな子と別れ、寮に着いてからも、紗枝とゆかりの話は続く。寮の風呂へ入り、昔話に花を咲かせるのだった。

'

レッスン後

Kanako

ゆかりちゃん、今日のレッスンどうだった?

Yukari

今日も、なかなか難しかったです。
少女を演じるというのは、
自分が少女のままではできないというか……。

Sae

せやなぁ。うちも、今回のお芝居は京言葉を使われへんし、
なかなか苦労してるわぁ。

Kanako

そうだよねぇ。
愛についてのお話っていうのも余計難しいところだし……。

Yukari

愛……ですか。
愛って、いったい何なのでしょうね。

Sae

んー。なんやろなぁ。
うちは愛を伝える役目らしいけど、これってのは言われへんしなぁ。

Kanako

奏さんかまゆちゃんだったら、なにかわかるのかなぁ。
私も、愛に包まれてる役目らしいけど……わからないもん。

Yukari

……それでいうと、私は幸せなのかもしれませんね。

Kanako

どうしてー? 

Yukari

私は、自分自身も、役柄も、愛というものを理解していませんから。
等身大の自分であたれば、いいのかなって。

Sae

あぁ~、そらそうやなぁ。
でも、そないな自分を幸せって思えるなんて、
ゆかりはんは優しい子やな。

Yukari

そうなのでしょうか……?

Sae

知らへんことがあっても、それを認めて、前向きになってはりますやろ?
物事を真っ直ぐ見てるからこそ言える言葉やと、うちは思うなぁ。

Yukari

はぁ……そういわれると、そう、なんでしょうか?

Kanako

ふふっ。ゆかりちゃん、ちょっと天然っぽいところあるもんね。

Yukari

え、私、天然ではありませんよ……?

Sae

ふふ。それ、天然の子がよく言わはるやつやなぁ~。

Yukari

そうなのですか……?

街中

Kanako

あ、それじゃあ、私こっちだから。
ふたりは寮だよね。

Yukari

今日もお疲れさまでした、かな子さん。
また明日も、よろしくお願いします。

Kanako

うん、気をつけて帰ってね !

Sae

それはかな子はんの方やわぁ~。

Kanako

ふふっ ! じゃあ、また明日~。

女子寮付近

Yukari

かな子さんは、愛に包まれているというのがぴったりですね。

Sae

……せやなぁ。
誰にでも話しかけて、お菓子もくれはるから、
餌付けまでされてもうて……。やさしさの塊やわぁ。

Yukari

そう思うと、今回の配役は、私たちの個性を思って
適役を当ててくださったのですね。

Sae

ほんまやなぁ。
せやけど、それでいうたらうちは愛を伝える役目らしいけど……。
どないな役目なんやろ……。

Yukari

誰かにもらった愛を、また誰かに伝える役目じゃないでしょうか。
詳しくは……私もわからないのですけれど。

Sae

うーん、誰かにもらった愛なぁ……。
お父はん、お母はん、京のひとら、あいどるの仲間……。
プロデューサーはん……それと、ふぁんのみんなからもろたかなぁ?

Yukari

たくさんもらってきているのですね。
たとえば、どんな愛がありました?

Sae

そら、話してたらえらい長なってまうわ~。
一晩中でも話せるくらい、おもろいえぴそーどがいっぱいどすえ。

Yukari

なら、今日はとことんお付き合いしますから……。
いろいろと、聞かせてください。

Sae

ええけど、うちにもゆかりはんのお話、聞かせてや~。

Yukari

えぇ。もちろんです。

Sae

ほんなら、まずはれっすんの汗を流すとしまひょか~。

Yukari

……へ? 汗を?

Sae

まずは裸のつきあい、言いますやろ?
ゆっくり心を和らげて、昔話でもしまひょ~。

Chapter 4[edit]

私を溢れさせるあなた

撮影中、迫真の演技を見せた奏とかな子。その様子を見ていた紗枝はふたりを褒める。奏は役に感情移入し、いつもより熱が入ったという。そんな奏につられて、かな子も特訓の成果を出すことができていた。紗枝もまた、同じようにお仕事に挑んでいく。メンバーの新たな一面がお仕事の現場で花開いていた。

'

洋館

Kanade

……愛なんて、信じても苦しいだけのものよ。
永遠の愛なんてないし、裏切られるのも愛ゆえ。
失ってしまった方が、楽になれる。

Kanako

そんなことないわ。奏さん。
私たち、まだ子どもだけど……
いつか大人になって、自分だけの愛を掴むことができるはず。

Kanade

愛に包まれているあなたなら、そうすればいいわ……。

Kanako

奏さん、どうしてそんな風になってしまったの?
いつ、どうして失ったの……?

Kanade

……私の願いなんて、単純なものだったのにね。

Kanako

……奏さん。

演出家

はい、カーット !
いったん止めまーす。スタッフ集合~。
このシーンは、こっちの角度から押さえてるから……。

Kanade

ふぅ……。

Sae

ふたりとも、迫真の演技やったなぁ~。
うち、ほれぼれしながら見てたわぁ。

Kanako

そうでしたか?
私はセリフを追うのでいっぱいいっぱいでした~。

Kanade

私、かな子に問い詰められてるみたいでドキドキしたわよ。

演出家

今のシーンなのだけど……あ、奏さん、ちょっといい~?

Kanade

はい。
……じゃあ、あとでね。

Kanako

あ、私はいいのかな……?

Kanade

まずは私から、みたいね。じゃあ。

Sae

いってらっしゃい~。

Kanako

紗枝ちゃん、私の演技、どうでしたか?
少しでも気付いたことがあったら、教えてほしいんですけど……。

Sae

せやなぁ……奏はんに引っ張られてたように感じましたわぁ。
まるで別人みたいで……大人っぽかったしなぁ。

Kanako

なるほど……参考になります。
はぁ~。どうしても奏さんを前にすると、
大人っぽさに引っ張られちゃって。

Sae

かな子はんがぺーす崩されるなんて、珍しいわぁ。
なんやおもろいなぁ。ふふ。

Kanako

もう、こっちは真剣なんですよっ。

Sae

はいはい、怒った顔もかわいいどすえ~。

Kanako

もー……。

Kanade

かな子、演出家さんが呼んでるわ。

Kanako

ふぇ?
あ、はい。おほん。いってきますね。

Sae

いってらっしゃい~。

Kanade

紗枝、かな子をいじって遊んでたの?

Sae

そないなことあらしまへんよ~。
愛を伝える人らしく、愛を伝えとったんどす。
それより奏はん、あいかわらず演技がお上手やねえ。

Kanade

京都人にほめられると、あとが怖いって周子から学んだわよ。

Sae

あらっ、そないなこと……。
さすがお狐こんこんしゅーこはん、油断ならんなぁ……。

Kanade

それはこっちのセリフ。
で、実際どうだった? 私の演技。

Sae

かな子はんと話してたんどす。お上手やねーって。

Kanade

そう?
まぁ、歌も踊りもできるけど、演技も同じくらい
ってのが売りだから、多少はね。

Sae

かな子はんがぺーす崩されて、引っ張られてはったくらいどす~。

Kanade

あら、それは逆よ。私のペースがおかしかったんだと思うわ。
プレッシャーに負けないように強くでちゃったから。
少女っていうより、むしろ地がでちゃったくらい。

Sae

ほー?
そないなしーん、あったかなぁ~?

Kanade

思い起こさなくていいって。もっと素直に演技しなくちゃね。
場の空気に引っ張られるなんて、まだまだの証拠。

Sae

ふふ。かな子はんも奏はんも、
お稽古とは思えへんくらい本気で、素敵やなぁ。
うちも、出番が来たら気張らんと~。

Kanako

紗枝ちゃん。
演出家さんが、次のカットに入る前に話したいって~。

Sae

あらあらあら、ほな行ってきます~。
ふたりとも、うちの居らんとこで噂話は、いけまへんよ~。
演技中、くしゃみが出てまうから~。

Kanade

いいから行ってらっしゃい。

Sae

は~い。

Kanako

なんだか、お芝居って楽しいですね。
演出家さんにはいっぱいだめ出しされちゃいますけど、
普段の自分とは違う面が出せて。

Kanade

……そうね。
でも私、かな子がそんなに演技派だなんて思わなかったわ。
相当特訓したんじゃない?

Kanako

えへへ~。ちょっとだけ~。

Kanade

これだから、みんなと一緒のお仕事って気が抜けないのよね。
意外な人が、意外な働きを見せたりして。
……さて、紗枝の演技はどうかしら?

Kanako

楽しみですね~。
きっと、素敵な演技を見せてくれるはず !

Kanade

じゃあ、見せてもらいましょうか。
京娘の底力を……ね。

Chapter 5[edit]

心震える想いで

撮影も遂にラストカット。ゆかりとまゆが台詞を言い終えると、オールアップの声が響いた。立派に演じ切ったゆかりを、まゆと奏は労う。ゆかりは仲間やスタッフ、Pとの関わりの中で成長できたと、感謝を伝えた。ゆかりにとっては、今回のお仕事の全てがとても愛しい思い出となったのだった。

'

ドラマ撮影中

演出家

それじゃ次、ラストカット !

Yukari

だから……私は、愛を探し続けようと思います。

Mayu

私も、信じ続けます。愛を。

Yukari

いつか、私たちが少女じゃなくなるときが来ても……。

Mayu

少女だったころの気持ちを忘れないために……。

Yukari

ふふっ。

Mayu

……。

演出家

はーい、オッケー !

スタッフA

お疲れ様でした !

スタッフB

オールアップでーす !

(Select an option)

お疲れさま

Yukari
Mayu

ありがとうございます。
ありがとうございます。

Yukari

……ふう。
やはり、緊張しました……。どれだけのシーンを重ねても、
息が止まってしまうような緊張感は、なくなりませんね。

Mayu

え……緊張してたんですか?

Kanade

見ていたけど、緊張なんて全然伝わってこなかったわよ。

Yukari

あら、奏さん……そうでしたか?
けっこう、震えていたと思ったんですけど……。

Kanade

全然だったよ。
きっと、お芝居に熱中して忘れられたんじゃないかしら?

Yukari

そうでしたら、嬉しいです。
私は、みなさんほど
場に慣れているわけじゃありませんでしたから……。

Mayu

今回、立派に主役を務めて、自信がついたんじゃないですか?

Yukari

そんな、まだまだです……。
撮影は終わったとは言え、お仕事が終わったわけじゃありませんし。

Kanade

そうね。このあとスタッフさん達が編集して、
美しく仕上げてくれるでしょう。
撮り直しがないといいわね。

Mayu

素敵に仕上げていただけますよ。きっと。

Yukari

いまはまだ夢の中にいるみたいです。
始まったのもいつの間にかなら、終わるのもいつの間にかですね。
こういうものは……。

Kanade

目覚めたら、全ては夢の中の出来事だったりして?

Mayu

それは困りますね。
せっかくみなさんと素敵な思い出がつくれたのに……。

Yukari

……そうですね。
役の上では愛を知らない少女でしたけど、
実際の私もそうだったように思います。

Yukari

まゆさんや奏さんからは、自分に自信を持って、
信じるものへ進む力をもらいました。

Kanade

……そんなたいしたこと、したかしら?

Mayu

ゆかりさんがそう受け取ったってことですから、
そうなんじゃないですか? ふふっ。

Yukari

かな子さんはまさに包み込むような優しさでしたし、
紗枝ちゃんとはこの期間中とても仲良くしていただきました。

Yukari

すべて、作品と同じくらい愛しい思い出です。

Kanade

……ふふ。よかったわ。
終わりよければ全てよし、というものかしら。

Mayu

でも、まだ終わりませんよ。
みんなで完成品を見るまではね。

Yukari

そうですね。
それでも、言わせてください。ありがとうございました。
スタッフの皆さんも、共演者の皆さんも、プロデューサーさんも。

(Select an option)

お疲れさまでした

Yukari

……はいっ。

Ending[edit]

My Heart Choose This Way.

事務所でPを待つ5人。撮影したドラマの完成品を、Pが持ってくる予定になっていた。しかし、時間がたつにつれ、何かと理由をつけて、席を立っていくメンバーたち。気づけば、ゆかりと紗枝だけになっていた。それには、ある理由があって……。

'

事務所

Sae

いやぁ、ようやっと完成したんやて?
楽しみやなぁ……。

Mayu

プロデューサーさん、まだかしら……。
プロデューサーさんが完パケを持ってきてくれるんですよね?

Kanade

そうらしいわね。
……だけど、よりによってみんなで観なくてもいいんじゃない?

Kanako

たしかにそうですね。
なんだかちょっと、照れちゃいます……。

Mayu

……そっか。演じてる自分を観ることになるんですよね。
ちょっと、ドキドキ……。

Sae

せやなぁ……。言われてみたら、そうなりますなぁ……。

Yukari

あら? みなさん、楽しみだったのでは……?

Kanade

完成は楽しみだけど……そうね、例えるなら、
映画は独りで観たい、みたいなものかしら?

Yukari

私、お友だちと観ますけれど……?

Kanade

あぁ……そういう人も、いるわね。

Kanako

ほら、恥ずかしいセリフが多かったじゃないですか、今回。
愛についてのお話でしたし……。

Sae

『あいくるしい』をれこーでぃんぐしたとき、
同し気持ちになりまへんでした?

Yukari

へ?

Mayu

恋や愛の歌を歌っているときは気にしなくても、
いざ冷静に歌詞を読んだら恥ずかしくなっちゃう、みたいな……。

Kanade

……みんなの前では観たり聞いたりしていられないわよね。
そういうの。

Yukari

いいじゃないですか、みんなで楽しく完成品を観ましょう。
あ、ポップコーンにコーラがあったらもっと楽しいでしょうか……?

Kanade

……そ、そうね。
私は上映中にはモノを食べない主義だけど……。

Yukari

あら、じゃあお飲み物だけで……。
ほかの皆さんは?

Kanako

あ、私キャラメルポップコーンがいいです~♪

Mayu

かな子ちゃん、撮影中はけっこう食事に気を遣ってましたもんね。

Kanako

そうなの~。
でも、もう完成したし、みんなとの打ち上げだったら良いかなって♪

Yukari

いいに決まってますよ♪
だってほら、お祝いなんですから。
みんなで完成を喜び合う会ってことで、ね。

Sae

ゆかりはん、なんやだいぶきゃらが明るくなりはったなぁ~。

Yukari

そうでしょうか……?

Kanade

うん。
……わかったわ。ちょっと買い出しにでも行ってくる。

Kanako

いいですね ! 私も一緒に行きますよ~ !

Kanade

……っ。

Sae

あら……。

Kanako

……?

Kanade

だ、大丈夫よ。ひとりで行けるから。
ありがとう。大丈夫。ほんとよ。

Kanako

……そうですか~?
じゃあ、お願いしますねっ。ありがとうございます♪

Kanade

……じゃあ、みんな、そういうことで。あとよろしくね。

Yukari

どういうことですか……?

数十分後

Mayu

プロデューサーさん、まだかしら……。

Kanako

遅いですねぇ……。そういえば、奏さんも遅くないですか?

Sae

あ……奏はんなら、ちょーっと遠くのお店にいったんと違いますやろか?

Yukari

会社の近くにも、お店はたくさんありますけど……。

Sae

お散歩したい気分になったんと、違うかなぁ……?

Mayu

まぁ、そういうときもありますよね。

Yukari

早く戻って来ないと、プロデューサーさん来ちゃいますよね。
せっかくみんなで観られる機会なのに……。

Mayu

……プロデューサーさんも、演じてるまゆたちを
観ることになるんですよね。
それを、まゆたちも見ることになりますよね……?

Yukari

そういうことになりますね。
それが、なにか……?

Mayu

あっ、いいえ。全然、なにも問題なんて。
……でも、プロデューサーさんが遅いのも気になるし、
まゆ、探しに行ってきますね。

Kanako

いいですね ! 私も一緒に行きますよ~ !

Sae

……。

Mayu

あ、ありがとう。でも大丈夫ですよ。
まゆ、ひとりで行ってきますから。ね。

Kanako

そうですか~。じゃあ、待ってますね ! みんなで !

Mayu

はい~。じゃあみなさん、そういうことで……。

数十分後

Kanako

奏さんもまゆちゃんも遅いですね~。
プロデューサーさんも遅いですけど……。

Sae

ほんまやなぁ。ほら、渋滞にでも捕まってるんと違うかなぁ?
うちも様子見てこよかなぁ?

Yukari

あら、紗枝ちゃんも……?
そんな、だんだんみんな居なくなっちゃうみたいで寂しいですね。

Sae

……い、いやぁ、そんなことあらしまへんよ。
うちはいつでもゆかりはんの隣ですやろ?
ほら、今も。

Yukari

そうですよね。ならよかったです……。

Kanako

あっ、じゃあ、私がプロデューサーさんを迎えに行ってきますね !
出て行ったふたりにも連絡してみます !

Sae

あっ……そ、そうどすか?
そうやね……それも、まぁ、一つの方法としては、ありやね……。

Kanako

じゃあ、行ってきま~す !

数十分後

(Select an option)

お待たせ

Sae

あら、プロデューサーはん。
あ、案外早かったどすな~。

Yukari

案外、遅かったの間違いでは……?

(Select an option)

ふたりだけ?

Yukari

そうなんです。
それで……その手にお持ちなのが、完パケ、ですか?

(Select an option)

観ようか

Yukari

はい !

Sae

あぁ、ゆかりはん、みんなを待った方が~。

Yukari

紗枝ちゃん、みんなが来たらもう一回観ましょう !
プロデューサーさん、お願いします !

(Select an option)

OK

アイドル達が、演技している……

(Select an option)

かわいい

アイドル達が、演技している……

(Select an option)

かわいい

アイドル達が、演技している……

(Select an option)

かわいい

Sae

……。

Yukari

……。

(Select an option)

どうした?

Yukari

観ている間、プロデューサーさんが、
あまりにかわいいとおっしゃるので、その……。
恥ずかしく、なってしまいました……。

(Select an option)

かわいかったよ

Yukari

……ありがとう、ございます。

Sae

……こうなるう思て、みんな逃げはったんやて~。
はぁ~。あー、恥ずかし……。

Yukari

そうだったんですか……。
でも、とても良い経験をさせていただいたと思います。
とても、とても……恥ずかしかったですけど……。