Tsubomi (event)/Commus

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Preview 1

つぼみ

Shiki

咲く前の花は、つぼみっていうんだ。
それは、まだどんな花になるか分からない、
希望の象徴。

Shiki

あたし、一ノ瀬志希と4人の女の子が歌うよ。

Shiki

そう、みんなにお知らせね。
イベント「つぼみ」は近日開催だよ。
『この場所から 君へとうたうよ』

Preview 2

つぼみ

Yumi

誰でも、心の中に一つの種を持ってるんだ。
それは、様々な色や形をしていて、
花になる日を待ってるの。

Yumi

私、相葉夕美が、
仲間のみんなといっしょに伝えるね。

Yumi

ファンのみなさんにお知らせです。
イベント「つぼみ」、近日開催だよ。
『歩んできた時《みち》 忘れないように』

Opening

色とりどりの花

事務所に集まった周子、みく、楓、夕美、志希。一同はプロダクションの代表として、フェスに出場し、「つぼみ」を歌うことになった。ステージで花開くまでは、まだつぼみの5人だが、本番では色とりどりの花を咲かせることを誓うのだった。

'

事務所

Syuko

おはよー。どーもー、おひさー。

Miku

おはよう ! 周子チャン !
楓さんも夕美チャンも、Pチャンも待ってたよ !

Kaede

おはようございます。
これで、みんな揃いましたね。
打ち合わせを始めましょうか。

Yumi

ほら、志希ちゃん。起きてっ。
打ち合わせが始まるよっ !

Shiki

むにゃー……ふわぁーーーーーあ。
んー、起きた ! おはよー !

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おはよう

Syuko

で、今日はなんの打ち合わせで集合だっけ?
ていうか、このメンツ、見覚えある気がする。

Yumi

みんなでレコーディングと打ち上げしたよねっ。
みくちゃんからもらったネコミミ、大切にとってあるよ !

Miku

ほんと?
みくも夕美チャンからもらったお花、飾ってあるよ !

Kaede

なつかしいわ……レコーディング、楽しかったですね。
なぜか、打ち上げの記憶は曖昧ですけど……。

Shiki

あたしもなんか気持ちよかったことしか覚えてないにゃー。

Miku

志希チャンも楓さんも !
もー、あのときは大変だったんだから !
あんな危ない打ち上げなんてもうナシだからね !

Yumi

それで、そのメンバーで集合ということは、つまり……?

(Select an option)

5人で歌ってもらう

Syuko

へー。あたしら5人でかぁ。いいじゃん。
でも、もうちょっと教えてよ。

詳細を説明した……

Miku

へー、5人でフェスに出るんだ !
プロダクション代表としての選出なら、頑張るしかないにゃあ~ !

Kaede

代表なんて、なんだか気が引き締まりますね。
過大評価にも思えますけど……
選ばれたからには、ベストを尽くしましょう。

Yumi

そっか、ユニット制じゃないからリーダーもなしなんですね。
個人個人、頑張らなくちゃ !

Shiki

そーお?
あたしは気楽でいいと思うなー。
LIVEをエンジョイしてさー……。

Miku

志希チャン !
今回はちゃんとやらなきゃダメなのにゃあ !

Shiki

ふぁーい。

Yumi

でも、嬉しいなぁ……。

Kaede

夕美ちゃん、いいことでもあった?
すごく幸せそうな顔をしているようだけど。

Yumi

えぇ。『つぼみ』っていうすてきな歌をうたう機会をもらえて、
こうしてステージで披露する機会がもらえて、
ファンのみんなにも聞いてもらえると思ったら……嬉しくって。

Syuko

ふーん、夕美ちゃんはマジメだねー。
でも、この歌でイベントに出られるなんて思ってなかったから、
あたしもちゃんとしなきゃかなー。代表らしいし。

Shiki

ん~……つぼみかぁ……あー、いい歌だよね。
詩にもメロディにも、自然と気持ちが入るっていうか。
不思議なんだけど……ヤな感じじゃなーい。

Miku

うんうん !
それに、花咲くいまの季節にぴったりな歌だし !

Kaede

花は、つぼみからひらく瞬間が最も美しいそうです。
私たちも同じように、美しく咲きたいですね。

Yumi

つまり……私たちはみんなまだ、つぼみなのかな?

Miku

……かもしれないにゃ。

Syuko

だとしたらさ。まだつぼみのあたしたちだけど、
いっちょこのステージで大輪の花、咲かせちゃおうよ !
ねっ !

Shiki
Kaede

おー !
えぇ。

Yumi
Miku

はいっ !
にゃー !

Chapter 1

向日葵色の親愛

レッスン場を手配したり、アロマを準備する夕美。周子と志希は、夕美に気配りをする理由を問いかけた。すると夕美は、5人揃って花を咲かせたいから、と微笑む。夕美の気配りは親愛なるメンバーへの優しさだった。

'

事務所

Shiki

ぐでーん。
ふにゃふにゃふにゃー。

Syuko

いやいや志希ちゃん、やる気失いすぎでしょ。
『おー ! 』とか、さっき元気よく言ってたじゃん。
プロデューサーいなくなったとたんにそれ?

Shiki

だってわかんないんだもん。何をどうするの?
定量化も数値化もできない、定義できないスローガンを掲げるのは
日本人の悪い癖だよー。

Syuko

よし、こういうときは常識人の夕美ちゃんに聞いてみよう !

Shiki

あ、かわした !

Syuko

まーまー !
……というわけで夕美ちゃん、どう思う?
つぼみから花咲こうって、具体的にどうすんのかなー。

Yumi

えっ、えぇっ? 私に聞かれても? !

Shiki

夕美ちゃんが答えらんなかったら、終わりだよー。

Yumi

うーん……。そうだなぁ……これは私の考えだけど、いいかな?

Syuko

どーぞどーぞ。なんかあるなら言ってみてー。

Yumi

花を咲かせるっていうのは、たとえ話でしょう?
私たちで考えたら、いつもよりもっとステージを楽しむとか、
いきいきした姿を見てもらうとか、そういうことじゃないかなぁ。

Shiki

ふむふむ。ふむ?

Yumi

でもそのためには、しなきゃいけないことがあると私は思ってて。

Syuko

しなきゃいけないこと?

Yumi

それは、なにかにチャレンジするとか、
興味がなかった部分に興味を持ってみるとか、
できないことをできるようになったりとか……。

Yumi

そういうことが大事なのかなって思うんだ。
……あっ、その、なんか偉そうにごめんねっ。
そんなことを、ただぼんやり考えてたってだけでっ !

Syuko

へー。いやー、さすが常識人だわ。
ちゃんと真面目にどうするか考えてたんだ。

Shiki

ふむふむ、ふむふむ……。
んー……Challenge, Interest, and Do it !

Syuko

あいかわらずなに言ってんのかたまにわかんないけど、
分かったならよかったわ。
じゃ、それを目指して……まずはレッスンでもやりますかねー。

Syuko

って、そもそもレッスン場を押さえてなかったか。
やるなら明日からかなー。

Yumi

あっ、レッスン場なら、もう準備してあるよ。
行こっか !

レッスンルーム

Shiki

ふんふん……くんかくんか……
なんかこの部屋、ぴしっとする !
刺激的~ !

Yumi

あっ、気づいた?
志希ちゃんやみんなが集中してレッスンできるように、
ペパーミントのアロマを用意しておいたの。

Syuko

へー。レッスン場の手配といい、アロマの用意といい、
ほんとに夕美ちゃんは出来た子だよねー。
なんでそんなに優しくしてくれるの?

Yumi

特別優しくしているつもりはなかったんだけど……
そうだなぁ、野に咲く一輪の花はすてきだけど、
五輪揃って咲いてたら、もっとすてきだと思うんだ。

Yumi

私はステージでそういう景色が見たいの。
そのためには、自分だけがきれいにできても、ダメだから。
みんなで頑張りたいじゃない?

Syuko

なるほどね。いやー、心がキレイすぎる。
それにちゃんと考えてるなー。

Yumi

……っていう理由は、いま考えたんだけどね。
レッスンルームの手配とか、アロマの準備とかは、ただそうしたくて
なんとなくやってただけなんだ。

Syuko

あ、そうなん? やっぱりそうだよね。
頭より体が先に動くタイプだもんね?
……ま、それが夕美ちゃんらしさってことなんだろうけど !

Yumi

えへへ……さて、そんなわけだから、
みんなといっしょにレッスンも頑張りたいなっ。
ねぇ、志希ちゃん……志希ちゃん?

Shiki

つーん。

Syuko

なにやってんの?

Shiki

しき、ミントかいだ。つーんとした。つーん。

Yumi

だ、大丈夫 ! ?

Shiki

大丈夫、大丈夫ー。
ちょっと脳がすっきりしすぎてるだけだからー !

Yumi

ふふっ。志希ちゃんも考えるより先に動くタイプなのかな?
じゃあ、似たもの同士、レッスンも頑張ろうねっ !

Shiki

おっけー !

Yumi

周子ちゃんも !

Syuko

はいよー。

Chapter 2

水縹色の自由

レッスンをする周子、みく、夕美。今回のLIVEの目標は、それぞれのつぼみを咲かせること。普段は積極的に他人と関わろうとしない自由気ままな周子だが、今回は違った。周子なりの方法で、仲間を気遣ったのだった。

'

レッスンルーム

Miku

……ワン、ツー、スリー、フォー
あ、あれ、次ってどっちだったっけ。えっと……。

Yumi

右から左だよっ。
もう一回やる?

Miku

……じゃあ、今のところもう一回お願いにゃ !
……ううん、今のところじゃなくてやっぱり最初っから !

Yumi

最初っからね。でも……大丈夫?
みくちゃんさっきからずっと踊りっぱなしだよ?

Syuko

ちょっとは休憩したらー?

Miku

うーん、だって振り付けが覚えられてないの、
この中だとみくだけだし……。

Syuko

そりゃこの中ではの話じゃん?
楓さんと志希ちゃんは?

Yumi

楓さんは別件のお仕事があるから、
みんなで合わせるのは前日までできないみたい。
志希ちゃんはもうフリ覚えたからって、そこでお昼寝してるよ。

Syuko

楓さんはともかく、志希ちゃんは猫っぽいっていうか天才肌だなー。
空気読まない辺りもあの子らしいね。

Miku

みくは……負けてられない !
もう一回、最初から !

Syuko

べつに、そこで張り合わなくったって。
志希ちゃんの猫っぽいところもあれはあれでかわいいもんよ?

Miku

そ、そういうことじゃないし !
アイドルのお仕事で手を抜くなんてやなの !

Syuko

んー、手を抜けって言ってるわけじゃなくって、
休憩したらーって言ってるだけなんだけど……。

Miku

だって、やっとできそうになってきたのに、
ここで休んだら抜けちゃうかもしれないもん……。

Syuko

ま、あたしには関係ないからいいけどねー。

Yumi

周子ちゃん。周子ちゃんのつぼみは、そこにあるのかも。

Syuko

え……?

Miku

みく……間違ったこと言ってないもん。
頑張らなきゃって思ってるだけだもん。

Yumi

……つぼみ、ね?

Syuko

あぁ……こないだの話?
『興味がなかった部分に興味を持ってみるとか』
……かぁ。まぁ、そうかな。

Syuko

みくちゃん。
あたし、自分でいうのもなんだけど、超マイペースだからさ。
どんなときも自分のペースでいたいんだよね。

Syuko

レッスンだって、こうして合同でやってるけど、
個人個人で向き不向きがあるし、
だからこそ、無理に合わせる必要もないと思ってる。

Syuko

でも、それってレッスンを頑張りたいみくちゃんを
否定したいわけじゃなくってさ。
あたしなら、休憩挟みつつやるよーっていうだけなんだよ。

Miku

……うん。

Syuko

ま、そこはそこであたしも直さなきゃいけないところなんだけど……
でも、つらい思いをしてまではやりたくないしさ。
仲間がつらそうにしてるのを見るのも、まぁ、いいもんじゃないし。

Miku

……そうだね。

Syuko

ぶっ続けで練習してたら効率だって悪くなるじゃん。
ほら、記録用のムービー見て、どこが悪かったか確認したら?
身体休めながら覚えたら、休憩も無駄にならないよ。

Miku

それは、そうかも。

Yumi

ねっ。ほら、みくちゃん、このタオル使って !
ドリンクもあるから !

Miku

夕美チャン……ありがとにゃ。
周子チャンも……ね。

Syuko

よしよし。
それじゃ、みくちゃんが休んでるあいだに、
ちょっくらシューコちゃんが踊ってみますかー。

Yumi

おっ、周子ちゃんの本領、発揮かな?

Syuko

よっ、とっ、そらっ !

Miku

ぜ、ぜんぜん踊れてないにゃあ~ ! !

Syuko

ま、案外そんなもんだよね。あっはっは !
だから、焦らずやってこうよ。ね !

Miku

まーったく、仕方ないにゃあ !

Yumi

ふふっ。休憩したら、またみんなでがんばろうねっ。

Chapter 3

臙脂色の歌声

ネコミミをつけず、レッスンを終えたみく。だが、志希は、ネコミミのないみくは『みくにゃん』ではなく、『みく』だとからかう。困惑するみくだが、たしかに自分らしさに悩んでいたと打ち明ける。志希と楓から助言をもらったみくは、ステージの上で、ファンに答えを見つけてもらうことにするのだった。

'

収録スタジオ

Miku

ふぅ……おわったにゃ~。

Kaede

みくちゃん、お疲れさま。
今日は午前中から『つぼみ』のヴィジュアル撮影に
ヴォーカルレッスンと、大変でしたね。

Shiki

ハードなスケジュールだよねー。
でも、忙しくなってくると、LIVEステージが
近づいてきたって気がする !

Miku

ふふっ、そうかも !
だんだん、ドキドキそわそわしてくるのにゃ !

Shiki

って言うけど、今日のみくちゃんネコミミついてなかったよね?
そのせいじゃないの?

Kaede

そういえば、グラビア撮影のときも、ついてませんでしたね。
いまは……ヘッドホンの邪魔になるから、取ったのかしら?

Miku

わぁぁ ! そ、そうだけど !
ねこみみがないみくに何か問題でも ! ?

Shiki

ん~……
みみなしじゃ、みくにゃんじゃなくなっちゃうんじゃない?

Miku

えぇ~じゃあ、何になるって言うのにゃ ! ?

Shiki

みく。

Miku

みくはみくだよ ! ?

Shiki

違うよ ! みくにゃんはみくじゃないよ ! みくだよ ! !

Miku

え、えぇ~……。

Kaede

ふふっ。まるで謎かけみたいですね。

Shiki

あ、もしかして、しっぽはついてる? ! ちょっと見せてみ……。

Miku

キャー ! スカートめくるのやめるにゃあ ! !

Miku

はぁ……みく、なんか疲れた。

Kaede

ふふっ。みくちゃんと志希ちゃん、仲良くていいですね。

Shiki

にゃは~。

Miku

まぁ……はい……。どうも……。

Kaede

でも、さっき志希ちゃんが言っていたこと、
意外と的を得ていますよね。

Miku

さっき志希チャンが言ってたことって……
ねこみみをつけてないみくはみくかってこと?

Kaede

えぇ。そんなこと、考えたことありませんか?

Shiki

考えたことあるに決まってるよ ! だってみくちゃんマジメだもん !

Miku

うっ……。たしかに、今回のステージ、みくはずっと悩んでたの。
イベントのグラビアは耳もしっぽもナシ、歌はみくらしさとは
全然違う、きれいな歌……。

Miku

ソロで、自分の曲をもらうときはみくらしさを出せるけど、
みんなと歌うときはどうしたらいいか……
それこそ、どんな顔して歌ったらいいのかなって。

Kaede

どんなとき、どんな歌であっても、
自分らしさを表現したいですよね。

Shiki

そんなの、デフォルトにしてればいいんだよー。

Miku

そんなのって言われてもわかんないから !

Shiki

んもー。

Miku

みくは、ねこみみもねこしっぽも無しで、自分らしくいるのって、
どうしたらいいかわかんない。もし、それを見つけられたら、
つぼみが花になったって言えると思うんだ。

Kaede

そうね……正解は分からないけど、みんなと同じ歌をうたって、
それでも出てくるところがみくちゃんらしさじゃないかしら。

Miku

5人で歌って、出てくるところ……。

Shiki

でもそれは、5人を同時に観察できる人間しか発見できないよね。
ってことはつまり、ファンしか気づけないことなんだなー !

Kaede

自分らしさが自分には見えない……ふふっ。
やっぱり謎かけみたいですね。

Miku

……じゃあ、みくはファンの猫チャンたちに見つけてもらうにゃ !
みくの、みくらしいところを……ステージの上で !

Chapter 4

深紅の情熱

LIVE前。志希は周子と楓を観察していた。志希は自分のつぼみを咲かせるため、何が必要なのかを考えていた。楓と周子の言葉で、自分には『熱』が足りないと気づかされた志希。ファンの情熱を感じられるステージに立つ瞬間を待ちわびるのだった。

'

LIVE会場

Syuko

ついに本番かー。あっという間だったなー。
始まる前からもうあたし、感動いっぱい胸いっぱいだわ。

Kaede

それなら私も一杯、付き合いましょうか。なんて。うふふ。

Shiki

じー……。

Syuko

ところが残念、あたしはまだ未成年なんで、
一杯お付き合いはできないんだなー。
二十歳になったらおいしいお店教えてもらえます?

Kaede

もちろんです♪ いっしょに飲める日が楽しみですね。

Shiki

じー……。

Syuko

こんどこそ、危ない打ち上げじゃなくって、
ちゃんとしたお店で……って何よ、志希ちゃん?
会話に混ざりたかったら入っておいでよー。

Kaede

なにか、考えごとかしら?

Shiki

つぼみについて、考えてたー。

Kaede

つぼみについて……?

Shiki

『なにかにチャレンジするとか、
興味がなかった部分に興味を持ってみるとか、
できないことをできるようになったりとか……』ってやつ。

Syuko

あぁ、アレね。

Shiki

あたしは、アイドルそのものがチャレンジだし、
できないことはないから、
興味を持ってみることにしたの。みんなに。

Kaede

へぇ……それで、どうだったのかしら?

Shiki

夕美ちゃんはみんなとの景色をみたいって言ってた。
だから、裏方の仕事を勝手にやってる。
損得もないし、感謝されるためじゃない。すごくない?

Shiki

みくちゃんは自分らしく歌いたいって言ってた。
そう思ってる時点で、もう自分があるよね。
でも素直だから、ぜんぜん気づいてない。かわいいよね。

Syuko

あー。それ以上先は、いいよ。

Shiki

周子ちゃんは自由でいたいって言ってた。
でも、まだダンスが覚えられてないみくちゃんのために、
わざと踊れないふりをしてた。自分から、嘘をついたよねー。

Syuko

あちゃー。やっぱバレてたか……。
これだから鼻が利く子は……。

Shiki

みんながそれぞれのつぼみを育ててる。
楓さんのは聞いてないけど……。
でも、あたしはなにを育てたらいいか、わかんない。

Kaede

志希ちゃん……。

Shiki

今まではどんなことをしてたって正解は見えたんだよ。
テストだって、勉強だって、研究だって、どんなパズルも
すぐに解けて、周りの大人はみんな褒めてくれた。

Syuko

でも、ステージ直前になってもまだわかんない、と。

Kaede

そう……。
なら、志希ちゃん、植物についてのクイズね。
種が発芽する条件って知ってる?

Shiki

んー、ボタニーは専攻と全然違うけど……
酸素と水、それと……光、じゃない、熱だったかなー?
それがどうかした?

Syuko

……普通それさらっと出てこないわ。

Kaede

ふふ。
植物の種だって芽が出るためには条件が必要でしょう?
志希ちゃんも、同じかもしれないわ。

Syuko

あー。そうね。
水と酸素はあっても、熱が足りないとかさ?

Shiki

……熱?

Kaede

そう。熱が足りないのかも。

Shiki

どこでなら、見つけられる?
ねぇ、どこにあるの?

Syuko

言うてあと6時間後には、もらえるんじゃないかなー。
ステージの上で、たくさんのファンからさ。

Kaede

えぇ。温かな情熱を、もらえると思うわ。

Shiki

……そっか ! ステージ !
あたしの全身が興奮でいっぱいになる、ステージ !
そこでなら、熱がもらえる ! つぼみが咲ける !

Syuko

なら、いまはなくても、いいんじゃない。

Kaede

ステージを、満喫しましょうね。

Shiki

うん ! 高まってきた ! あたし、ステージに立ちたい !
はやく ! はやくはやくはやく~ !

Syuko

ふふふっ、走り回ったって時間は早くやってこないよ~。

Shiki

は~や~く~ !

Chapter 5

萌葱色の心

LIVEが終わり、感想を語り合うみく、夕美、楓。いつも大人で完璧な姿であることを求められる楓だが、自分も弱いところはあると打ち明けた。みくと夕美は、楓のパフォーマンスでファンが喜んでいたと励ます。みくと夕美の心遣いにより、楓のつぼみはほころんだのだった。

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LIVE終了後

Miku

あらためて本番、お疲れさまにゃ~。

Yumi

いいステージになったよね。
みんな、思い思いにパフォーマンスしてたみたい。

Kaede

……。

Miku

ん? 楓さん?

Kaede

……はぁ。

Yumi

楓さん、客席をじっと眺めて……どうかしたんですか?

Kaede

あぁ、ごめんなさい。
ちょっと思い出していて。
本番が始まる前に、志希ちゃんに言われたんです。

Kaede

『なにかにチャレンジするとか、
興味がなかった部分に興味を持ってみるとか、
できないことをできるようになったりとか』……って。

Yumi

あ……それ、私が言ったつぼみの話ですね。

Kaede

そう……志希ちゃんは、つぼみを咲かせるために、
必要なことを考えているって言ってました。

Kaede

そのときは、私も偉そうにアドバイスしたんです。
志希ちゃんが珍しく思い悩んでいるようだったから、
あなたに足りないものはこれじゃないかしら、なんて。

Miku

そうなんだ。
でも、それがどうかしたにゃ?

Kaede

内心では、私、困ってたんです。

Yumi

困る……?

Kaede

ほかのお仕事が忙しくて、みんなとちゃんとレッスンもできなくて。
それでも、周りからは完璧な姿を要求されて。大人に見られて。
大人だから、できないことはないと思われていたでしょう。

Kaede

でも、この歳になったって、できないことはたくさんあるんです。
悩むことや迷うことだってたくさんあるんですよ。
みんなの純粋なまぶしさに嫉妬してしまうことだって……。

Yumi

楓さんが……?

Miku

で、でも、ステージは無事に成功したにゃ !
楓さんはプロとして必要なことを、したはずじゃないの?

Yumi

ファンのみんな、笑顔で手を振ってくれていましたよ?

Kaede

そう思ってくれたなら、いいんですけど……。

Kaede

私にとってのつぼみは、弱い自分を隠し通すこと
だったのかもしれません。
それが、志希ちゃんに見抜かれてしまうような嘘だったとしても……。

Yumi

人を傷つけない優しい嘘なら、いいと思いますよ。

Miku

そうだよ、楓さん !
ファンの笑顔は嘘じゃなかったもん !

Kaede

ごめんなさい、2人とも……困らせちゃって。
いきなりこんなことを言われたら、戸惑いますよね。
でも、聞いてくれて、励ましてくれて、ありがとう。

Yumi

私は……なんだか親近感がわきましたよ。
楓さんも悩んだりするんだなぁって。
私もよく、悩みがなさそうでいいねって言われますから。

Kaede

あら……本当に?

Miku

そんなの、失礼すぎるし !

Yumi

それも、理由が『いつでもお花を育てていて楽しそうだから』って。
楓さんの『大人だから』って理由と大差ないですよね。

Miku

どっちもすごい失礼だし ! ?

Kaede

ふふっ。みんな、そんなものなのかもしれませんね。

Yumi

ふふふ、ですねっ。じゃあ、楓さん。
いまの、本当の悩みとかって聞かせてもらえますか?

Kaede

いまの悩み、ですか?
そうね……んんー……あっ。
洗剤が切れてるから、買って帰らなきゃってこと、とか?

Miku

なるほどー、ってそれ悩みじゃないし ! ?

Kaede
Yumi

うふふっ。
あははっ。

Ending

桜色の風

LIVEが無事に終わり、周子、みく、楓、夕美、志希の5人とPは、打ち上げを兼ねて遅いお花見を催すことにした。レッスンやLIVEを通じて、自分たちのつぼみを開花させた5人は、温かな心でお花見を楽しむ。桜色の風の中に、成長した5人の笑顔が咲き誇るのだった。

'

楽屋

Kaede

終わってしまうといつも思いますが、いいLIVEでしたね。
プロデューサーさん、いかがでしたか?

(Select an option)

最高だった

Syuko

なんか大げさやね。ふふっ。
でも、ステージは何度立っても最高に気持ちいいよ。ホント。

Miku

ステージの上から見たサインライトのお花畑、
すっごくきれいだったにゃあ……。

Yumi

そうだねっ。
とっても感動的で、ずっと見ていたいなぁって思ったよ。
優しい光に包まれてたよねっ。

Shiki

ほんと、あったかかったなー。
まだ身体にあの熱が残ってるみたいで。
やっぱり、ステージって最高に面白いっ !

Miku

そういえば、今日はもうこれで解散なの~?
どうせだから、みんなで打ち上げでもしたいにゃあ~。

Syuko

神様仏様プロデューサー様、なにとぞー。

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お花見にいこう

Yumi

お花見 ! いいねっ !
ソメイヨシノは散っちゃってるかもしれないけど、
ヤエザクラとか遅咲きの桜なら、まだ見られると思うよっ !

Shiki

にゃはー ! お花見 ! きっとイイ匂いだよね !
はやく ! はやくいこ~ !

Kaede

はぁ……もうすっかり暖かくなりましたね。
陽気に誘われて、桜の花たちも咲き乱れているみたい。

Yumi

暖かくなると、つぼみはひらいて、きれいな花になるんだよねっ。

Syuko

つまりー、あたしらも?

Miku

ファンのみんながくれる、温かい声援で、花開いた……かにゃ?

Syuko

ふふっ。ちょっと気取りすぎ?

Shiki

たまには、いいとおもうにゃー。
おかげで、こんな景色を見られてるんだし。
んー……景色にプラスして……いい匂い~♪

Miku

……そうだよね。
だってこんなにキレイなんだもん。
少しくらい、浸ってもいいよね。

Yumi

みんな、キレイに咲けたから、
桜の樹たちも祝福してくれてるんだよ。きっと♪

Kaede

あら、いい風……。
花びらたちが、踊ってますね。

Shiki

わーっ ! すごーい !
空が桜色 ! すごくない ! ? すごーい !

Syuko

落ちた花びらも巻き上げて、風流やねー……。

Kaede

……とはいえ、みんな育ち盛りですから、
そろそろ花より団子なんじゃないかしら?
ということで、ここからは、お楽しみの打ち上げタイム~♪

Shiki

ん ! フンフンフン……
美味しそうな匂い ! なにそれ ! なにそれ~ ! ?

Kaede

残念ながら、このお酒は私とプロデューサーさん用です♪
みんなは、ジュースでガマンしてくださいね。

Shiki

ちぇーっ。
でも……クンクンクン……こっちから美味しそうな匂いが……。

Syuko

ウチの実家から送られてきた和菓子、みんなでつまんでよ。
ほい、どーぞ。

Yumi

わぁっ、周子ちゃんのお家の和菓子、すっごくおいしいんだよね !
ありがとう、周子ちゃん !

Syuko

いやいや、こんなもんで喜んでもらえるんなら、
いくらでも持ってきますわー。

Shiki

ん~、甘い匂い……はっ !
みくちゃんからも美味しそうな匂いする !
じゅるじゅる……。うぇへへへ……。

Miku

わかった ! わかったから志希チャン ! 待って !
はい ! みく特製のひとくちハンバーグ ! どーうぞっ♪

Shiki

いっただっきまーす♪
ぱくっ……うむうむうむ……でりーしゃーす♪

Yumi

もうっ、乾杯する前から食べ始めちゃって !
ふふっ。仕方ないんだから !

Syuko

てゆーか、一口ハンバーグって、ミートボールやん !

Miku

あっ……。それは、その、ね !

Kaede
Yumi

うふふっ。
あははっ。

Miku

と、とりあえず気を取り直して !
みんな、お疲れさまでしたの、かんぱーい !

Syuko
Shiki

かんぱーい♪
ふごふごご~♪

Kaede
Yumi

乾杯♪
乾杯♪